バームクーヘンという歌がある


バームクーヘン
高校2年生の時
THE HIGH-LOWSがものすごく好きな友達がいて、その子に「バームクーヘン」というアルバムを借りました

高校2年生の夏休みを終えた頃、私の高校の美術科の学生はクラス替えがないので3年生の文化祭に向けて準備を始めます

3年生の出し物は演劇でした

その時にオリジナルのストーリーを作って舞台を演じるのが毎年の美術科の流れだったのでした
その時に2つストーリー案が出て、選ばれたのが「鳥は飛べるかたち」というお話でした

そのお話は、人間の暮らしに疲れた主人公が鳥たちの世界に行って少しずつ鳥の暮らしを知り最終的には人間の形がすてきだねみたいな
そんなお話でした

そのストーリーの根本になったのがTHE HIGH-LOWSの「バームクーヘン」というお歌なのでした(検索すると歌詞が出てくるので気になる人は検索してみてね)

鳥は飛べるかたち
大空を飛ぶように鳥のような翼が欲しい
「翼をください」では無いけれど、翼をくださいと対象的なのがこのバームクーヘンという歌です
もしも翼があったなら悲しみも忘れられるだろうと言うお歌が翼をくださいで、バームクーヘンは僕らには翼は無いけれど僕たちには両手があるじゃないかという歌です

両手があるからこそ叶えられる夢があるのでした

僕らは空を飛べないかたち
どうやったら綱を続けられるか
無形文化財の存続というのはとてもとても難しい話で、人口減少だけでなく今の社会の構造自体がどの無形文化財の存にも向いていないのでした

刈和野の大綱引きは日本一大きな直径70cmにもなる大きな綱を二日町と五日町に別れて引き合う伝統行事なのですが、70cmもの大きな綱を作るにはものすごい労力が必要なのです

コンバインで刈れば楽なのに稲穂をわざわざ手刈り(あるいはバインダーで収穫)して、天日干しして藁を集めて、しなごきという藁のいらない部分をとる作業を経て、ようやく藁打ちを行って藁を柔らかくし、綱の元になる「ぐみ」を作っていく…
そんな仕事になります
ぐみも長い物で30mもなるものを200本くらい必要なのでした

実は現状どの作業も人手が足りないのです
なんなら綱引きを実行していく実行部ですら人員が足りていないのです

空を飛べるくらい完璧で自由なことが出来れば、綱が終わるなんて想像しなくても良かったのかもしれません


でっち上げたような夢
刈和野の建元のにーさんが言いました
「自分たちの代で綱を終わらせたくない」

刈和野の少年が言いました
「僕が大人になるまで綱があるかなぁ」

綱を続けたい
けれど繋げていくことが難しいかもしれない
そんな未来が建元さんだけでなく中学生の少年にも伝わっていたのでした

「大変な仕事なら辞めればいいじゃないか」
そう思う方をいるかもしれませんが
男鹿のナマハゲ同様に刈和野の大綱引きも刈和野の人たちにとってなくてはならない大切な心のより所なのでした

当時の少年が大人になるまで5年

そう言われた時に自信がなくて
「無いかもしれないなぁ」なんて言ってしまったのが本当に悔やまれるなと思うのでした

繋が続けば私も嬉しい
そんな少年と建元さんの夢を叶えたい

現実に変えていくかたち
「未来の建元プロジェクト」というのを企画しました
小中学生を対象に、綱作りをしている現場に来やすくし、2年、3年、5年10年と続けるうちに綱の元になる作業を覚えるというそんなプロジェクトです
(あわよくば、子供たちに着いてきた大人も実行部になって欲しい)

意外と「え!!綱作りってできるの?!」という大人は多く、参加してみたいけど参加していいのか分からない人はいる
そしてさらに小中学生の中にも「建元になるには何をしたらいいですか」「ぐみあみやってみたい!」という子供たちは少なくないのです

そんな人たちをターゲットに「実施していることを分かりやすく」「簡単に参加出来る」ことを示すために実施するのが未来の建元プロジェクトです

僕はこの両手が好き
作業に来たとしても何をしたらいいのか分からないと不安になることがあります
そんな不安を解消するために「未来の建元検定」というやることリストも作成しました

さらに何度も参加したくなるように、ラジオ体操のようなスタンプカードも作成しました
スタンプを沢山押していけば大綱が完成するスタンプカードです

スタンプカードを1つでも押印すれば缶バッチもプレゼントします
この缶バッチは「えー!なにそれ!いいな!」と思ってもらって他の子供たちを呼び込むためのグッズになります

1年では達成できない検定も用意し「悔しいからまた来年も参加したい!!」と思ってもらうためのものになります

かなり難易度の高い「はばきをつくる」「しべわらじを作る」などの項目も用意しました
その中で簡単な「実行部に入る」「後輩に教える」を実行してもらう為の罠です

何年も参加して出来ることを増やして、綱を未来に繋げる
そんなプロジェクトです

誰かのでっち上げたような夢も、現実に変えていくのが人間のできることなのでした
空を飛ぶかたちであればこんなことは出来ない


バームクーヘン食べよ
とある少年が参加したいと思ってくれたらしい
それに付随して他の少年も誘ってくれたらしくてものすごく嬉しいです
参加してくれる人は今年度は誰もいないと思っていたから本当に嬉しかったです

何も出来ないけど自分に出来ることは何でもしたいと思います

参加したくてもできない人はたくさんいて、仕事や子育てなど大変なことは沢山あって
でもそんな中で参加してくれるのがとても嬉しいのでした

もっともっと誰でも参加しやすく
もっともっとたくさんの人に体験してもらって
ずっとずっとずーっと長く続くようにつなげていきたいと思います

お腹がすいたからバームクーヘンたべよ

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