利用規約ウォッチャー みなしボウイです。
「ベビーシッター」市場は、日本における成長市場の一つです。少子高齢化・人口減少社会にある中で、共働き世帯は614万世帯(1980年)から1,245万世帯(2019年)へと倍増していますが、ベビーシッター市場規模は、2020年で320億円、それが2025年には647億円、2030年には1,000億円へ膨らむという推計(株式会社ポピンズ)もあるようです。
今回、ベビーシッターサービスでも大手である、「キッズライン」と「ポピンズシッター」の2社の利用規約をウォッチしていきます。重要な4つのポイントに注目して利用規約をウォッチしていければと思っています。
料金面やサービスの質といった部分については、多数レビューが既にありますので、私のノートではあくまで利用規約から見えた面で扱っていきます。
安心安全にサービスをご利用頂けるポイントになりますので、最後までよろしくお付き合いください。
サービスの立て付け
両社のサービスは、外形的にはそれほど変わりありません。シッター(キッズラインでは「保育者」と呼ぶ)の検索・閲覧、シッターとのコミュニケーション、シッターの予約・申込、料金決済、レビューの閲覧・書き込み、といった基本機能を両社ともに備えています。
利用規約を読み解くことで、両社サービスの立て付けの違いがわかると思いますので、触れていきます。
キッズラインの場合、保護者もシッターもサポートサービス(マッチングやコミュニケーションツール)の利用者であり、保育サービスの委託契約は保護者とシッター間で発生します。
ポピンズシッターの場合、保育サービスの委託契約は保護者とポピンズ間で発生し、保育サービスの実務としてポピンズとシッター間に契約があることになります。
シッターの位置づけ
サービスの立て付けが異なる両社ですが、シッターの位置づけを見ていきます。
雇用・契約
両社ともに、運営会社の正規雇用者ではありません。いずれも業務委託契約(パートもある?)の登録スタッフ扱いということになります。
サービスの立て付けでも触れましたが、シッターの契約先は、キッズラインの場合は保護者との直接契約、ポピンズシッターの場合は運営会社との契約になります。
保育資格
キッズラインでは、保育資格取得者がシッター登録の必須事項となっています。一方、ポピンズシッターは、保育資格の取得はシッター登録の必須事項とはなっておらず、資格の有無で報酬額に違いを持たせています。
ちなみに、この保育資格とは「保育士」資格のことだけを指している訳ではなく、キッズラインでは「看護師」「准看護師」など、ポピンズシッターでは「看護師」「助産師」が含まれています。そして、特定の研修を受講することでも保育資格を有するとされています。
事故・トラブル時の対応
ご自身のお子様を預けるということで、保護者の方は事故・トラブル時の対応が気になるところかと思います。
対応体制
シッターが事故やトラブルの第一次対応を行う点は変わりありませんが、シッターが契約当事者となるキッズラインでは運営会社はサポートということになり、運営会社が契約当事者となるポピンズシッターでは対応の責任を運営会社も持つことになります。
加入保険
両社ともに、損害保険ジャパンの「賠償責任保険」に加入していると説明があります。
立て付けの違いがサービス面に影響があるのか?
キッズラインを「マッチング型」、ポピンズシッターを「派遣型」と区別する考え方もあるそうですが、この違いがサービス面やシッターの質の違いにいきなり繋がるのかと言うと、なんとも言えないと思います。
登録できるシッターの前提条件がそれほど異なるようには見受けられませんし(両社とも、未資格でも自治体の研修を受ければ登録できる)、シッターが各サービスへ重複して登録することを禁じていませんので、サービスによるシッターの違いは出にくいのではないかと感じられます。
立て付けの違いというよりも、運営会社としてのユーザーサポートがどれだけ充実しているかになるような気がします。
業界としても、様々な事象を乗り越えて、サービスを深化させていく途上段階なのではないでしょうか。キッズラインやポピンズ以外にも様々な事業者が参入し、これからも発展していくことと思います。
今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。