【写真絵本】『ぼくじょうにきてね』
6歳息子、4歳娘に読んだなかでオススメの絵本を紹介しつつ、感じたことを書きます。#8
『ぼくじょうにきてね』
写真・文 星川ひろ子 星川治雄
出版社:日本写真印刷
写真絵本というジャンル。写真だろうが絵だろうが、好きか嫌いかは子どもたちが感じればいいことで、なるべく先入観を持たずに読んでいます。心に残るところがあったので紹介します。
兄妹の妹が語り手になっており、写真で牧場の暮らしを紹介しています。
全編的に牧場らしい牧歌的なトーンですが、この本の良いところは、子牛が生まれた、名前をつけようという微笑ましいお話かと思いきや、オスの牛は乳牛にならないから市場に売られていって、大きくなったら牛肉として食べられるんだという現実を、過剰な演出無しに淡々と描いているところ。
「たいへんだ。おにいちゃん、
たまが もうすぐ いちばに うられちゃんだって」
その後、お父さんの言葉として、命をいただくから、いただきます、というんだよ、ということをさらりと伝えています。さらりと自然に描いてることが大事で、説教くさくないのがすごくいいと思いました。
人だって動物を殺して肉を喰らう生き物で、僕らは自分の手で殺していないことでそれが見えづらくなっているけど、生きるってことは他の動物の生命をいただいている。そのことは、きちんと子どもに伝えたい。そういうことを考えさせてもらいました。
深いテーマを入れ込みつつ、終始明るいトーンで、楽しく読むことができます。
「おにいちゃん、あたしね ぼくじょうのおてつだい
まえより ずーっとすきになったんだよ」
なかなか素敵な写真絵本なのでした。