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元優等生現問題児〜(7)インナーチャイルド〜
その夜、私は夢を見た。幼い頃の夢だ。
何度も何度も同じ歌を歌っては、同じ所で間違い、その度に母から頬を叩かれる。音楽教室に通っていた頃だ。余りに何度も間違うからと、夜ご飯が抜きになった。何とかインスタントラーメンは出してもらえたが、食べると急に気持ち悪くなって吐いてしまい、それがまた怒りの引き金になってしまった。廊下に散らばる麺にこぼれ落ちる私の涙が絡まっていく。そして、片付けではお椀を割ってしまい、更に怒りを買うこととなった。
「あんたは罰が当たるよ。」
そう言われて、泣きながら片付けた。眠りにつく時も、何度も震えながら手を合わせてごめんなさいと唱えた。
唱えながら、夢と現実の間に帰ってきた私は、寝ぼけながらこれが夢であるとはっきりと認識した。あの頃、私は母に褒めてもらいたかった。認めて欲しかった。でも今は違う。
憎い。
彼女が母であることが、母であるからこそ、憎いのだった。