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コンステレーションで読み解く
コンステレーション
Constellation
「con(コン)」は「with (共に)」
「Stellar(ステラ)」は「星」
つまり、「星座」という意味。
星座を形成する各星たち本人は
「さあ! がんばって射手座になるぞ」
「今年こそはきれいな北斗七星をつくらねば、みんな気合入れよう!」
「いいえあたしはさそり座の女」
なんてのはなく、地上にいる人間が勝手にカタチをイメージし、物語を付し、喜んでるだけだ。
星座を形成する星たち同士に因果律は、ない。
ないのだが、そこには意味がある。
意味というのは極めて人間的なものだ。人間が物語を作り、意味を編み出すから。
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ビジネスやマーケティングは「意識」の営み。
でも、その成果は「無意識」の作用も働いている。
ここ、無視できない。
意識と無意識は相補関係にあり、こころの全体的な調和を保つものだから。
あなたがいまの職業をなぜ選んだのか
会社員の人は会社の選択
自営業者の人は商売の選択
意識だけで解き明かそうとすると、解は得られない。
コンステレーションで読み解く
が有効。
明日のビッグ・ウェンズデーではさらに深くお話しますが、長くなるので、今日はそのイントロ部分を。
いまあなたは
中央公会堂大ホール
にいるとイメージして、話をきいてください。
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5歳で両親が離婚し、オカンに引き取られて大阪府豊中市の新築一戸建て豪邸から兵庫県尼崎のしょぼい文化住宅の一室へ引っ越した。三畳六畳、風呂なし。
これが1963年。
1984年に当時勤務していた旭化成から広島へ転勤を命じられるまで21年、ここに住んでた。銭湯通いしてた。
「阪本、今日夜、いいか」部長に言われた。
夜、指定された高級和食レストランに行くと、部長と課長がいた。
「もう、わかると思うけど、転勤」
わかってなかった。
いまから思えば、あらためて上司が「いい席」を用意してくれる、ということは「転勤のお告げ」なんだろうけど、天然のぼくは「ごちそうしてくれるんだなあ」と喜んでた。
その年の秋、結婚する予定で式場やら何やら準備していたのが、突然、広島行きを命じられ、戸惑った。
広島行った。
新築マンション。人生、ものごころついて初の家風呂。
上司が勉強熱心な人で、当時日本市場に進出したばかりのマッキンゼーが宣伝のために出版したシリーズものを社内勉強会の課題図書にした。
『成熟期の成長戦略』
『成熟期の差別化戦略』
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など、たしか4冊くらいのシリーズ。
ぼくの担当は『成熟期の差別化戦略』で、マーケティングだった。
これで世の中には「経営コンサルタント」という職業のあることがわかった。
大前研一さんに憧れた。
後にメルマガ(Surfin’)発行した折、大前さんも読者にいてくれて、何度かやりとりした。有頂天になった。
「経営コンサルタントになろう」決めた。
でも、「経営コンサルタントになる方法」はどこにもない。
ちゃんと経営の勉強しなきゃな、と思い、ハーバードのMBAで使うケーススタディでも本になってないか紀伊國屋書店広島店に行って探したけど、そんなものはない。
グロービスが開校する前だった。
時は流れ
メルマガ発刊を機に、社外の人との交流が始まった。
グロービスに転職しないか、と誘われた。
創業者の堀義人社長と面談、何度かメールもやりとりした。
結果、転職しないことにした。
その後も一度お誘いを受けたが、お断りした。
「なんか、違う」と思ったから。
別にグロービスを否定してのことではない。
「自分とは、違う」
という、なんか、よくわからない理由だ。
思えば、このまま放っておくとグロービスに転職しちゃうという「意識のはたらき」に「無意識」がブレーキかけたんだろう。
1998年1月、フロリダへ行った。知人のNちゃん(女子)が留学してたので、遊びに行った。
帰国前夜、Nちゃんにお礼兼ねてメキシコ料理店でディナー。フォートローダーデール名物の運河を船でレストランまで行くシャレた演出だった。
その時、理由もう思い出せないんだけど、めちゃくちゃNちゃんに怒られた。
とにかく一方的に阪本が悪い
という怒られ方だった。
めしをごちそうしながら叱られる
という図でした。
帰りの空港
「機内で読んでください」手紙渡された。
「ぼくがNちゃんに惚れて、それでフロリダまでわざわざ来たようだが、私には好きな人がいる、だからあきらめてくれ」
と書いてあった。なんでこうなるねん。ぼくは結婚してるし。
といっても、きっとぼくが天然だから、そういうことになるんだろう。
誤解を招いた。
このフロリダ行きで、ぼくはさらにアメリカが好きになった。
その1998年末、トム・ピーターズに会いにシリコンバレーへ飛んだ。
アポなし。でも、会わねばならない、と飛行機乗った。
その時の話は別にも書いたので割愛。
サンフランシスコで忘年会しようと、メルマガ読者に呼びかけたら5人から手が上がった。
うちの一人、Kさん、とてもウマが合った。
翌年、ニューヨークで合流しましょう、と話が決まった。
当時まだぼくは旭化成社員なので、ゴールデンウィークを利用してニューヨークへ飛んだ。
オフ・ブロードウェイ・ミュージカルのチケットを買うためシアターへ行ったら正午からだった。時間つぶしにユニオンスクエア北にあるバーンズアンドノーブル書店へ行き、平積みされている本に目が釘付けになった。
Seth Godin “Permission Marketing”
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その場で読み始め、座り込んで読んだ。
これはオレが日本に紹介せねばならない
本を出版したこともなければ、翻訳したこともない。
でも、そう確信した。
「たまたま」チケットの発売まで時間があったので書店へ行った
「たまたま」本に目が行った
「たまたま」メルマガの読者に翔泳社社員がいた
「たまたま」彼と「読んで面白かった本」についてメール交換していた
「たまたま」彼に”Permission Marketing”を話した
「たまたま」”Permission Marketing”の版権が空いてた(*)
*セス・ゴーディンの前著の売れ行きが悪く、ダイヤモンド社が今回の本(Permission)を見送ってた
結果、翻訳し出版デビューしたのだが、これがベストセラーになった。アマゾンが日本に進出する前年だから、リアル書店だけで売れた。めっちゃくちゃ売れた。
結果、セミナー講師やコンサルティングの依頼が山ほど来た。
朝起きたらノートパソコンが膨らむくらいメールきてた。
旭化成を辞め、コンサルタントとして起業する環境が整った。
こうして一つひとつの「出来事」を見てみると、まるで星座のように一つの意味、イメージ、物語を編み出している。
「コンサルタントになれ」
「本を書け」
「講演の仕事をしろ」
「勉強会を主催しなさい」
長くなったので、ここまでにしますが、
起こったことはすべていいこと
というぼくの人生哲学は、
コンステレーションからも実証されると思います。
うまくいかない
なぜこんなことばかり起きるんだろう
という人は、無意識が星座を形成する手伝いをしてくれている
そう思います。