この2年間、自分でもびっくりするくらい、アカペラに触れることが減った。
月2回は所属バンドでの練習があり、毎年数回はライブやイベントに出演する程度にはそこそこ活発な社会人アカペラーであったが、そのような機会が減った瞬間、アレンジをすることも、アカペラ音源を聴くことも一気に減った。
それでも初めのうちは、仲間とともにリモートアカペラ動画を制作したり、ミキシングをしたり、知り合いからアカペラアレンジを依頼されて制作したりと、ありがたいことに何かしらの形でアカペラに触れることはできた。
しかし、それもそう長くは続かなかった。
結論、アカペラ的には「暇」になってなってしまったのだ。
そんな状況でも、唯一続いた活動がある。
それが、2020年の1月から開始した、「2年間かけて100曲のメロディ・コードを耳コピする」というものだ。
めっちゃ軽いノリで初めてみた
この活動を初めたきっかけは、作曲家の島野聡さんのツイートだった。
ただ「なんとなく面白そう」という軽い気持ちでオープンチャットに入り、毎週毎週、1曲あたり2時間程度かけてメロディーとコードのコピー譜を作っていった。
なんで続けられたのか
ぶっちゃけ最初の15曲くらいは、けっこうしんどかった。
アカペラの耳コピならまだしも、楽器を含めた「歌モノ」の耳コピだ。
ピアノ弾き語り系の曲ならまだ聴き取れるが、ギターやオケなどがたくさん入ってくる曲は自分の耳が追いつかず、コードを聴き取るのは一苦労だった。
その後30曲を超えたあたりから、だんだんと耳も慣れて曲自体を味わうことができ、毎週毎週新しい音楽を知ることができるのが楽しくなってきた。
生来の後回しグセから、僕が耳コピに取り組むのは日曜の21時から。
いつからかこの時間は、僕にとって「音楽と向き合う特別な時間」になっていった。
終わってみて
100曲目の耳コピを終わって得た感覚は、達成感とはどこか違ったものだった。
どちらかというと、コンビニでなんとなく立ち読みしていた漫画が最終回を迎えたときのような、そこはかとない寂しさが残った。
この活動を通して、特段音感が良くなったわけでも、歌が上手くなったわけでもない。
でも、音楽をより解像度高く、深く味わうことができるようになった気はする。
なにより、流行りの音楽を毛嫌いしがちな自分が、Official髭男dismや、米津玄師や、King Gnuや、YOASOBIを聴くようになったのは、この活動のおかげだ。
そして、僕の手元には、まだ手をつけられていない100曲分のメロディーとコードを記載した楽譜がある。
アカペラアレンジをする中で、一番最初に行う工程であり、一番キライな工程が、メロディー譜の作成とコードの書き込みだった。
しかし今、その工程をすっ飛ばして、僕は100曲分のアカペラアレンジを始めることができる。
これから何年かかるかはわからないが、この100曲をアレンジし切るまでは、もったいなくてアカペラをやめられなさそうだ。
先の見えない状況であっても、その感覚だけが、僕とアカペラを繋ぎとめ続けてくれる気がする。
耳コピした100曲の一覧
改めて見てみると、「壮観」の一言に尽きる。
ジャンルも年代も様々だが、どの曲も本当に名曲なので、このnoteを読んでくれた方にもぜひ聴いて欲しい。
そして…自分、2年間、お疲れ様でした。