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『鎌倉うずまき案内所』~はぐれたのは誰か、自分自身か~

青山美智子,『鎌倉うずまき案内所』,宝島社,2021

【感想】私がこれまで触れてきた何かに近い、と言うのが最初の感想でした。地下に続く螺旋階段、双子のおじいさん、アンモナイトの所長。私が連想したのは『不思議の国のアリス』でした。ウサギが入り込んだ地下に続く穴、双子のティートルダムとティートルディー、チェシャ猫。これらのキャラクターが完全にリンクしているわけではないかもしれませんが、私にとってはものすごく親近感のわく登場人物でした。そして、双子のおじいさんの「はぐれましたか?」と言うセリフも。各時代の主人公は、それぞれ道に迷って案内所にたどり着きますが、改めて聞かれると道に迷っただけなのか、自分自身とはぐれてしまったのか、答えに窮します。それは読んでいる私がもしこの場にいても同じ状態になるのではないか、と思わずにはいられません。自分の目の前にこの案内所が現れた時こそ、まさに自分の見つめなおしの時間。立ち止まるチャンスをもらえているんだな、と思いました。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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