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にんじんまる
2021年11月18日 11:20
エピソード1から6まで「楽園」を読んで下さった方々へ この度はドドドド素人の、物語とも呼べない拙い文章を読んで下さり、ありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです…。思いつきではじめたシリーズですが、「読んだよ」という声が少しですが、ありがたいことに耳に届いて、私はその度に、嬉し恥ずかし、でもやっぱり嬉しい、という感情でした。そして何より書いている私自身が楽しんでいたので、ほぼ自己満足で
2021年11月16日 15:19
私はどうやら、昔から何かが違っていた。大きな違和感、というよりは、たまに小さな引っかかりを感じることが幼い頃からあった。例えば、無性に空について興味があったり、ぼーっとしているとなぜか知らない街の情景が頭に浮かんだり、1度も聴いたことのないある曲をなぜか歌えたり、あとは、満月の夜には必ず高熱を出したり。これ以外にももっと、違和感を感じることはあったけれど、別に日常生活に
2021年10月29日 17:34
昔から水泳は苦手だった。学校のプールの授業も嫌で、何度も仮病で休んだ。授業の中で、泳ぐのが上手な子、まあまあな子、苦手な子でレベル分けされていたが、毎回苦手チームだったっけな。そのぐらい泳ぐのは嫌い。水の中になると、普段は自由に動かせている手足を上手く制御できなくなる。だから中学校の水泳の授業が終わった時、もう一生泳がなくていいんだ、と喜んだものだ。それなのに、なぜか僕
2021年10月27日 21:21
僕が彼女に抱いた好きという感情は、特別なものではなかった。好きな食べ物に抱く"好き"みたいな、そんな感じ。しかしそれは彼女に限ったことではなく、どの女の子に対してもそうだった。だから他の女の子と同じだった。いつもみたいに、好きだな、と思った。長時間の格闘の末、盛大に振られた友人には悪いが、好きになってしまったならしょうがない。そう思って、僕はひとりで再びあの蕎麦屋に行った
2021年10月10日 23:59
僕が彼女と知り合ったのは、1年ほど前だった。友達とふらっと入った蕎麦屋で、バイトをしていたのが彼女だ。混雑する小さな店の中、僕らの注文をとった彼女を見て友達が、あの子と連絡先を交換したいから協力してくれないか、と僕に言ってきた。僕は正直面倒くさかったが、友達が彼女のバイトが終わるまで店の外で待ちたいというので、一緒に待つことにした。どうせすぐ出てくるだろうと思った。しかし、
2021年8月14日 08:59
僕にとって、女の子と遊ぶことはいつの間にか容易いことになっていた。けれどそれと同時に、人に対する愛が少しずつ失われていくのにも、薄々気づいていた。だからいつも通り、彼女にも特別な感情は湧かなかった。他の女の子と同じだった。彼女はそれに気づいていて、あの日の夕方、僕の家でテイクアウトしてきたハンバーグ弁当を向かい合って食べていた時に、ふと言った。「君にとって私は、このグリ
2021年8月10日 00:30
街の工具店に行った。ハンマーを買った。店に入るまでは、ハンマーだけ買いに行くなんて、悪い事を企ててる人みたいで怪しまれそうだなと思ったけれど、店に入った途端、鋭利なノコギリや大人のカピバラくらいの大きさの、用途の分からないトゲトゲした道具が目に入ってきたので、ハンマーがちっぽけで安心した。ハンマーをコトンとレジに置くと、椅子に座って古新聞らしきものを読んでいたおじいさん店