商い(ビジネス)は、価格の発明。
JR名古屋駅からタクシー乗った。
何気なく外見ていたら、かつてジーンズメイトのあったテナントビルが真っ黒に見えた。ジーンズメイトって、なぜ残念になったんだろう・・・
商い(ビジネス)は、価格の発明。
ダイソーが「なんでも100円だよ!」という百均を始めた頃、ぼくは広島にいた。新しいコンセプトで、ワクワクした。ダイソーは価格を発明した。
ユニクロは、「手頃な価格なのに、そこそこデザインも品質もいいじゃん」で多くの支持を受け、成長した。さらに、フリース、エアリズム(涼しい、というシンプルな価値提案)など「機能性に優れているのに、でも価格は手頃」というラインアップを提案した。ユニクロも価格を発明した。
ジーンズメイトは岡山県児島市(現・倉敷市)の、ジーンズ発祥の地の会社が創業し、90年代はベンチャーのホープとしてメディアなどにもよく取り上げられた。「24時間営業のジーンズショップ」という新しい価値も珍しかった。
ただ、それで終わった。
「そもそもジーンズ買うのに24時間営業って?」誰もが疑問に思う。
「ジーンズメイトが迷い込んだ“隘路”5年連続で営業赤字の理由」という東洋経済オンライン記事を見つけた。日付を見ると2013年9月20日になっている。
10年前、すでにしんどかったのだ。
この10年、ジーンズメイトを取り巻く環境は大きく変わった。
ユニクロが力つけてきたし、GUも広まった。特にメインターゲットの若者たちが服を買う行動も変化した。古着というカテゴリーが力つけた。セカンドストリートを始め、ZOZOなど、選択肢が増えた。選択肢は、言い換えれば、「価格」だ。ジーンズメイトは「価格の発明」ができていなかった。いまやライザップの傘下だが、ライザップ自身も厳しい。
価格でころんで、価格の発明で息を吹き返したのがミスタードーナツ。
ひところ「100円ドーナツ」を出した。これがいけなかった。100円以外のドーナツが売れなくなったのだ。わかりやすいシンプルな話。
ミスタードーナツを運営する親会社ダスキンに知人がいて、大阪江坂(吹田市)の本社におじゃましたこともあり、ミスドへの思い入れは濃い。旭化成社員時代創刊したメルマガ『電脳市場本舗 ~ Marketing Surfin'』(休刊中)の記念すべき第一号、ミスドがテーマだった。
「100円セール」でころび、当時1000店舗を超えていたミスドは縮小せざるを得なくなった。
「ドーナツはどこでも売ってる。そのどこでも売ってるドーナツだけど、わざわざミスド行って買いましょう」の理由づけは「100円」ではなかったのだ。
「100円セール」は2016年に取りやめた。
ただ、すぐには業績回復につながらず、それから6年たった2022年、ようやく回復した。昨年11月16日付日経新聞記事によると、今年4月には1000店舗回復する予定という。
他の企業と共同開発する「misdo meets(ミスドミーツ)」が業績回復のけん引役になっているらしい。有名なスイーツブランド「BAKE(ベイク)」や京都の宇治茶専門店「祇園辻利」などとのコラボが集客につながっている。価格は170円~230円、定番でぼくのお気に入り「ポン・デ・リング」の120円よりやや高いが、売れている。
ミスドはミスドの価格というものを発明したのであり、どこでも耳にするような「100円セール」には手を出してはいけなかった。ミスドがミスドでなくなったんだ。
ということで、商い(ビジネス)は、価格の発明というお話でした。ちゃんちゃん!
写真は、昨日新幹線新大阪駅ホームで見かけ、気になった広告。
コボット 惹かれます(笑)