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足、どぶ板営業と診療圏調査

この写真に衝撃を受けた。

昭和の駄菓子屋さん

注目したのがコカ・コーラの自販機

ひさしにぶら下がっているロゴたち

子どもの頃の記憶をたどれば、この店の経営者は「おじい・おばあ」であり、コカ・コーラなんてもんは興味がないし、好んで飲まないだろう。

だから彼らがコカ・コーラ社へ「自販機置かせて欲しい。ついでにひさしへぶら下げるロゴたちもつけてくれるとありがたい」といったオファをするとは思えない。

では、なぜ、あるか。

簡単で、コカ・コーラの営業マンがせっせとこの店に通い、「お願い」をした結果だ。

足、どぶ板営業

コカ・コーラの強みは、圧倒的に自販機があるから。

気づけば、コカ・コーラ自販機がある。

当たり前だが、自販機が地面からにょきにょき生えてくるわけではない。
そこには誰かの「お願い」と「交渉」と「合意」がある。
お金も絡む。

商いの原点は「足、どぶ板営業」。

2000年以降、インターネットだのSNSだのがビジネスの現場に普及してから、「足、どぶ板営業をショートカットする道具」と勘違いしている人が増えた。「バズる」なんてのもまさにそれだね。インフルエンサー雇うとか。

違う。

商いの原点は

足、どぶ板営業。

日本のクリニックが危機に瀕している。

帝国データバンクの調査(2021年)によると、無床診療所の休廃業・解散が258件と過去最多、売上高が前年度比でマイナスに転じたクリニックは全体の80%に上る。ここでいうクリニックとは、耳鼻咽喉科、小児科、歯科、皮膚科、内科・・・いわゆる「町のお医者さん」だ。

歯科はコンビニよりも多い。結果、競争激化が進み歯科開業医の平均年収は587万円らしい(あくまで平均、ね)。

耳鼻咽喉科、小児科は低単価、低収益の代表的なものだ。しかも少子高齢化が進み「お客さん」そのものが減ってきている。

たまたま大きな書店で、わざとふだん行かない書棚に行ってみた。「医学」コーナーで見つけた。

著者・高松さんは耳鼻咽喉科。
命に直接関係が弱いため、「ま、いっか」と後回しにされがちな病気を扱う。

医院の「売上」は診療報酬制度で決められている。だから価格競争ができない。ところが2024年度の診療報酬改定では、初診料などの保険点数は上がったものの、薬価を含めた全体では0.12%のマイナスとなっている。実に6期連続でマイナス。

こうなるといくら経営努力して集患(集客)しても、売上が構造的に減る。

ところがウクライナ侵攻以降、光熱費を中心に物価は上がる一方。

どうするか。

これ、クリニックだけの話じゃないよね? 日本で商いやってる人全員に共通する環境だよね。

高松さんは、サージ(手術)できるクリニックをハブとして設置し、そことネットワークで結ぶ診療院を散りばめる戦略を実行した。

出店(院)するにあたっては、自ら足を運び、急行の止まる駅なのか、昼間の通行人の数は、様子は・・・と身体で体験する。

地域一番店がある場合は、居酒屋で隣に座った人に「この近所にいい耳鼻科はないですかね」と聞いてみる。

あるいは、一番店から出てきた患者に直接「ここ、良かったですか」と聞く。

まさに足、どぶ板営業

だけではなく、もちろん、データも活用する。

この無料アプリは優れもので、いまインストールし、すぐに調べてみた。

あっという間にこれだけのデータが入手できた。

これ、なにもクリニックだけで使うデータではない。

このエリアの「素顔」を表している。

飲食店を出す場合でも、非常に有効だ。

マーケティング戦略のベースになるデータ。

データを根っこにおいて、足、どぶ板営業をする。

これが2024年のマーケティングです。

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