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毎年2月は麹菌に手を突っ込む
丹後ではまた雪が降ってます。前回ほどの大雪じゃないけど、天気予報は雪雪雪雪。おそらく今シーズン最後の寒波で、寒さの底。
毎年この時期は味噌仕込みをしています。移住してから毎年やっているので、かれこれ9回目。お米を蒸して、麹菌をふりかけ、米麹をつくる。その米麹とミンチにした大豆を混ぜ合わせて樽に仕込む。近くの農家さんと一緒にする、冬仕事。
2月のこの時期にやるのは、1年のうちで一番寒く、雑菌の繁殖リスクが一番少ないから。日本酒づくりでも言われてるアレですね。今年もよく冷えたタイミングで米麹づくりをしました。
蒸米と麹菌を混ぜてから約3日間、人肌に温度をキープする。仕込んだ直後はほんのり暖かいただの米の塊、保温の為に固めるので、見た目は巨大おにぎり。乾燥したらアカンので、巨大おにぎりを大きな布で包み、バスタオルでも包み、段ボールに入れ、コタツの中で保温。風邪引いた子どもみたい。
一晩たつと、麹菌が繁殖し始めて、巨大おにぎりが少しずつ、白い粉を吹いてきます。それと同時に、麹の甘い香りと発酵熱がわき立ってくる。温度が上がりすぎると麹菌が死滅してしまうので、むんむんになった巨大おにぎりを、ほぐして放熱。温度が下がったら、また包んで保温。発熱したら、またほぐす。この繰り返しを3日間やります。マジ風邪引いた子ども。
温度確認は、温度計も使いますが、とりあえず手を突っ込みます。ズボッと巨大おにぎりの内側まで、えぐるように突っ込んで、発酵熱を感じます。人肌くらいが適温なので、暑いと感じたら放熱が必要。冷たいと感じたら温度が低い証拠なので、すぐ包み直し。
毎日、手を突っ込み続けると、指先が荒れてくる。とりあえず突っ込む右手の指先、ほぐす時は両手なので、結局指先はカサカサして皮がめくれたりヒビが入ってきます。手洗いやアルコール消毒をしてから触るので、その影響もありつつ、麹菌に手が食われてるとも思う。米麹は肌に良いっていうけど、麹菌はタンパク質(皮膚)も分解します。
感じる発酵熱、食われる指先。毎年、麹菌に手を突っ込むことで、微生物の生命力を感じる。発酵が進んで、今年も無事に米麹が出来上がりました。今週末は大豆と混ぜて樽に仕込みます。