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調理ロボットもビズリーチする?
前回
AIが奪う仕事は、要するに、パソコンでやる仕事。
だとすれば、人間にしかできない仕事って何だ?
トースターをゼロから作る
笑顔で接客する
美味しいおでんを作る
とびきりの餃子を焼く
爆笑の渦をつくる
・・・と言っていたが、大阪王将の調理ロボを知って、ぐらついた(笑)
パラパラ炒飯や麻婆豆腐など、人が重い中華鍋ふるって調理しなければならないメニューをそつなく作っちゃう。
1級の職人の技を完コピする。
ロボットを作ったTechMagic社のプレスリリース
炒め調理ロボット「I-Robo」、大阪王将3店舗に新規導入
から引用します。
大阪王将には、調理の速さとクオリティを、1級から3級までの3つのレベルで審査する調理検定試験制度があります。
全国でたった17名しかいない難関レベルの調理1級を持つ熟練職人の鍋さばきを、様々な角度から半年間研究。
彼らと変わらないクオリティを安定して提供できるように、加熱温度、加熱時間、鍋の回転スピード、回転方向まで細かく調整して完全コピー化したの「I-Robo」です。
「I-Robo」では、約60種類ある大阪王将の定番メニューの中から、炒め物メニュー約20品の調理が可能。「I-Robo」導入により、重たい中華鍋の調理が減り、強い火力で過酷な厨房の環境などが改善。人手不足の解消にもつながります。
実は昨夜、テレビのバラエティ番組(坂上&指原のつぶれない店)で初めて知った。現場で実際に食べたタレントは「ロボット調理と人間調理の区別がつかない」と。
興味がわいたので、今度実際に食べに行く予定だが、現場のさまざまな悩みを耳にしているぼくとしては、「いいやん!」と思う。
ビズリーチ予備軍、いつ辞めるかわからん人間に給与や福利厚生費払うのなら、ロボットは初期投資とメンテナンス費用のみで済む。月額一台128,000円(5年契約)。安いもんだ。
ビズリーチは社内向けサービスも始めたようで、たとえば「工場にいるけど、営業に行きたい」とかの「ニーズ」にこっそり答えるそうだ。経営者からすればむずがゆい。つまらんことしてくれるな、と思うが、「社員=転職予備軍」ととらえたほうがいいのかもしれない。
いつもテーマを3つのポイントに整理している。
現在は
1:AIの動向 AI&ロボットの社会への実装が進んでいる
2:ホワイトカラーの働き方 この時代、人間にしかできない仕事って、何が残るの?
3:ドメインの変更と消失 すべてのビジネスがプランBを設定せざるを得なくなっている
そんな中、ウォールストリートジャーナル紙の記事(2月20日付)がとっても興味深かった。
The Wild Economics Behind Ferrari’s Domination of the Luxury Car Market;Limiting production is helping to make its sports cars coveted—and the company the most valuable automaker in Europe
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フェラーリの新型「ハイパーカー」は、2023年10月に公開された。しかし、そこには意外な展開があった———販売されなかったのだ。
そう、「売らない」。売らないのに、すでに売れてる。生産台数わずか799台。
一台370万ドル。日本円にして552,132,500円。5億5千万円。
じゃあ、6億財布に入れて、「くださいな」とフェラーリに行っても売ってくれない。お金出しても買えないのがフェラーリ。
「799台」というハンパな数字が鍵だ。
フェラーリは創業者エンツォ・フェラーリの希少性に関する哲学を貫いている。
「フェラーリは常に、市場が求める台数より1台少なく供給する」
フェラーリを買うためには、「ブランドから選ばれる」必要がある。
「フェラーリスタ(Ferrarista)」と呼ばれる濃いファンたちに向けて、単に買った車の台数だけでは選ばれないことを強調している。
「私たちが測ろうとしているのは、あなたとフェラーリとの関わりです」
と、マーケティング部門で長年にわたって指揮を取ってきたエンリコ・ガリエラ氏は語る。
つまり、一番重要視するのが「ブランドとの関係性資産」なわけだ。
この事例は、「どれだけたくさん売るか」がドメインの目標だったこれまでの多くのビジネスの、目を開かせてくれる。
たくさん売れば、それだけ産業廃棄物、ゴミも増える。
少なく売る。売る、というより、濃いファンが欲しいと思ってくれる対象を創造する。
得るのは売上(お金)だけではなく、濃いファンとの関係性資産。
熟練の職人にしかできないパラパラ絶品チャーハンすらロボットがやってしまうこの時代
・少なく売る
・関係性資産を耕す
・濃いファンとコミュニティをつくる
というのは、大事な指標だと思います。
・・・なんて言ってたら、「ロボット向けビズリーチ」ができたりしてね(笑)
「前どこにいたの?」
「大阪王将」
「どうだった?」
ロボットがヒソヒソしてたりして(笑)