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限界を過ぎると
奥さんと病院に通うことも、2ヶ月を過ぎ、3カ月目に入ろうとしていた。
週にだいたい、3,4日は行っていた。
毎回病院に一緒に行ったその後、僕は、旦那さんがいる病室に行くことはなかった。それは、奥さんがそれを拒絶したからだ。
※病院に行っている間、旦那さんには、一度も会うことはなかった
病院の先生に僕のことを紹介したり、奥さんとどういう関係なのか?説明したり、聞かれたりするのが、嫌なのか?わからなかったが、一緒にいるところを病院の人に見られることも、ひどく嫌がっていた。
奥さん「バスから降りたら、話しかけないでね!帰りの時間になったら携帯に電話するから、その間、あんたは何処かで時間を潰して」
僕「はい。わかりました」
何の意味があって、何の理由があって。
理解しようとすることもやめた。
異常な精神状態の人と一緒にいると、人はどうなっていくのか?
僕は、自分の実体験で知る必要があったのかもしれない。
(疲弊していく自分)
奥さんは気づいていなかったが、一緒に出かけるようになって、奥さんは何十年も一人で外出できなかったことが、徐々に解決されていた。
病院までは一緒に電車やバスに乗り行っていたが、帰りにはスーパーに一人で買い物に行き、一人で生活することができるようになっていた。
僕を怒鳴ったり、怒ったり、自分の思っていることが用意されていないと、感情が一変するのだが、僕が治療院で指示していた食べ物や生活習慣についてのことは、真面目にこの時も行っていた。
素直な部分もある。
とても不思議だった。
いつも怒ってばかりだったが、たまに、「あんたの今日のお弁当のジャガイモの味付け美味しかったわね」
と、言うこともあった。
そう。この時、僕は病院に行く時はお弁当を作り、奥さんの合わない物は入れないで、奥さんにとってベストなランチを持って行っていた。
今思うと、よくこんなことをしていたなーと笑えてくる(笑)
しかし、この当時は、こんなことを考える余裕すらなかった。。。
それは、週3,4回一緒にいただけでなく、その他の日も毎日電話があり、自分の自由を失った奴隷状態。という感覚だったからだ。
芸人さんや芸能人の付き人も、師匠と弟子との間の関係もこのような感覚で接していると聞いたことがある。
人が何を求めているのか察することを学ぶというが、もしかしたらこんな感じなのかな!?と思ったこともあった。
しかし、愛情も何もなく、普通の人の感覚もないので、しかも何が感情に触れるのか?わからないので、常に緊張しなくてはいけなかった。
このように、自分の自由が失われ、自分が常に相手に支配されるような状態で生活し続けていると、人はどうなっていくのか。これも実体験で体験した。
自分が自分でなくなっていく。
奥さんから、入院している旦那さんは、退院したら僕に会いたいという話も聞いていたが、それに応えたいという気持ちを持続するには、僕のエネルギー自体がなくなり始めていた…
僕がつぐないだと思っていた気持ちには、限界がきていた。
あるキッカケが、僕の眠っていた気持ちに火をつけた。
つづく…