にんじんまる

2000 オンナ です。 来世はバッグクロージャー

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マガジン

最近の記事

好きなひとの隣でとうもろこしを齧る瞬間がきたら、きっと自分は幸せだなって思うと思う

    • 涙をあつめて湖をつくったら、必ず白鷺を呼ぶから

      「私は何も上手くできないということを、分かっていたようで全く分かっていなかった。 プライドだけが高くて、認められなかった。 けれどもうあきらめることにした。 どうしようもなく弱くて、何もできない自分が当たり前だと許容することにした。 些細なことで落ち込んで、涙を流すのが私。 ひとや社会の基準に合わせたら苦しい。 弱いと認めることで、私は私らしく生きられるかもって気づいたんだよね。」 と希望に満ちた顔で彼女は言ったので、僕はよかったなと思った。 そうして、きれいにとか

      • なんの根拠もない「大丈夫」が聞きたい夜がある。 無責任で、でも温かい言葉。

        • ブロッコリーの匂いが部屋に充満した。 それが合図だった。作戦開始の。 僕は急いで車に乗り込んだ。 大通りを走り抜ける。 同じように、たくさんの車が走っている。 世の中のものはほとんど、魚だ。 車も鳥も、僕は魚に見える。 港に着くと、もう船が用意してあった。 「はやくしろよ。」 と、バニートウに急かされながら船に乗り込む。 こいつもまた、魚みたいな顔をしている。 「ああこれ、積んでおいてくれたんだ ありがとう」 足元を見ると、木箱に入った大量のミモザが、 軽く見積もっ

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        • ヒトイキ短編
          11本
        • オパール
          2本
        • 楽園
          7本

        記事

          そんなこと言えないけど

          「不安も悲しみも常に携帯していて、 だけど楽しくて仕方がなくて、目に光がちゃんと宿っているような日々がほしいだけなんだけど」とか、 「春と冬の間の夕方の気持ちとか、秋の昼間の気持ちとか、全部おんなじだと思ってたんだけどね、違うってことに気がついたんだ。 全部、違うの」とか。 ただ言いたいだけの話を、脊髄反射で話している彼はゆっくりと家具屋の電気コーナーを歩く。 どうやら机のランプが壊れて買い替えたいみたいだが、思考するのに夢中でちゃんと選べているのかは疑わしい。 「さん

          そんなこと言えないけど

          「白湯のようなコンソメスープ」 のような日々を待っている!

          「白湯のようなコンソメスープ」 のような日々を待っている!

          わたしたちへ

          バナナをつまみに、ビールを飲んでいた。 最近自転車の音がすきだということに気がついたのだが、それから派生してあちこちに思考を張り巡らしていたとき、インターホンが鳴った。 隣人だった。 「空、見た?」 「見てない。なんで?」 「もう終わりだって、全部」 窓に駆け寄ると、太陽が降りてきていた。 彼と私は窓ぎわに並んで外を見た。 「ずいぶんと早いね」 「だね」 彼はさっきまで私が飲んでいた缶ビールを飲んだ。 私は冷蔵庫から新しいビールを取り出して開けた。 「そういえば

          わたしたちへ

          愛された記憶にも、触れそうで触れないな

          それは、夜の空に、宇宙ステーションが肉眼で見えた日のことだ。 はたまた、朝が夕方みたいだった日のこと。 日常がごちゃごちゃしていて、整理がつけられていなかった。 が、昔からいつもそうだということも分かっていた。 そういうときは、脳にある煎餅のようなかたまりが、ぱんっと弾けそうになる。 (雪の宿だったら、弾けても雪みたいで、きれいかもしれない。) 頭の中がいつも言葉で溢れていて、うるさくて仕方ないのも相変わらずだった。 相手に対して投げかけた言葉は、必ず自分に返ってくると分

          愛された記憶にも、触れそうで触れないな

          バターいらない君へ

          今日もいつものように、町のケーキ屋の悪口を言い合っていた。 あそこは美味しいけど、バターを使い過ぎていて食べきれない。はたまた、あのケーキ屋は美味しい。レモンケーキがさっぱりとしている。 なにしろ世の中の食べものは油にまみれすぎているから、食革命を起こした方がいい。 と、彼女は決まってこの結論に至る。 そうして必ず、革命を起こすにはひとりでは無理だから、同盟を組まない?と問いかけてくる。 僕といったら、食べものはこってりしているだけいいと思っている。あそこのケーキ屋でも、

          バターいらない君へ

          本当は弱いのに強くならざるを得なかった人が、弱いままでも幸せになれる世界に なりますように

          本当は弱いのに強くならざるを得なかった人が、弱いままでも幸せになれる世界に なりますように

          今日が繰り返してほしい、もう一度今日をしたい、と思えた日がこれまでの人生にあったことが嬉しい。日々がいやでも、その事実が元気づけてくれる。 またそういう日がきっとくるのだと、待ち望める。 待ってる。

          今日が繰り返してほしい、もう一度今日をしたい、と思えた日がこれまでの人生にあったことが嬉しい。日々がいやでも、その事実が元気づけてくれる。 またそういう日がきっとくるのだと、待ち望める。 待ってる。

          脳は宇宙、僕らは宇宙人

          映画や小説に触れたあとは、感情が溢れ出して、 脳内が回転するのを分かっていたのに、寝る前に映画を観てしまった。 眠れないので、ベッドを抜け出してリビングへ。 そのままキッチンに滑り込んで冷蔵庫からビールを取り出す。いつだって、こういうことをしたい分際の、文化人気取り。 いいじゃん。これは私の話だ。私の時間。 好きなようにもっとラフに生きたいと、映画を観て思ったから、ビールにレモン果汁だって入れちゃおう。 ... 全ての子供が幸せになることはできないだろうか。どうか。 世の

          脳は宇宙、僕らは宇宙人

          梨がなる頃、西瓜を食べていた君の話

          夕日が沈むまでに帰らなければならなかった。 今日の日の入りは18時52分。 ということは、あと21分。 シャワーを浴びてきたのに、身体中から水という水が吹き出していて、シャワーを浴びた時間の存在意義が消滅したところだ。 ただ、そんなことも気にならないくらい、風が心地良かった。自転車を漕ぐスピードを速めれば速めるほど、身体に空気が取り込まれる感じがする。 (「感じがする」と言いがちだが、しょうがないのだ。感覚によって情報を得ている僕なんだから。) 今日は日曜日なので、遅く起

          梨がなる頃、西瓜を食べていた君の話

          化粧品2つと、文庫本2冊を買って帰路につく。いつもとはちがう日だ。 嬉しい。エスカレーターから降りるとき、ぴょんと弾んでみたりして。

          化粧品2つと、文庫本2冊を買って帰路につく。いつもとはちがう日だ。 嬉しい。エスカレーターから降りるとき、ぴょんと弾んでみたりして。

          ひらがなみたいなまいにち

          風呂上がり、湿度が高かった。 洗面所の湿気がいつまでも消えなくて、明日は暖かくなるのかな、と考える。 次の日の天気はいつだって、前夜に少しだけ予感がする。 雨が降る日の前の夜は、必ずどこか雨の匂いがするものだ。 __________________________________________ いつだって朝のバスで書きたいのに、周りの目を気にして、むりなのだ。 書こうとして諦め、窓の外を見たときに、 遠くの道まで見える、交差点に差し掛かっているところだった。 そういう時

          ひらがなみたいなまいにち

          愛おしいものは、宇宙なんだ

          好きな人は宇宙だ。 だって何にも知らないから。 金曜日みたいな木曜日に、僕は思った。 金曜日らしい金曜日がいちばん嬉しいのに、まだ木曜日だったから泣きそうだった。 明日は雨みたいだが、金曜日なんて、いつだって雨でいいとは思わないか? 低気圧がきているから、やる気を出さなくていい。いつもみたいに元気でいなくていい。 ただ時が過ぎるのを待つだけの、雨の金曜日。 月曜日は地獄みたいで、金曜日は天国みたいだから困るな。 1週間のうちに地獄から天国を味わえるなんて、それはそれで

          愛おしいものは、宇宙なんだ