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【読書感想文】ドーナツを穴だけ残して食べる方法

出版された2014年ころから気になっていたけど、ようやく読んだ本。
大阪大学の研究者たちが、それぞれの専門性から、「ドーナツの穴だけ残して食べる方法」を考えたり、この命題そのものについて考えたり、ドーナツの穴について考えたり。

僕自身は学生時代にミスタードーナツでバイトしていたので、ドーナツについては穴ごと、一生分食べているんですが、それぞれの学問領域を俯瞰するのにとてもいい本でした。

めちゃくちゃ単純化して書いてみると。
工学の研究者は、「ギネス記録に挑戦!」みたいな考え方で問題に取り組みがち。
数学の場合は、自分で定義を組み立てるところからスタートする。
美学の場合は、どういう枠組みで考えるか?を考える。

けっこう、この2年くらいで本を読んで感じていた学問ごとの性格を表現した内容になっていて、面白かったです。

化学者としての僕ならどうしただろう?

大学のときの研究領域=超分子で考えるなら、「ドーナツの穴が、ドーナツの中にあるよりも、もっと居心地がいい空間を作って、ドーナツの穴を閉じ込めればいいのでは?」を考えるだろうなあ。

そもそも、大学のときの研究は、分子でドーナツのような形を作るには?みたいな領域だったから、めちゃくちゃ親和性高いお題。

前の会社で研究開発をしていたテーマ=表面修飾で考えると、穴を残して食べるということの手前に、ドーナツ本体と、穴の境界ってどうなっているんだろう?が気になります。
ある分光法(SFG)でみると、物質の最表面の分子がどういう配向になっているかがみえて、そこから、最表面は、接している媒介(空気だったり水だったり)と、微妙に溶け合っていることがわかる、みたいな研究があった気がする。これで、ドーナツの穴って、いったいどこからが穴なのか?を見てみたい気持ち。
(あかん、うろおぼえすぎて論文引いてこれない・・・)
(その分光法自体はぼくは論文で読んだ程度の知識で、とても専門とは言えないけど)

いま、気になる捉え方は?

結構、ぼくは哲学・美学の先生の問題の捉え方に共感するんだなあ、ということが気づきでした。

問題の構造、問題を捉える人間の認識がどうなっているか?というところに思いを馳せながら、テーマに向き合っていく。どんどん、問題の外側を見ようとするところが共感ポイントでした。


今回はあっさりめに感想を書く。


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