025_アルバイト(コンビニ)
コンビニがある。
大学へ向かう山道にコンビニがある。
麓はだいぶ開発が進み、
学生街としてそれなりの活気があるが、
山の上にある大学に行くまでの山道は薄暗い。
車ならば数分だが、
歩くとなるとそれなりに時間がかかる。
夜は人通りも減るため、さすがにいかがなものか
という話が上がったらしく、
山腹に1つコンビニができたと聞いている。
研究室やサークル棟は不夜城ということもあり、
24時間それなりに客には困っていない。
猫の額程のイートインスペースに篭る学生や
山道を飛ばす走り屋など、それなりの活気はある。
そんなコンビニでバイトをしている。
少し歩くことになるが、見知った環境だし、
場所柄変な客は滅多に来ない。
時給もそれなりで、
同僚も同じ大学の学生ばかりなので
職場環境も良く、助かってはいるのだが、
1つだけ嫌なことがある。
呼ばれるのだ。
0時にゴミをまとめて裏手に持っていくのだが、
そこで呼ばれることがある。
おーーい。
男性とも女性とも形容し難い、
だが耳の奥に残る湿り気のある声。
おーーい。
ねぇ。
ねーーーーぇ。
先輩が言うには、
応えてしまったときに備えて、
「同僚に話しかけた」という形にするために
夜の外作業は2人で行うそうだ。
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ありがとうございます。進行形で記憶を供養しています。