014_川
市内を並行して流れる二本の川がある。
男川と女川と呼ばれる川がある。
穏やかでゆったりと流れる女川、
それに比べて水量が多く激しく流れる男川、
それぞれ名前が付けられている。
とはいっても、鯉流しやライトアップといったフォトジェニックなイベント、大正ロマンなアーチ型の大橋、さらには美しい桜並木も携える女川の圧勝というのが、ここら辺に住む大学生の感想だろう。
そんな女川の花見の時期は日夜問わず大小様々なグループが川面を眺め、桜を楽しみ、日がな潰れるまで酒を舐めている。
女川に関して、新入生の頃に聞いた話がある。
女川の石は持ち帰ってはならない。
昔、女川の護岸工事を行う際に男川流域の土砂を使った。
それ以来、女川から石を持ち出すと川が嫉妬して取り返そうとする。
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ありがとうございます。進行形で記憶を供養しています。