ささやかなヘルプ
友からのささやかなヘルプ(a little help from my friends)
『サージェント・ペパーズ』というでっかいアルバムの二曲目、しかもリンゴ・スターのボーカルということで、ややもすると影が小さくなりがちだけど、これ、名曲です。何と言ってもポールのベース・メロディラインが素晴らしい。
「友からのささやかなヘルプ」を思い出したのは、箱根駅伝で「給水」見たから。昨日、同じ給水でも、ハゲおっさんが唐突に並走して驚いた。あれじゃ選手は「何事?」「何か注意されるの?」と思ったに違いない。
でも今日の給水は、同級生や一年上にいる兄が笑顔でボトル渡してて、これこそ本当の給水だなと思った。
・・・あとで調べたら、昨日の海坊主は選手の父らしい。海坊主なんて言って失礼。違う。ハゲおっさんと言ったのか。失礼。ネットでは「果たせなかった父の箱根」風美談になってるみたい。ふーん。
海坊主の給水、会社でもよくありそうだ。
上司やら「ベテラン」が良かれと思って「ささやかなヘルプ」を出す。本人はあくまで「良かれ」なんだが、若い社員にとってはプレッシャーだろうなあ。「ささやか」が「重くずっしり」になる。
これは経営者仲間でも。
同じくらいの年齢、経験の仲間同士だと「ささやかなヘルプ」になるけれど、大御所が出てくるとプレッシャー以外の何ものでもない。MAIDOで、ぼく以外のメンバーが何やら勝手にやってる。その方がいい流れになる。だからぼくは何もしない。これでいいのだ。
給水
会社や店、さまざまなシーンで必要だと思う。
その際、あくまで自然に生まれるのがいいね。これが「こういう条件が整った場合に限り給水可」といったルールになると話が違ってくる。
そう思ってみると、良い会社や店の風土を測定するのは
給水
ができるかどうか
給水
があるかどうか
だね。
今どきはオンライン、テレワーク中心ですわ、という大きな会社も多いかもしれない。そういう会社の組織がいずれ求心力を失い、業績を上げられなくなる理由は
給水ができないから
と思う。
それだけ、給水って大事だと箱根駅伝で学びました。
さて、たまたま今朝の新聞広告で知り、Kindleダウンロードして読み始めたのだが、勉強になる。
口入れ屋、要するに人材派遣業。多岐にわたる職を斡旋した。短期の奉公人、日雇い、中には裏の賭博場の用心棒なんていう物騒な仕事も。
時代を問わず、商いを成立させるのは、「安定した需要」。
江戸時代、それは参勤交代の人数合わせだった。
そりゃそうだ。遠い国から全員連れてきたら旅費交通費がバカにならない。
ただ並んで、歩いてくれりゃいい
という人数合わせへのニーズは確実に存在した。
これも「ささやかなヘルプ」だった。
安政期以降、国の軍事力強化推進により参勤交代制度が型ばかりになっていくにつれ、多くの口入れ屋の経営が打撃を受けたという。明治へと向かっていった時代だ。明治と江戸の違いは、「ささやかなヘルプ」が成立しなくなったこと。なのかもしれない。つまらぬ国になっていったってことだ。
「近代国家、すべてが良いわけではない」
という視点から、近代史の洗い直しをしているが、「ささやかなヘルプ」が通用するかどうか、というものさしは使えるかも。