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ふりこ理論

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The Economist, Dec 21st 2023記事より

ちょうど『エコノミスト』の「Xユーザー数がイーロン・マスク買収を起点として激減」記事読んでいたところ。どんぴしゃりだった。

さて、イーロン・マスクといえば「強調好きオヤジ」(あくまでぼくのイメージね)、強調といえば、こんな働きがある。

あるものを強調しようとすると却って逆に働いてしまう。

どういうことか。

Aの反対がBとする。Aを強調しようとするとBが強くなり、逆にAが弱まる。

これを仮に「ふりこ理論」と呼んでみよう。ふりこはどっちかに振れたら、必ず元に戻るよね。

この二日間、映画ばかり観てた。

身体のバランス崩した。ふりこ理論で、必ず元に戻る。
仕事ばかりしてたから、仕事しなければ戻る。そう決めて。仕事放り出した。

『バービー』

日本では評判悪かったようだが、面白かった。

おそらく予告編の出来が良くないんだと思う。
映画の良さが伝わってこない。これじゃまるで出来損ないファンタジーだが、実のところ、リアルもリアル、現実の本当の姿が仮想現実バービー・ワールドのおかげではっきり見せられる。

バービー人形は「女性でも」〇〇ができる
と、「男性らしい」社会的役割を次々実現した。
先生、医者、パイロット、果ては大統領まで。

ところが現実は、やればやるほど「男社会」が強調される始末。

バービー販売元のマテル社重役会議はダークスーツの男性ばかり。
しかも一人の男性CEOが全体を仕切ってる。

ふりこ理論。

あるものを強調しようとすると却って逆に働いてしまう。

つまり、女性でも男性に負けない能力を発揮して、社会で活躍できると強調しようとすると却って逆に男社会を作ってしまったアメリカの資本主義社会。それで幸せですか? そう問いかけてくる。

『コンクリート・ユートピア』。
イ・ビョンホン(アイリス)、パク・ソジュン(梨泰院クラス)、パク・ポヨン(力の強い女・ト・ボンスン)という、美味しい三人が出てる。

地震だか何かわからないが、突如自然災害が起こり、ソウルが瓦礫の山になる。
たった一つだけ残ったマンション。

こういう「なんでそんなこと思いつく?」前提、韓国エンタテイメントのお得意芸で、楽しめる。

さあ、当然、たった一つ残った屋根に人が押し寄せる。同じ人間なのに「外部」と「内部」で仕切られる。これはぼくが附属高校に入ったとき、感じた。

大阪教育大学附属池田は小学校からある。小学校中学校と上がってきた生徒は「内部」、ぼくのように高校から入った者は「外部」とはっきり線引された。ところが内部を強調すればするほど外部が強調される。高校ではそこを利用し、学園祭では映画撮ったり、いろいろやんちゃした。彼女は内部の子だったし。ふりこ理論のおかげ。

マンションを手に入れる、ということは、すなわち、家族の幸せの場を手に入れる、ということだ。それを強調すればするほど、逆が強くなる。「内」を強調すると「外」が強くなり、「内」が弱まってしまう。

家族の幸せをつかむため頑張ってマンション買ったはいいが、そのため仕事しごとで、なかなか家族と一緒にいる時間が取れない。「仕事=外」が強くなり逆に「内」が弱くなってしまう。

映画では、自然災害がもたらしたものとしているが、見た目瓦礫の山ではないにしても、家の中は空疎、というのは日本のタワマンライフにもあるんじゃないだろうか。

コロナで蹴飛ばされ、劇場へ足運んで映画観る人たち、これを英語でmovie-goerというけれど、彼らの潮が引いて映画界も先を憂いた。

それが今年7月封切りされた『バービー』と『オッペンハイマー』のおかげで潮が戻って一安心したらしい。

The Economist, Aug 9th 2023記事より
同上記事

これは外出自粛しようぜ、家でネトフリ観りゃいいじゃん、「自宅映画鑑賞」というものが強調され過ぎたがゆえに、逆にその反対にある「劇場鑑賞」が強まったといえる。

劇場のあの異空間、音の良さ、画面の大きさ、広がり、いいわー。

ふりこ理論は働き方にも影響を与えている。

「おうちで仕事」が週のうち何日フルタイムであるか。オレンジが社員希望、薄いオレンジ会社希望、黒実際。

実際と希望の差あるのは当然といえ、2日の違いだ。たった2日。

あれだけテレワークのZOOMのひょっとこのと言ってたのが「やっぱ会社行かないと、仕事にならんわ」みんな思ってる。

これから来るふりこ理論は、販売の現場だ。
特に流通、飲食。ホテル。
人による温かい接客がKFS(成功の鍵)になる。

マツコだかDXだか知らんが、「あんたの正義はいったい何だ?」と問われているのが販売現場。楽しみだ。

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