管理者が語る〜私たちが目指す介護とは〜
はじめに
今回は、施設サービス部 責任者で「風蝶木」施設長代理 の林佑樹さん、居宅サービス部 責任者で「風蝶木の実 ケイパハウス」管理者の草野友彰さんのお二方に、施設を作りあげる中での、介護に対する想い、リーダーとしての目標について、お話をお伺いしました。
自己紹介
——はじめに簡単にお二人から自己紹介をお願いいたします!
林 別業種を経験した後、自分にできることを考え、介護の道へ。病院で10年以上勤めた後に、病院以外の施設で働くことを考えていました。たまたま求人で喜創会が目について応募して、ご縁あって採用していただけました。入職後は、ユニットリーダー、チーフリーダー、相談員と異なる役職・職種を経験し、今に至ります。プライベートでは、ペットの犬と昼寝することが楽しみです。
草野 病院勤務時代に出会った信頼している看護師から紹介で面接を受けました。病院の次のステップは特養という思いがありました。実際の配属は当時新しくできた小規模多機能施設だったのですが、自分が思い描いていた介護の形に近く、現在まで携わらせていただいてます。入職後に社会福祉士の資格取得もし、ケアマネージャーも兼務しています。プライベートでは、娘の空手の練習相手になることが趣味になっています笑。上達が目に見えるのが嬉しいですね。
2人にとって「介護」とは?
——異なる施設や職種での介護経験が豊富だと感じました。これまでのご経験の中で、介護をどのように捉えておられますか?
林 日々の介助業務もそうですし、ツールや仕組みも含めて、現状に満足せずいつも新しいことに挑戦することです。介護の仕事を始めてから、色々な利用者さん、職員と関わることで、新しい発見や学びがあって、すごく面白いんです。その中で、自分ができなかったことができるようになったり、利用者さんに喜んでもらえる瞬間が嬉しくて、今まで介護の仕事を続けられていると思います。
草野 正直言って、確信めいたものはないですね笑。 強いて言うなら、利用者さんの様々な人生や価値観を理解、受容していく姿勢でしょうか。ケアは時に、利用者さんやご家族の繊細な部分に介入しなければならない瞬間もあります。人間として守るべき価値観や考え方、「倫理観」を磨いていく必要もありますね。
私のやりがいは、人間らしい生活って、何だろう?の問いから、それぞれの利用者さんがどんな生活が最適なのか、突き詰めていくことです。「当たり前の生活を当たり前に過ごせる」、「自分のことは自分で考えて選べる」をケアの基本にしています。
それぞれの施設での目標
——施設系、居宅系とリーダーを務めている中で、どんなことを目指しておられますか?
林 特別養護老人ホームは介護度が高い方々が日々施設で過ごされる場所です。私は、「家(自宅)に帰りたい」ではなく、「ここ(施設)が私の家。」と利用者に感じてもらえるような施設を目指しています。また、家族からも安心して利用者様(家族)を預けられる施設にしたいと考えています。喜創会内での満足だけでなく、外部に誇れる職員の育成と組織づくりも重要視しています。
ケアにおいては、本人が元気なうちに一緒に楽しい思い出をつくることが重要です。容態が悪化して看取りの時期になると、できることが限られてきます。その時に「やっておけばよかった」と後悔しないよう、1日1日のケアを大切にしていきたいと考えています。施設・職員の都合ではなく、利用者さんが過ごしたいような時間を実現するために、まだ理想には届いていない思います。「施設っぽさ」を取り除き、利用者さんが望む生活に寄り添うことを目指し、「喜創会だからできるケア」を追求することが、これからの入所施設の価値を高める上で重要だと考えています。
草野 居宅サービス部責任者として、ケイパハウスという枠に縛られず、居宅サービス部門で利用者の安定化を促進したいと考えています。サテライトの小規模多機能を開設し、居宅部門でのワンストップサービス化を実現し、ケアの提供体制を強化したいです。
また、ケアマネージャーも兼務している立場から、利用者とその家族に寄り添った施設でありたいと思っています。看取りの際のケアや処置については、家族が大変悩む重要な時期です。親の死に関わる最終的な決断は家族に委ねられるものであり、その際には家族の感情や決断に共感できる職員チームであることが重要です。それ故に、職員一人一人が共有すべき人間としての価値観や考え方、そして「倫理観」を育むことが目標です。これにより、利用者とその家族が安心して施設を頼りにできる環境を整え、最善のケアを提供できるよう努めていきたいです。
目標の実現へ向き合いたいこと
——理想・目標に向けて、課題に感じていることや、それぞれ個人として向き合いたいことはなんでしょうか。
林 私自身がリーダーとして、自らの力不足を反省しつつも、今後向き合いたい課題は主に二つあります。まず、全体の運営やケアの方針をまとめ、風蝶木全職員と共通理解を持つことです。特に、風蝶木のユニットケアを実施しておりますが、各ユニットの利用者の特色が異なるため、ユニットごとに異なるケアの考えや雰囲気が生まれています。この多様性を尊重しつつ、風蝶木として共通して大切にすべき価値観を確立し、各ユニットがそれぞれの特性を活かしながら協力する環境を築きたいと考えています。
次に、自らアイデアを出し、形にする能力を持つ職員を増やすことが挑戦したい課題の一つです。現在の運営スタイルは、僕からのトップダウンに近い形なので、職員自ら考え行動できるような仕掛けや仕組みが必要だと感じています。小規模施設ならではの柔軟性を生かし、身体介護だけでなく、各職員自らがアイデアでユニット、そして施設全体を向上させ、活躍の場を広げてほしいと考えています。介助技術だけでない多様なスキルを持つ職員集団を育て上げ、風蝶木をより良い場所にしていくことが目標です。
草野 前提として施設全体のケアの質向上は、職員全員で向き合うべき課題です。私一人で努力しても意味がないので、チームでケアの質を向上させる意識が重要だと考えています。
その上で、身体介護技術の向上だけでなく、利用者の気持ちを受け入れる心構えや傾聴といった「接遇面」を養うこと、介護保険制度などの「専門知識」を理解することをチームの目標にしたいです。接遇面は繰り返し伝えている「倫理観」にも関わってきますね。知識は通常業務では不要に感じられることもありますが、介助やサービスが構築される背景や文脈を理解し、日々の業務に活かしてほしいと思います。ルーチンになりがちなケア業務も、保険制度やケアプランから理解し、「なぜこのケアが必要なのか」を多角的に理解できるような職員が増えれば、施設全体のケア質向上につながるでしょう。
また、職員満足度にも注力したいです。ライフステージや価値観に合わせた働きやすさだけでなく、仕事を通じて職員の想いを応援し、働きがいのある風土を築きたいです。小さな提案や意見も歓迎し、施設理念を尊重しながらお互いのアイデアを共有し合い、想いを刺激し合えるチームをつくりたいです。
現場の職員さんへメッセージ
——それぞれの施設の目標やご自身の課題を踏まえて、現場職員のみなさんへメッセージをお願いします!
林 残業や突発的なシフト調整においても、お互いにフォローし合い、日々のケアを守っていただいて、本当に感謝しています。介護経験はまだ浅いかもしれませんが、各職員がそれぞれに良い面や可能性を持っていると信じています。皆さんのおかげで、私も頑張れています。
現在は課題が山積みで、大変な時期ではありますが、このような時こそ施設や他者を責めるのではなく、どうやったら乗り越えられるか、楽しみながら、全員で知恵を出し合い、全員で協力して行動していきましょう!
草野 長らくケイパハウスに勤め、現在は管理者としての役職についています。ただ、介護経験もあり、喜創会職員としても先輩の方々と協力して仕事をしている中で、初心を忘れずフラットな関係で議論や対話を大切にしていきたいです。管理職としてはまだまだ未熟かもしれませんが、利用者さんや職員さん、地域にとって良い職場を築きたいと考えています。
一緒に事業所理念や法人理念に基づいたケアを実現し、共に成長していけるよう努力していきましょう。
——お忙しいところ、ご協力ありがとうございました!プライベートの様子もお聞きできました!