合弁会社(ジョイントベンチャー)に関するあれこれ解説
閲覧ありがとうございます。かずです。
本日は資格試験のお話はお休みし、
合弁会社3社を経営した私の経験として、合弁会社の体制をまとめました。
失敗談はこちらです。
中小企業診断士試験の企業経営、経営法務にも役立つ知識です。
はじまり
新規事業を行う際、自社のノウハウだけでは活路が見出せず、他社との提携を模索することも多いと思います。1つの選択肢として合弁会社があります。
ご経験がある方も少ないかと思います。選択肢を1つ増やすという意味で是非ご覧ください。
合弁会社とは
合弁会社ってなに?
複数の会社が共通の事業を実行するために、共同で出資する会社です。
資金だけでなく、ノウハウ、人材などの経営資源(強み)を拠出し、シナジー効果を発揮するものです。
提携と何が違うの?
提携は親会社通しが提携し、業務を行うのに対し、
合弁会社は、専門の会社を設立するため、業提携等と比較して、強固な関係性を構築できます。一方、別法人という理由で親会社からの支援が乏しい場合には、互いの強みを発揮できず失敗する可能性も高い事業です。
機関設計(取締役等)
取締役って誰がいい?
合弁会社は各社の経営資源を活用したシナジー効果を期待して設立されます。その経営資源にアクセス、活用できる人材を取締役としましょう。
合弁会社は専業の役員を新規に雇用することは少なく、各社から必要なノウハウを持つ社員を出向または兼務させて、経営します。
取締役会っている?
法律上マストではありませんが、必要性は高いです。
理由①全員の経営への参画を促すことです。
取締役がサボることはないだろうと思いたいですが、
事業を継続していくと親会社業務の繁忙により、合弁会社推進に時間を取れない場合があります。
それを防止するため、毎月全員参加必須の取締役会を設定し、取締役間の相互監視を促します。
※会社法第362条(取締役会の権限等)
理由②次のアクションのためのガバナンス
会社経営はうまく行く時もうまくいかない場合もあります。次の増資や撤退といったアクションを正確な情報から行うために、財務諸表や業務記録の品質担保が重要です。取締役会設置会社に求められている監査役もしくは会計参与による監査も重要です。
※会社法第363条(取締役の権限等)会社法第371条(議事録等)
理由③親子取引のの簡便化
合弁会社は、各親会社のノウハウをベースにシナジー効果を発揮して事業を行います。
ついては、親会社と合弁会社間での契約行為も発生し、利益相反取引となる可能性があります。
その際に、取締役会設置会社であれば、取締役会にて決議可能です。
※会社法第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)違反すると任務懈怠責任となってしまい取締役の地位を追われる可能性もあり、大変重要です。
取締役の人数は?
取締役会の設置には、3人以上の取締役が必要ですので、3社以上出資であれば1名ずつ、2社出資であれば2名ずつが基本です。(出資比率が大きく異なる場合には、構成比も合わせた方が健全です。)
※会社法331条(取締役の資格等)
リスクマネジメントをベースとした意思決定スキーム構築
誰が意思決定する?
合弁会社は、各親会社の利益対立する等により、追加出資等の大きな意思決定に時間を要します。
ですので、追加資金等新たな意思決定が必要になる可能性(前向き後ろ向き問わず)がある施策については、全取締役が意思決定に関与できる状態とするために、取締役会の意思決定事項であるべきだと思います。
例えば、ほとんど投資が必要ない新店舗出店でも、違約金条項が高額であり、実質的に数年間合計で大きな金額を支払続け必要があるかもしれません。
各社の得意分野は、思い切って取締役に権限委譲移譲しましょう。
合弁会社は、各社の経営資源を持ち寄って経営します。専門でない取締役に納得してもらう時間は無駄とも思えます。
シナジー効果を期待する分野は、時間がかかっても、互いに納得できるまで、意思決定出来ない体制(合議等)にしましょう。
シナジー効果の発揮が合弁会社の1番のポイントです。ここは妥協してはいけません。
1番大切なこと 撤退基準の設定
後ろ向きじゃない?
会社設立までに撤退基準と処理方式を設定しておきましょう。設立時には誰も失敗するとは思っていませんが、真剣な議論が必要です。
会社ごとに文化や規模によって、撤退に関する基準に関する考えは大きく異なります。決算が黒字でも効率性(ROE,ROIC等)によっては撤退を考える会社もあれば、キャッシュが回る限りは心配しない会社もあります。
撤退基準がないと、合弁会社としてリスクをどこまで許容するかがハッキリせず、意思決定に時間を要し、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
つまりは、攻めの経営のために必要な対応だと言えます。
資本金等の設定
法令の改正も多いため詳細の解説は省きますが、1,000万円未満、1億円以下というのが、税務上の大きな壁となります。(2023年2月時点)
インボイス制度の開始も控えておりますので、合弁会社設立のタイミングで専門家への具体的な相談をお勧めします。
まとめ
合弁会社について、少しは理解いただけましたでしょうか。
外部との協業を行う場合に、選択肢の1つとしていただき、みなさまのビジネスの成功の一助になれば幸いです。
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