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お経をあげるのがちょっと楽しみになる法華経エピソード3

                                                                                   中央学術研究所
                   学術研究室 宇野 哲弘
<エピソード3>

迦楼羅

お経に出てくる「天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩睺羅伽」のことを八部衆といいます。三部経では徳行品で最初から二行目に登場します。
 開祖さまはこれらの八部衆を「古代インドの人々がその存在を信じていた神々(バラモン教の神々)」としてありとあらゆる生物を平等に済度する(救う)仏陀の大きな慈悲の現れ、これが仏教の特質と解説されています。
 先日京都の西本願寺を参拝した際、西本願寺の向かいにある龍谷ミュージアムに行ってきました。秋季特別展「眷属」が行われていて、鎌倉時代の迦楼羅王の立像を初めて見ました。お経で何回も読んでいる名前ですが、実物と対面するのは初めて。
 「初めまして、迦楼羅王さん。いつもお経をの中でお名前だけは拝見していましたが、なかなか珍しいお顔をされていますね。」
 迦楼羅王像を前に、心の中でそう呟いていました。
 顔にくちばしがあるんです。後で調べてみるとインド神話に出てくる神鳥カルダが仏教に取り込まれ、仏法守護の神となったそうです。くちばしからは金の火を吐き出すそうです。しかもこの迦楼羅王さん、好物は毒蛇です。仏教では煩悩の象徴とされる毒蛇を好んで食べることから、衆生の煩悩(三毒)を食らう神鳥としてあがめられているとのこと、日ごろ煩悩まみれの生活をしている(飲酒・喫煙)身からすると、非常にありがたい存在に思えます。さらにこの迦楼羅王さんは止雨の効能もあるようで、ここ一番の大切な日は迦楼羅王さん頼りになります。
 ちなみに不動明王の背後の炎はこの迦楼羅王さんが吐く炎とのこと。大聖堂のご本尊像を制作された錦戸新観師は本尊像制作にあたり栃木県にある出流山万願寺で滝行をされ、不動明王のお姿を拝したといわれています。
 その不動明王のわき役としても活躍される迦楼羅王さん。なんだかとても好感が持てますね。

不動明王

 そうそう、今回の龍谷ミュージアム秋季特別展のお題は「眷属」。そのキャッチコピーは「おれたちも、いるぜ 仏教界の名脇役ケンゾク ぞくぞく大集合」でした。
 迦楼羅王さんだけでなく、もうひとグループ目を引いたのが「十羅刹女」の像と絵でした。陀羅尼品に登場する羅刹女はなんとなく恐ろしいイメージがあります。羅刹女の一人「藍婆」(らんば)さんは衆生を束縛し殺害するといわれ、「毘藍婆」(びらんば)さんは仲間割れをさせる意地悪な方だそうです。その鬼女たちが法華経の功徳によって改心し、法華経行者を守護するのですから、心強いものです。
 そして、今回お会いした十羅刹女さんたちはまさに現代の○○坂48、アイドル並みの美しさ、かわいらしさでした。

アイドル

 お経を読んでいて、いろんな神様や菩薩さまが登場しますが、その一人一人の顔や生い立ち、性格などを調べてみると、お経がもっと身近に感じられます。

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