「のため」って、ウソ
「あなたのためを思って言うのよ」
というとき、実は「自分のため」に言ってる。
「のため」にある商品や行動って、ウソの気がする。
順にお話しましょう。
『エコノミスト』主催
OpenAI サム・アルトマンとマイクロソフトCEOサティア・ナディアのトークセッション。日本時間昨夜。
進行は『エコノミスト』編集長ザニィ・ミントン・べドゥズ。
観る目的は一つ。「アルトマンが幸せそうか」観察した。
幸せそうじゃなかった。
アルトマン、AI開発が楽しくて、のめり込んで没頭していた時期・・・始めの時期・・・は嬉しかった。ワクワクした。喜びあった。愛もあった。楽しかった。
ChatGPT大ヒット。人類史上類を見ない速度でダウンロードされた。
投資家が寄ってくる。メディアが寄ってくる。知らない人が寄ってくる。
自分の手のひら、指の先、キィボードから離れていってしまった。
だんだん、AI開発が「のため」になっていった。
投資家のため
社員のため
自分の評判を落とさないため
・・・のため
のため
のため
薬も、「のため」の製品だ。
風邪のため。
あなたの風邪はどこから?
「ぼくはしっぽから」
「わたしはあたまの皿から」
では、あなたには「しっぽブロック」
あなたには「皿ブロック、キュウリ付き」
でも、内服薬というのは、しっぽならしっぽ「だけ」に届くのではない。ハリネズミ状に、全身を巡る。血液が運ぶ。
特定症状「のため」のはずが、ひょっとすると思わぬ副作用を生むかもしれない。
とはいえ、薬はお医者さんや薬剤師さんの言うことにしたがって服用すれば、効果期待できるから、問題ない。
気になるのが、アメリカン経営な思想、発想。
マイクロソフト製品は「仕事生産性向上のためにあります」
上のトークセッション、CEOナディア言ってた。
アメリカン経営の思想で言われる「のため」ってのは、ウソなんだよ。
マイクロソフト製品は資料作成中に「アップデートしますか?」聞いてくる。どこが生産性向上なんだ。「マイクロソフトのため」じゃん。
今朝「Microsoft 365 Personal のサブスクリプションに関する重要なお知らせ」メールきた。簡単にいうと、値上げ。12,984円だったのが14,900円に。1,916円も。提供価値は上がってない。
「マイクロソフトのため」に値上げする。一人1,916円でもサブスク利用者人数掛けたらかなりの金額になる。ぷんぷん!
JOY+WOW+LOVE and FUN、喜び、感動、愛、楽しさ
すべて、「のため」は、ない。
のための喜び
のための感動
のための愛
のための楽しさ
成立しないよね?
愛する人を愛するのは、何のためでもない。自分の中から生まれる。
デジタルとネットが大きな顔し始めたこの20年は、「のため」が増えた20年だった。
たとえば;
転職のため
転職が目的になってる。入社早々、転職サイトに登録する新入社員。
そんなひまあったら勉強しようよ。
「のため」はいいこと一つもないよ。
レゴランドの炎上。
ニューヨークで生活してたし、ニューヨーク大学ビジネススクールで一度教えたことがある。シリコンバレーでインタビューした。
翻訳8冊。
毎日英語の雑誌、新聞読む。
だからアメリカン経営発想、慣れてる。
要するに、彼らの発想は、「のため」なんだ。
「金儲けのため」「自分のキャリアアップのため」「ブランドを守るため」「株主のため」
ところが不思議なことに、「お客さんのため」は、ない。言葉としてはあるのだが、それはあくまで「for customer」といった語彙やスローガンの中にあるだけで、自分の中には、ない。
突き詰めると、
「私」のため。私心。
朝日が昇る前の欠けた月
そのまま、美しい。
のため
ではない。
「のため」、ぼく自身にも、あるはずだ。
これから点検し、一つひとつ、捨てていきます。