your story -夜空 yoa- 2
第一章 sideA -秋空の事情- 東雲秋空《しののめあきら》は、街の中央図書館に向かっていた。今日の勤務は午後1時から。秋空はここで司書として働いている。今年で12年目になる。本好きの父と兄の影響を受けて、彼も幼い頃から本に触れる機会が多かった。そのため、図書館司書の仕事に決めたのも自然な選択であった。ただ、2人と異なる点として彼は(読書も好きではあったがそれ以上に)図書館の空間が好きであった。壁一面に設置された本棚にきっちりと収まっている本たち、静かな空間に時折聴こえてく