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Živko Nikolić『Beasts』モンテネグロ、孤島に美少女がやって来た
ジヴコ・ニコリッチ(Živko Nikolić)長編一作目。その昔、アドリア海沿岸地域では荒天時に限って、犯した罪に対して責任を負わないという法があった。とある嵐の夜の日、村人が豹変したように不道徳になる小さな島に、名もなき美少女が小舟で流れ着いた。村人たちは一様にこの神出鬼没な少女を追いかけ始める。物語自体はないに等しく、とにかく性格の悪そうな堕落した人々(寝たきりの"船長"、マウント取りの"教授"、美少女に襲いかかる"神父"、グルーチョ・マルクスみたいな男というキショい権威者四人組にずっと寝てるピアノ弾きとその真隣で不倫する妻、井戸端で美少女を迫害する奥様集団など)が集いあってワイワイするだけ。特に権威者四人組の堕落っぷりは激しく描かれていて、そのメンバーだけ見てると『ソドム120日』に見えなくもない。となると、美少女とは別に神出鬼没に現れる三人の老女は『マクベス』の魔女トリオかぁ…?また、"船長"が美少女を目撃した際の怯えっぷりから、彼の過去の何かしらが彼女に投影されていることが分かり、他の人物も彼女に空想や幻想や悪意を重ね合わせ、自らの欲望の鏡像として、それを手に入れん、或いは排除せんと襲いかかっているのだろうことが分かる。とはいえ、100分間ずっとおじさんたちが同じ場所を行ったり来たりしながら吠えてるだけの絵面が続くのは勘弁願いたい。ちなみに今回も不倫女役としてニコリッチの妻Vesna Pećanacが登場、妊娠した彼女の腹を奥様集団が裂いたら綿の雨が降りましたという幻想的なシーンは本作品のハイライトの一つである。
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・作品データ
原題:Beštije
上映時間:103分
監督:Živko Nikolić
製作:1977年(セルビア)
・評価:60点
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