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『Pushpa 2 : The Rule』
監督:Sukumar
出演:Allu Arjun、Rashmika Mandanna、Fahadh Faasilなど
公開:2024/12/5
「icon star」ことアッル・アルジュン主演のテルグ映画で、2021年に公開された『Pushpa : The Rise』の続編。
これぞインド映画!という感じで、バイタリティ溢れる作品だった。
独特の世界観を高クオリティで実写化できるのがインド映画の強みだと思っているが、その特長がいかんなく発揮されていた映画だと思う。
以下、例のごとくネタバレ込みで感想を。
と言いつつ、今回見たのが字幕なしだったので、内容の細かいところはよく分からなかった。
事前にネットであらすじを調べておき、だいたいのストーリーは理解した状態で鑑賞。
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ざっくりとしたあらすじ
南インド原産の希少な木材red sandalwood(和名:紅木)の密輸で巨万の富を築くギャングPushpaは、とある出来事から州首相に対して恨みを抱き、政府転覆のための資金(数十億円)を国際的な大規模密輸により調達することを画策する。一方、前作でプシュパに屈辱的な目にあわされた警察官Shekhawatや密輸団の元リーダーSrinuはそれを阻止しようと奔走するが、まんまと裏をかかれてしまう。
Pushpaの姪が誘拐される(理由はイマイチ不明)が、Pushpaがアジトに乗り込んで敵を殲滅する。
ラストシーンで姪の結婚式が行われ、めでたしめだたし、と思いきや……。
第3弾『Pushpa3 : The Rampage』に続く!
貧しい家庭で生まれ育ったPushpaは密輸団で働くうちに頭角を現し、ついにリーダーにまで上り詰める。
その過程は前作『Pushpa : The Rise』で描かれているらしい。
さて、このPushpaのキャラ付けとトレーラーの疾走感から、『K.G.F』が想起されると思う。
が、実際に観た感想としては、全然違うテイストの作品だった。
『Pushpa2』は、アクションあり、宗教儀式あり、家族愛あり、コミカルなシーンあり、もちろんダンスもふんだんに盛り込まれていて、インド映画の要素をてんこ盛りにした感じ。
全体的な映画の色味も明るく鮮やかで、完全な娯楽作と言って良いと思う。
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字幕なしで見てしまったので会話シーンがほとんど理解できず、こっちの気持ちがだれてしまうこともあったが、終わってしまえばあっという間の3時間20分だった。
特にインターミッション後の加速感が良かった。
この映画を観たほとんどの人が賛同してくれると思うが、祭りのシーンと誘拐された姪を救出するシーンは度肝を抜かれた。
祭りのシーン。
極彩色の飾りの中、神様(?)に扮したPushpaが踊り、途中で乱入してきた悪党を成敗する。
南インド映画には宗教儀式や祭りがそのままダンスになるシーンがよくあって、個人的に結構好きな演出なのだが、このシーンはかなり衝撃だった。
今まで見てきた映画のどの場面とも比べ物にならないほど迫力があった。
言葉が出ないほど圧倒されたし、あのシーンを何時間見ても全く飽きないと思う。
どんなに言葉を並べてもあの世界観を伝えることはできないが、あえて例えるならば『パプリカ』のパレードの世界観。
あれを実写でやってしまうのだから、インド映画は狂っている。
実際にあのような祭りがあるのか分からないが、実在するのなら生で見てみたい。
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誘拐された姪を救出するシーン。
さすがにそれはやりすぎでしょう、という感じ(良い意味で)。
あんな状態でも戦えるのなら、もう殺すしかないじゃん。
敵のアジトが遺跡のような廃墟で、神像が鎮座されていたのも相まって、完全に神話の世界だった。
比較論を書けるほどインド映画を観てきたわけではないが、テルグ映画は神話の再現が好きなイメージがある。
たまたま自分が見てきた映画がその傾向にあるだけかもしれないけど。
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ファファファンとしては、警察官のShekhawatにはもっと活躍してほしかったところ。
姪が絡んでくるあたりから影を潜めていたと思うから、終盤はスクリーンにほとんど現れなかった。
PushpaとShekhawatの追走劇はもっと見たいから、1話完結型のシリーズ作品にするのも面白いのでは、と勝手に思った。
『プシュパ:シンガポールで大暴れ』とか『プシュパ:アフリカの伝説の金塊』みたいな感じで。
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最後にちょっとネガティブな感想になってしまうが、Pushpaの行動原理、何がPushpaをここまで駆り立てるのかというのがよく分からなかった。
富への渇望なのか、権力への執着なのか、はたまた強い怨恨の念なのか。
なりあがりギャング映画として、私の中では『K.G.F』の印象がかなり強いのだが、ロッキーにはかなり感情移入できた。
金塊とともにロッキーが海に沈むシーンでは思わず涙が出た。
しかし、Pushpaの場合は、生きている人間として真に迫ってこないというか、創作上の人物の域を出てこないというか、脚本の中で生かされているというか。
何というか難しいけれど、200分の作品を観た後でも、揺るぎない「Pushpa像」みたいなのがイメージできなかった。
字幕がなくて内容をちゃんと理解できなかったからかもしれないが。
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私にとって本帰国はそこまで嬉しいことではないのだが、本帰国後に楽しみにしていることが一つある。
それは、日本語字幕でインド映画が観られるようになるということ。
『Pushpa2』も来年には日本で一般公開されるだろうから、日本語字幕版を見て内容をしっかり理解したい。