方程式を立てる
要するに
方程式を立てる
解くのではない
立てる。
十牛図で「第一 尋牛」が最も重要であるのと同じ意味。
事例で話すね。
NPO法人JW-UP
もともと立ち上げたときのミッション、つまり立てた方程式は
IT企業とシングルマザーをつなぐにはどうするか
だった。
1年半やってみて、どうもうまくいかない。
プログラミングなどの仕事は自宅でできる
子どもが横にいてもできる
パソコン一台あればできる
必要なスキルは企業サイドが研修してくれる
・・・これらは方程式を解くための「与件」としてもっていたのだがことごとく外した。
そもそもパソコンを触ったこともない
ウィンドウズ? マック? 知らない
家にパソコンがない
スマホしか触らない
どうしたものか
と思っていたのが今年春。
同じ頃、認定NPO法人になるべく動いてた。
認定NPOになると寄付者は個人、法人を問わず、税の優遇措置を得られる。
寄付してもらいやすくなる。
ところがこの、「税の優遇措置」という根本思想は
「これこれの活動をするのに、これだけの費用がかかります。なので、その一部を寄付で負担していただけますか」
だとわかった。
ところが今春時点、JW-UPの活動はpoorだった。貧しかった。
立てた方程式が間違っていたから。
そこでミッション=方程式を立て直した。
JW-UPを「ジョブ・クリエイション・ブティック」と再定義、もともとぼくの得意とする「仕事創り」を始めた。創った仕事はスプレッドシートに記入し、メンバーで共有している。
どれだけ楽しいジョブをクリエイションできるか?
が新しく立てた方程式だ。
JW-UPは営利活動をしないNPOなので、受発注の受け皿としてokami3というグループも生まれた。JOYWOWが創った仕事へokami3(正確には大女将の経営する会社)から請求書をもらって、支払う。
12月を迎え、ジョブ・クリエイション・ブティックとして自信がついたので、機は熟した、認定NPO申請手続きに入ろう。
所轄の大阪市とのやりとりなどの仕事はokami3に依頼しよう。
そのギャラはきちんとお支払いする。
つまりこれもジョブ・クリエイション。
それが一昨日の話。
昨日、具体的に仕事依頼内容を詰めようと、春にもらった手引を読み返してみた。
認定基準「パブリック・サポート・テスト」の一番最初に「年間3,000円以上の寄付者が100人以上いるか否か」という問いがあり、ここでいきなりアウト。
そもそも申請条件を満たしていない(笑)
JW-UPメンバーは現時点50人弱だ。
しかも入会金1,000円、年会費1,000円だから合計しても2,000円。
一番数の多い立ち上げ時から参加してもらっている人は年会費1,000円だけ。
すでにokami3にはお願いしていて快諾もらってたのだけど、事情を話した。
ここでも方程式を立てた。
一般的には「メンバーを100人以上にする。そして寄付金額を3,000円以上にお願いする」
という方程式が立ちそうで、一瞬ぼくもその方向にアタマが向きかけた。
ただ、okami3たちと話しているうち(メッセンジャーやりとりで)、
楽しい仕事を生み出す
ことが最優先で、
人数と寄付金額を増やすのは芯じゃないと気づいた。
人数と寄付金額は自然に増えるものであり、それはどれだけ楽しい仕事が生み出されているか、ワクワクの空気が広がっているか、見ていて楽しく、自分も混ぜて、と思うか
だ。
つまり、
どれだけ楽しいジョブをクリエイションできるか?
という、春に立てた方程式に添えば、自ずと答えは出る。
認定申請は、自然に条件が整ってから動くことにした。
それより、okami3メンバーとあらためてやりとする中で
・ぼくたちは何がしたいんだろう?
・何を楽しいと思うんだろう?
・何を手に入れたいんだろう?
を見つめ直す時間を得ることができた。
実は、このために「認定条件失格」をもらったのかもしれない。
考えてみれば、JOYWOWのMAIDOやマーケティング・セミナーで常にぼくが受講生に課すのは
方程式を立てる
こと。
間違った方程式を立て、それを解こうとするのは経営資源の無駄遣いだし、そもそも人生の貴重な時間がもったいない。
いまハマってる『推しの子』は、アニメが良い。
アニメだからこそのあの世界観をじっくり描ける。
「あの世界観」というのは「ウソ」について。
舞台の芸能界はウソでできている。
アニメだからこそ登場人物の目に星があっていい。
しっかりディテールを語ることで、ウソがウソにならず、本当の説得力を生み出している。たとえば、第7話「バズ」。
「炎上騒ぎは、ある程度の終息を見せた。そういう歯切れの悪い言い方になるのは、炎上に完全な解決はないからだ」
と語る。このディテールがあるからこそ、大きなウソがほんものになってゆく。
ところが、「アニメがヒットしたから実写版もヒットするんじゃないか?」という方程式を立ててしまった。
この方程式は明らかに間違っている。実写にすると、「ウソ」に限界が出てしまう。
実写も見たが、違和感しかなかった。
役者さんや演出、制作側にミスがあるのではなく、そもそもの方程式の立て方が違っているのだ。
ということで、方程式は、正しく立てましょう。