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ロンドンで習う彩り野菜のお寿司づくり
日本人ワタシ寿司をにぎる初体験
和食人気がますます広がりをみせるロンドンで、
日本以外の国の人たちが、家庭料理としての
和食を作り楽めるよう、料理教室を開催している
日本人の方がいます。
今回参加したヴィーガン寿司のクラスは、
日ごろグルテンフリーとマクロビオティックを
取り入れ、レシピ作りをしている私にとって
とても魅力的な内容!学びを深めてきました。
(参加日:2022年7月9日)
とても美しくおいしい
野菜で作る握り寿司と裏巻き寿司!
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先生は、ロンドンを拠点に活躍されている
料理家の池田 敦子(いけだあつこ)さんです。
現地食材で作る味噌作りについて検索して
いた時のこと、敦子さんのお料理教室に
辿り着きました。本格的な和食が学べる
レッスンはどれも、数ヶ月先まで満席!
予約サイトから人気ぶりが伺えました。
2ヶ月ほど前に予約し、やっと念願の
レッスン当日を迎えたというわけです✴︎
そして今回が人生初握り!
片手でひと口分のごはんの量をはかり
大きさを揃えること。
かたく握りすぎないこと。
想像以上にむずかしい…!
大きさバラバラ、いびつな楕円〜。笑
口に入れたあと、ひと口では食べられない
量で握ったことに気付かされ…!
寿司職人の方が握った、ほろりと口の中で
ほどける、程よい量のおいしいシャリとの
大きな違いを感じつつ、若干喉を詰まらせ
ながら試食をしたのでした。
料理で異文化コミュニケーション
多様性の街ロンドンらしく、参加する方々の
顔ぶれは様々です。今回ご一緒したのはインド、
イタリア、フランス、英国、そしておそらく
南米系の方。みなさん和食にとても興味があり、
自宅でおいしく作れるようになりたい!と語る。
しかも、参加者の半分の方が誕生日のお祝い
として、このレッスンに参加していたのです。
和食人気は知りつつも、和食ってこんな風に
特別な日に選んでもらえるお料理なんだなぁと
感じ、日本人としてとても嬉しくなりました。
調理を開始すると、黙々と習うだけではなく
色々な国の料理について意見が交わされます。
同じお米を食べる国でも、インドのお米の
場合は、粘りを取り除くために炊くというより
むしろ“茹でる“という感じ。また基本、味を付け
アルデンテ(芯が残った感じ)に仕上げる
イタリアのお米は、洗わずに調理する。など…
日本人の先生に英語で寿司づくりを習うという
不思議な状況も新鮮だったけれど、それ以外の
学びも多かったことが印象的でした。
ちなみに日本米の炊き方は、
日本で育てられた日本米(白米)を
日本国内で炊く場合と、
外国産または日本産の日本米を
欧州など日本以外の土地で炊く場合、
乾燥具合などが異なるため、加える水分量を
変えると、より美味しく炊けるようになる
ことを習い、目から鱗!
日ごろは、土鍋で玄米を炊く習慣のため
白米を食べる機会は少ないのですが、
このレッスンのおかげで、異国暮らしでも
日本のように美味しく白米を炊けるように
なったので、今後はおもてなし用に調理する
際など活用したい知識です。
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寿司ネタとなる食材の下ごしらえは、
生野菜を切るだけではなく、揚げ浸し、
焼き浸し、茹でる、すりおろして揚げる…
など、和食でお馴染みのテクニックが
活用されます。また、野菜の種類と調理に
あわせ、照り焼きソースや味噌田楽ソース
も作る。添えるハーブも含めると、全種類
それぞれ異なる味や食感を楽しめるお寿司が
出来あがるのです♪
和食を客観的に見ると、調理法も味付けも繊細。
家庭料理レベルだというのに、こんなにも
指先に集中し作る料理は、和食しかないのでは?
とすら感じてしまいます。それぞれ自分が
担当する調理に真剣な表情で取り組みつつ
“日本人って家で毎日こんなに手の込んだ料理
作ってるの?“というような空気が漂っていた
ような…。お箸(菜箸)で揚げ物をすることに、
驚きと不安を隠せない様子だったことも新鮮
でした。笑
「巻く」の定番は裏巻き寿司
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可愛らしいピンク色の酢飯を使い、
巻き寿司づくりからスタート。
「少しでもからだに優しいものを」という
敦子さんの素敵なアイディアで、自然な野菜の
赤色をご飯に混ぜ込み、色付けしたものです。
なぜ巻き簾にラップ?と思われた方もいると
思います。日本人にとっての巻き寿司といえば
海苔で酢飯とネタを巻くものですが、
日本人以外の方々にとっての巻き寿司とは、あの
有名なカリフォルニアロールのように、酢飯が
外側にくる「裏巻き(うらまき)寿司」が定番。
ですので、ラップを巻くことで仕上がりが綺麗に
なるのです。
裏巻き寿司は英語で「Inside Out Rolls」
多くの人に巻き寿司はMakiと認識されている
様子ですが、海苔で巻いた本物の巻き寿司
を食べる人はそんなに多くないようで…
Maki=裏巻き寿司、のイメージなのでしょう。
今では、Noriとして多くの人が理解する単語と
なった海苔ですが、カリフォルニアロールが
生まれた頃というのは、西洋の文化に海藻を
食べる習慣はなかった。アノ真っ黒いシートが
食べ物で、しかもヘルシーで美味しいなんて
誰も思えなかったようなのです。
ということで、握り寿司とおなじく裏巻きも
私にとって初めての体験となりました。
巻き簾に酢飯をひろげて海苔を置き、その上に
ネタを置いて巻いていく!
米粒同士がくっつきやすいので、切るのも
並べるのも想像以上に大変…というのが感想です。
先生の仕上げの美しさ!
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想像力で超えてくる仕上がり
これまで色々な料理の先生のレッスンを受けて
きたけれど、それは全て日本国内だったからか…
先生の見本プレートにならい仕上げの盛りつけを
行うことが定番でした。
しかも“寿司ってこういうもの“というイメージが
染み付きすぎている私は、
何も考えずに巻き寿司を皿のはしへ追いやり、
主役と思われる握り寿司を手前に並べた。
ふと、斜め前に座るイタリアっ子の皿に目を
向けると、とっても魅力的な配置で寿司を
並べているではないか!
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巻き寿司をセンターに並べる勇気あります?笑
なんだか…すごく斬新!と感じたわけです。
同じものを作ったのに、よりカラフルで可愛い。
他の生徒さんたちのお皿も見渡すと、
みんな自由に盛りつけていて、先生の見本に
ならおうとしていたのは私ただひとり。
想像力の豊かさ頭の柔らかさを、見習いたい
ものです。
伝統も進化が必要?
「和食が好きだから寿司屋へ行きたいけど
ヴィーガンだと、きゅうりかアボカドの
Makiしか選択肢がないよね。」ある生徒さんの
意見に、参加者みなが大きく頷いていました。
ロンドンの外食で感じるのは、一般的な多くの
飲食店のメニューに、ヴィーガン・ベジタリアン
・グルテンフリー・ハラルなどにも対応できる
選択肢がある印象です。アレルギー対応の表記も
とても明確。
多様な民族的アイデンティティや文化が入り
混じっている都市なので、宗教的に食べられない
食材がある人も多いこと、
また英国は、ヴィーガン発祥の地であり、
ヴィーガン主義を主張することが法律のもとで
保護されていること、など
そういった背景により、食の多様性に寛容な
社会が作られているように感じています。
そんな街ロンドンにある和食店でも、
他の飲食店に比べると何歩か遅れをとって
いるのかな?と、他の生徒さんの意見を
聞いて感じたわけなのです。
(こちらの和食屋さんは、日本人が経営している
お店が数少なく価格もお高めなので、私はほぼ
行ったことがなく…。)
一方、日本国内へ目を向けると、
旅行で日本を訪れた方の体験談で
「食べられるものを探すのが大変だった。」
というような意見。また、ムスリムの方が
「豚肉抜きで。」と注文したらベーコンが
出てきた。という笑えないエピソードまで…
わりとよく耳にするのです。
私自身、アレルギー等の理由で、日本生活での
外食には苦労していましたから、その状況は
とてもよく理解できます。専門店は徐々に
増えている印象ですが、食の多様性が社会
全体へ浸透するのは、まだまだ先なのでは
ないでしょうか。
「何かしら理由があって
食べられないものがある人」
もしくは
「自身で選択し
食べないものがある人」
と現代の食の世界はどんどん多様化
しているように感じます。
また、人々が美味しいと感じ欲求を満たす、
または健康を支える役割、それらを成り立た
せるために、地球環境へ負担をかけている側面
もあるため、食事を通して環境に配慮する食べ方
も、同時に求められる時代へと変化しています。
伝統的なものほど、変化させることが難しいの
かもしれません。しかし、多様な食生活を送る
人たちが同じ空間で一緒に楽しめる場が、もっと
日本の社会にも浸透し、一般的になることを
願っています。
今回習った野菜のお寿司は
食べ始めるのが勿体ない!と思うほどの見栄え、
そして、異なる食感と味を楽しみながら頂け
食べた後の満足感も充分でした。
おそらく普段ヴィーガンやベジタリアンの
食生活をしていない人でも、美味しく
食べられるバリアフリーな魅力あるひと皿。
まさに、日ごろ私が目指している
あえて選んでみたくなるお料理でした!
このクラスで受けた様々な刺激を取り入れ、
おなかに優しいケの日の食事が
必要としている方々へ届き、日々を
より心地良く過ごせるからだづくりに
役立ててもらえるよう、引き続き
レシピづくりに励んでまいります!
ロンドンにお住まいの方、ロンドンへ渡航予定の
ある方は、あえて寿司づくりを習ってみるのは
いかがでしょうか?
とっても素敵な敦子さんと、そこに集まる
生徒さんたちと過ごす時間は、忘れられない
貴重な体験になるはずです。
それでは、また♪
グルテンフリー×マクロビオティック料理の記録は
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