見出し画像

ぐにゃぐにゃの道で楽しい①岡山の島ー笠岡諸島編

離島旅が好きだ。
はじめての離島ひとり旅は、八重山諸島の黒島という、人より牛の数が多い小さな島だった。

そこから私のアイランダー人生は始まった。

種田山頭火の有名な自由律俳句に『まっすぐな道でさみしい』という句がある。

解釈を差し置いて引用するのも恐縮であるが、離島を旅している時の私の気持ちはこれに反して『ぐにゃぐにゃの道で楽しい』である。

小さな離島は、まっすぐな道が少ない。
迷路のような集落、美しい海岸の曲線、入り組んだ山道。

私の離島旅は基本的に、そんなぐにゃぐにゃの道を目的もなくふらふらとお散歩をしているだけのことが多い。

歩いてみて分かることは、日本の離島は十島十色、多様性に富んでいるなぁということ。
地形や歴史、人々の暮らしぶりは島によって違うし、見える海の色や匂いも全然違う。

所詮観光客の私なりに、とことんその土地の「日常」に心を寄せてみることで、島の個性に触れられる気がするのだ。

感染症の影響で離島へ訪れることを長らく中断していたが、今年のGWは久しぶりに、飛石の仕事の合間に離島旅に踏み出すことができた。

今回は、岡山県の笠岡諸島の島々を経由し、四国へ渡ることに。
笠岡諸島は、最近では千鳥の大悟さんの出身島として有名な北木島もあり、全国でも有数の石の産地でもある。

前置きが長くなったが、ちょっとした旅の記憶を記してみようと思う。

白石島| 石とともにある島

1日目にまず訪れたのは、笠岡からフェリーで約30分弱の白石島。
巨石や奇岩が多くある石の島で、夏は海水浴場としても人気の島だそうだ。

なんとなく港のあたりをうろうろしていると、裏の山にハイキングコースがあり、大きな岩を踏みしめる足裏の感覚やひんやりとした石の感触が楽しくて、あれよあれよと気の向くままに展望台まで登ってしまった。

軽装のアラサーによる唐突な登山は結構しんどかったが、展望台から見える瀬戸内海はこっくりと青く、風が最高に心地よかった。

展望台から臨む巨石と広い海

また、島内にある開龍寺の奥の院は大きな石の下に建てられている非常に珍しい建造物だった。
かっこいい…!
まさに「石の島」としての白石島の個性爆発。
ちなみにすぐ近くには不自然な程まっ白なタイ式の仏舎利塔もあり、見どころ満載だ。

全国各地にどんだけあるねん、でおなじみの
弘法大師ゆかりの地
近づくと屋根の上だけでなく、後方も大きな石に囲まれている

ちなみに泊まった宿のお風呂も、壁一面が元々そこにある自然の巨石という独特の造り。
風呂に浸かりながら、この島の生活は、石や岩とともにあることと、そこに流れる圧倒的な土地の年月を感じた。

宿泊した天城荘さんのお部屋からの景色
障子越しの激烈な朝日で目が覚めた

島を出る時、港の乗船券売り場のぶっきらぼうなおっちゃん(NYと書いたキャップを被っていた)が、船待ちの桟橋でゴリッゴリの岡山弁で話しかけてくれたのが嬉しかった。
怖そうに見えて優しい島民あるある。独特のコミュニケーションのテンポが心地いい。

真鍋島| 路地マニア歓喜

2日目は、白石から30分ほどフェリーに乗って真鍋島を訪れた。

そこには、これぞ大好きな離島の風景!とスタンディングオベーションをしたくなるような骨太な漁村の佇まいと、路地マニア歓喜の入り組んだ集落が待ち受けていた。

中世には真鍋水軍の本拠地となっていたそうで、港の前の集落の道は、敵に攻め入られた時のために見通しの悪い複雑な構造になっている。
ぐにゃぐにゃの道はその名残である。
先の見えないお散歩に、わくわくが止まらない。

集落を進むと、昭和24年に建てられたという中学校の校舎が見えてくる。
今も現役で使われているとのことで、掲示板に貼られた学校通信や裏の畑で育てられている植物から、生徒や先生たちの確かな息遣いが感じられた。
私の中の木造建築マニアも歓喜である。
詳細: 笠岡市観光協会

真鍋中学校木造校舎の裏手

真鍋島は、つい先日公開された「ラジエーションハウス」という映画のロケ地にもなっていたらしく、控えめなパネル展示なども行っていた。
大々的に観光客誘致!というほど盛り上げるつもりもなさそうな感じに好感を持った。

たっぷりと真鍋を練り歩いて大満足。
前半戦終了。離島旅はまだつづく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?