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【月報2021年12月】元公僕が地域おこし始めてみた件
あけましておめでとうございます。
数少ない読者の皆様、今年もよろしくお願いします。
12月は、【多い出張】【観光と震災伝承と減災】【震災伝承の手段】【冬の星空】の内容でお送りします。
1.フィールドワーク(宮城・福島)
私が通っている兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科のフィールドワークに同行し、気仙沼、南三陸、相馬、浪江に行ってきました。
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一度行ったことがある場所も結構あるのですが、伝承関係の仕事や1人で行くことが多く、他の人がそれらを観たり聞いたりしてどのように感じるのかを知る良い機会になりました。
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作られた展示より、そこに生きる人に直接会って話すことの大切さや、また伝承館の展示も津波の怖さが伝わらないと言われているものの、初めてくる人には充分怖いと思う人もいること、そして同じ話を聞いても、聞く人によって感じ方や印象に残る内容、その後の行動も異なる事などを実感する機会になりました。
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普段から、そういう事ばかり考えているので自分自身の感覚が麻痺しているため、こう言った他の人と一緒に訪れるということを今後も続けていきたいと思いました。
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2.観光プランナー養成塾
三陸DMOセンター主催の観光プランナー養成塾で、宮城県の視察に行ってきました。
自分自身の主要ミッションは震災伝承ですが、震災の教訓を伝えるために大槌や三陸沿岸に外部から人が来てもらうためには、観光というツールは欠かせないと考えています。
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また、震災で伝承のツールとしてではなく、訪れた人や、訪れた先の人々が金銭的にもそれ以外にも豊かになり、幸福につながることは、震災伝承の目的の中の一つとも一致しています。
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だからこそ、普段の震災伝承の目線で三陸沿岸を見ることが必要だと考えています。
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簡単な気づきではあるのですが、三陸沿岸を、被災地視察で回るときと、観光目的で回る際に結構被って訪れる場所があると感じました。
南三陸さんさん商店街など何度行ったったことか。
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今ある三陸の沿岸が東日本大震災の津波で被害を受け、そこから今ある町がつくられている現状、震災や観光に関わらずその町の様々な拠点が一か所に集約されているのは仕方ない事だと思います。
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その一方で、その拠点だけに立ち寄り、その町を知ったつもりになってしまうのも勿体ない気がします。
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震災学習に来た人は、観光面で新たな発見があるかもしれないですし、観光目的で来た人は、震災からの新たな学びがあるかもしれません。
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石巻市にあるみやぎ東日本大震災津波伝承館
石巻で鯨が食べられるなんて、行ってみて初めて知りました。
大槌のサーモンやイルカ、他の地域では聞いたことのないような魚も、訪れた人に知ってもらうには、外部から大槌を訪れる現状での目的とうまくつなげる必要があると感じました。
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だからこそ、自分が重きを置く震災伝承の切り口でも、そこからこの町の魅力や、楽しい体験、おいしい食べ物に繋いでいくことが、人がその町を訪れるきっかけを増やし、さらに人がその町を訪れることが当たり前の状況を作り出すことに繋がるのではと思いました。
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自分自身も広島の原爆資料館に行ったときに食べた牡蠣のお好み焼きが忘れられないので、その町で出会った全てのものがその人を繋げるきっかけになると思っています。
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今後は、震災伝承を震災伝承だけに留まらせないことを目標にしていきたいと思います。
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3.宮城県の伝承(名取・石巻・南三陸)
被災3件の沿岸の震災伝承等の関係者が視察、意見交換をする会で宮城県の名取市と南三陸町に行ってきました。
名取市の閖上地区に行き、地酒の酒蔵の方から、その地域の味としての酒蔵の復興や、それに関するマインドについての話を聞きました。
震災前から、いつか起こるだろうという覚悟を持っていたから、震災をパラダイムシフトの機会ととらえることができたといった言葉が印象に残りました。
その後は、南三陸に宿泊し、意見交換を行いながら、被災地の語り部ガイドをVRで体感したり、SDGsを考えるまちづくりシミュレーションゲームを体験するなど、震災に限らない学びの場としての三陸沿岸を知ることが出来ました。
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その間に石巻の大川小学校跡地に行き、案内してもらいながら、これから、この場所から未来を開くための思いなどを聞きました。
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ここ最近は、宮城・福島に行き、同じような場所ばかり訪れているように見えるかもしれませんが、行く先で会う人や、同行する人、行く時の目線はすべて異なっているので、東日本大震災をより広く、より深く見ることができたのではないかと感じています。
そして、震災伝承に関わる人々と、伝承について意見交換をするだけではなく、それ以外の話もする事で、お互いを知り、各々の取り組みの目的や意味をより理解しやすくなる気がしました。
4.震災伝承ワーキンググループ
12月18日におしゃっちにて、大槌町震災伝承プラットフォームの4回目のワーキンググループが開催されました。
午前中に、震災語り部(仮称)の育成と震災教育・ 研修コンテンツの開発についてのワーキンググループがあり、午後は、震災伝承の場のあり方検討WG(役場跡地・民宿あかぶ跡地)のワーキンググループがありました。
進行を務めた午前中のワーキンググループの内容ですが、前回は参加者の皆さんに、自分なりに震災伝承を誰に、どうなって欲しくて、何を伝えるのかについて、【目的】【相手】【内容】について考えていただきました。
その内容からは、震災伝承について、みんなで一つのやり方でこうすれば良いとは決められないほど多様な意見考えがあることが分かりました。
そこまで考えてやっとそれらの思いを実感するための具体的な【手段】について考えていただくことになりました。
ここまで遠回りになったのは、普段の会話の流れだと通しても具体的でわかりやすく、行動につながる【手段】の話に傾きがちだと考えていたからです。
法律や規則もあくまで目的を達成するための手段であり、その柱となる目的や手段によって実現するために必要なことが根底にあるはずです。
そしてそれは口には出さなくても参加者の皆さんの心の中にはあるはずなので、まずはそれを聞いて、そこも人によって様々であるということを踏まえた上で具体的な【手段】について考えていただきました。
今回の話し合いでは、具体的な【手段】と、さらに掘り下げてそれを伝え続けることを繰り返す仕組みにするにはどうしたらいいのかを話し合っていただきました。
手段についてもスケールが小さなことから大きなことまで、自分たちのためから多くの人たちのために様々な意見が出されました。
ここが注意点なのですが、ここで出た手段を全て誰かがやらないといけないのではなく、また何か一つに絞るのでもなく、この町に暮らす一人一人が自分なりに自分の身近で大切な人に対して出来ることをやって、それがさらにその先につながり続けて行くことが大切なことだと考えています。
よって次回以降は、より多くの方々が日常の中で震災のことやそこからの学びなどを少ないが身近な人に伝えていける仕組みや文化、人材について必要なことについて、より具体的に考えて行けたらと思っています。
こで出た成果物の完成が議論の終わりにならないように気をつけて、この取り組みを通して震災のことについて、可能な範囲で、無理をせずに、経験したことない人も一緒に、未来に向けて議論し続ける。そんな文化と言っていいのかわからないものが末長く続くことを目指しています。
次回は、1月23日(日)開催となりますので、震災を経験した人もそうでない人も、より多くの方々のご参加と幅広くご意見をお待ちしています。
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5.船上のメリークリスマス
今年のクリスマスは、釜石で漁船に乗せてもらう体験をすることが出来ました。
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午前中は雪が降る寒さの中、出港時には天気は良くなってきていたのですが、そのおかげで、湾口防波堤の外に出ると、荒れた海で、どこの遊園地のアトラクションよりも上下に揺れました
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普段より、悪条件での体験になったのですが、個人的には後でラッキーだと思いました。
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めったに乗れない漁船で、しかも、交通や観光用の船では体感できない揺れを体験できたからです。
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何とかリバースはせずに済みましたが、途中から何も言葉が発せない状況でした。
これだけの大変な思いをしたからこそ、漁師の仕事の大変さやすばらしさを身をもって感じることが出来ました。
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その時獲れたどんこ(エゾアイナメ)の刺身を肝醤油で食べましたが、最高でした。
6.今月の大槌
トップ写真は浪板海岸方面から見た初日の出の写真です。
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7.おわりに
大槌に来て9カ月が経ち、町中で知っている人を見かけることも多くなってきました。
けれど今後も、少しずつ、急がずに大槌の皆さんと同じペースで歩んでいきたいと考えておりますので、2022年もどうぞよろしくお願いします。