和中散(わちゅうさん)
旧 和中散本舗
という、360年前 元和の頃に建築された重要文化財で講演した。
塾生がメナードのサロンを経営していて、そのコミュニティメンバーが集まる。
どういう話をしよう。
ビジネスバリバリという感じでもないだろうなあ。
とりあえず、皆さんのお顔を見て、それから話す内容を決めよう。
ここ 旧 和中散本舗 は
旧東海道の草津宿と石部宿の中間にあり、旅人が休む場所だったそうな。
和中散
という薬を商(あきな)っていた。
家康が腹痛を起こした折、和中散を服用したところ、たちどころに治ったことが評判を呼び、世に知られることになったらしい(ぼくは昨日勘違いして、家康がネーミングしたものとばかり思っていた)。
ご当主の話を聞き、見事なお庭を眺めながら、「今日のテーマはやはり和中散だな」
和 わ 「和(やわ)らぎがなにより大事であり、他人といさかいを起こさないのが肝心である」
聖徳太子が604年に編纂した「十七条憲法」冒頭の文章。
和をもって貴しとなす
和(やわらぎ)を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。
「和(やわらぎ)」は対人関係だけではなく、身体的にも大事で、
うまくいってない
人は
たいてい身体が固くなってしまっている。
そうすると
中 中庸
ニュートラル
が保てず、傾いてしまう。どちらかに
右か左か
上か下か
という「分断」は本来日本人にはなじめない思考法だ。
日本人は
長く
「外」と「内」があいまいな家に住んでた
縁側
もその印で、外と内のグレーゾーン。
ぼくはマンションの四角い部屋、密室、外気との遮断が
日本人に そもそもなじまない空間ではないかと思ってる。
和中散本舗の建物、開放されている。
開いている
天井にツバメの巣がいくつもある。
家の中にツバメの巣だよ? ひいふうみい、と数えたが、少なくとも6つはあった。
カラスが雛を狙って飛んでくるらしい
ほかにもラスカルやら狐やらたぬきやらも入ってくる
夏は涼しいが冬は寒いらしい
ご当主(*)はこの家で生まれ、育ち、現在も住んでおられる。
*大角淳子さん 角の下部、ほんとうの字は用
古い建築物を維持するためのご苦労は(経済的なものも含め)並大抵ではないはずだが、でも、この「開いた」空間に生きておられるから、ご自身も「開いて」おられる。
そこがとっても素敵で、魅力的。
和
中
そして
散
散らす
血液にせよ、水にせよ、筋肉にせよ、
凝り固まると
不健康になる
商いもそうだ。
「これでなければならない」
という自分なりの必勝方程式にこだわると
たいてい
うまくいかない。
禅の悟り
というのは
そういう
凝り固まった考えに囚われている
ことからの解放
を指す
解放とは、すなわち
散らす
ことを指す。
和中散
お互い、心身と商いの健康のため、心がけましょうね。