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思いと技術

2003年

都内は高層ビルがにょきにょきし、電波塔としての東京タワーは仕事がしにくくなっていた。

新しい電波塔が必要。

高さは?

東京タワーの2倍必要だ。333メートルの2倍となると666メートル。
マンションでいうと、222階建て。

ここまでが「思い」。

「思い」を可能にするのが「技術」だ。

技術は「あのひとだからできる」といった属人性を排し、誰がやってもできる再現性がなければならない。

ところが当時の日本で、600メートルの自立型タワーを建造する「技術」はなかった。

こうして、東京スカイツリー建設の挑戦が始まった。

いまあなたは「プロジェクトXか!」とツッコミ入れたかもしれないけど、はい、ネタはプロジェクトXにもらってます(笑)

まず、意匠(デザイン)設計と構造設計が必要。
日建設計の二人が担当した。
意匠は吉野さん、構造は小西さん。

まずは吉野さんがデザインする。
ただデザインすればいいというものではない。
建築物は、敷地面積に規定される。

通常、タワーは、高さの3分の1の面積が基礎に欲しい。支えるためだ。エッフェ塔も、東京タワーも、そうなってる。1対3。

東京タワーは300メートルの高さだから100メートル四方の土台がある。

ところがスカイツリー建設予定地は狭い。南北に距離を取れない。

四角い土台は無理とわかった。

東京タワーより狭い敷地に東京タワーの2倍の高さを建てなければならない。

では、強度の出る正三角形で作るとしても、1辺の長さが68メートルしか取れないことがわかった。やるしかない・・・これが技術。

これで三角形を土台にするスカイツリーのデザインが決まった。

構造担当の小西さんにバトンが渡された。

小西さんは阪神・淡路大震災体験者。自分の愛する街が地震で破壊され、建築家として悔しい思いをした体験がある。

だからこそ、東海地震・東南海地震・南海地震クラスの巨大地震が3つ同時に襲ってもびくともしない耐性のある構造物にする。決めた。ただ、その「思い」を可能にする「技術」を解かなければならない。

解けた。

五重の塔。中央に心柱があり周辺の揺れと時差を設けて揺れるため、免震性がある。

さて;

ビジネスも「思い」と「技術」だ。
マーケティングもまた同じ。

ビジネスで、みんなが望むのは「ヒット」。
でも同じヒットにも2種類ある。

「ラッキーヒット」と「技術に基づいたヒット」

ラッキーに経営を委ねるわけにはいかない。
社員はじめ、みんなの人生がかかってる。

どんなビジネスにも、先輩たちが汗流して手に入れた「技術」がある。

たとえば、ネットショップ(*)であれば;

*楽天などのネットショッピングモールに出店せず、自社サイトのみのピュアプレイの場合

#1.  いまの日本人は二人に一人が50代以上

#2.  カード会社のセキュリティ審査が厳しくなってる(久しぶりにベトナム旅行したら『ふだんの居住場所ではない』理由で、止められたりする)

#3.  カードのフィッシング詐欺が高等化しているから「知らないネットショップに自分のカード情報を伝えたくない」思いがある。ネットで買い物するのに慣れた人ほど

#4. メルマガの開封率は低い

という環境をふまえた「売るための技術」がちゃんとある。

#1に対しては
電話、ファクスという注文方法を用意する。

ハルメクのやってることを見ると勉強になる。
ハルメクのファクス注文用紙(自分用とギフト用2種類用意されている、ファクス番号を上下両方から見ることができるような記載、など)が「技術」として、ある。参考にしない手はない。

#2と#3に対しては
アマゾンペイを用意する。

昨日、お気に入りのスニーカー、同じのを買おうとした。
以前買ったショップでは扱いをやめたみたいなので、やむなくネットで検索。

メーカーのオフィシャルショップにあった。
買いましょう。

ところが、途中で手が止まった。

カード情報を入れなきゃならない。

ちゃんとしたメーカーだから大丈夫なんだけど、万が一ということもある。
検索して出てきたサイトだから、本当に本当にここがこのメーカーのウェブショップなのか?

念のため、アマゾンで見てみた。
同じものが、メーカーのショップと同じ価格で売ってる。しかも販売店の電話番号まである。

サイズが気になったので、電話で確認、「じゃ、いまからオーダーしますのでよろしくお願いします」と店の担当者さんとやり取りして安心した。

決済は、いつものアマゾンで変わりない。安心。

だから、自社のネットショップにもアマゾンペイを入れておけば、最初に買うお客さんの、こういう心配を取り除くことができる。

#4「メルマガ開封率が低い」のであれば、同梱物を粘着性高いコンテンツにする。

目的はリピート購買を促すわけだから、「今買ってくれたもの」を見て、それに合った提案チラシなどを用意する。「次回はこれこれこういうものもございます。いかがでしょうか」と。

同梱物は、当然のことだが、開封率100%だ。

ということで、ビジネスにできるだけラッキーを交えず、確度高くヒット狙うために、「技術」を活用しましょう。

皆さんの応援のおかげで、新刊書、今朝もまだベストセラー1位をキープしています。ありがとうございます!!

このヒットも、実は「技術に基づいたヒット」なんですが、詳細はまた何かの機会に。

近々では、今度の日曜日6月2日(JOYWOW創業25周年記念日)、クラシコム青木耕平さんとオンラインでトークライブやります。
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7月2日には滋賀県守山のすごく素敵な図書館でリアルのトークライブやります。
ご都合つけば是非お目にかかりましょう。

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