
ノスタルジー・アプローチ
ブランドとは、好きになってもらう理由。
記憶 でもある。
ワシントン・ポストの記事が面白い。

タイトル「アメリカ人にとってのベストな時は? データが語る」
データを見ると、大変興味深いことがわかる。
生まれた年で色分けし、「あなたにとってベストな音楽のあった時は?」
「家族が一番幸せだった時は?」「ベストなファッション時代は?」「イケてる映画が上映された時は?」・・・と質問する。
タテが投票数、ヨコが年代。
面白いことに、きれいに色が分かれ、最年長のレッドからオレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、そして最年少のパープルへと動く。左から右へ。

重なることはあっても、逆転はしない。つまり、左から行儀よく右へと動いていく。
なぜか。
人間が過去を振り返るとき、ついて回るのが
ノスタルジー
だ。
「あのころは良かったなあ・・・」
生まれた時代に関係なく、10歳までの年齢・・・8歳とか・・・に体験したものを「ベスト」とする傾向がある。
ノスタルジーが記憶を美化するから。
下のグラフを見れば明らかだが、どのテーマに対しても、8歳から15歳、せいぜい18歳のティーンエージャー時代が「サイコーだった」と思ってる。

まあこれはアメリカ人のデータだけれど、傾向は同じだろう。
初恋の人は大人になってから会わないに限る(笑)。
これをブランドに使えないだろうか。
ノスタルジーが美化してくれる、記憶に残してくれる
というのを。
東京ディズニーリゾートやUSJが強いのは、行った年齢に関係なく、「回想時ノスタルジーがもれなくついてくる」から。
5歳で初めて行った。15歳で思い出す。ノスタルジーもれなく。
39歳で初めて行った。50歳で思い出す。ノスタルジーまみれてる。
歯医者。10歳の子どもにとって、歯医者の経験というのは、イヤな以外なにものでもない。だからノスタルジーが使えない業種業態と言える。
50代、60代のおっさんにとっては「若い女の子にお口触ってもらえる」ノスタルジーがある。だから歯医者はおっさんで溢れてる(あくまで個人の見解です)。
ブランド建てるとき、大事なのは
誰がお客さんか
と同時に
誰がお客さんではないか
を考える。
「誰がお客さんではないか」の指標は、「その人にノスタルジーがついてくるか?」にしてみるとわかりやすいかもしれない。
会社近所の丸福珈琲店がいつのまにかなくなって、後にここがくるみたい。

丸福珈琲店とHolly's Cafeは明らかに「ノスタルジー」が違う。
前者は大人、後者はファミリーだ。
近所はタワマンだらけだから、ひょっとすると、ノスタルジー・アプローチからすれば、Holly's Cafeの方が向いてるのかもしれないね。