種まきのあとの思わぬ楽しさ、うれしさ
今日、「お久しぶり」な
卒業生の一人と会いました。
何かが、着々と育っていくのを
見せてもらうのは、とても豊かな気分です。
在学中はよく学び、
学んだことを早速、活かして
自分の住む地域の再開発で
緑が大切に扱われるよう、
保全活動に尽力していました。
その堅実さ、緻密さ、賢さには
頭が下がる女子学生。
今は、造園会社の職人さんとして
がんばって働いています。
夏の暑さの話になり、
「私は空調服は着ないので暑かった!
背中が焦げそうだった」と話したら、
自分も着なかった、とのこと。
今どきの職人さんで珍しい?
「会社で支給されたのでは?」
と聞くと、支給はされた、という。
でも、さっさと他の人に
あげてしまったとのこと。
理由は、身体の中心を冷やすのが
苦手なのと
少しでも、エネルギーの節約になったら、
と思ったから、とのこと。
そういうお話をちょっと遠慮がちに、
穏やかに、さわやかに話してくれます。
この人に会って、
短い間、お話ししているうちに
心が洗われたような気分になりました。
なんというのか、濁りのない人、
なんですよね。
そして、そばにいる自分まで
それがうつって、
濁りが消えていく感じです。
すがすがしい余韻が残りました。
人は、年齢を重ねるにしたがって、
知恵ばかりでなく、
よけいなものも、くっついてきがち。
ですが、若い人のそばにいると、
できれば、若くなくなっても
若い頃、小さい頃には
もっていたはずのよさを
失わないように過ごしたい、
と思えます。
明日はまた、別の卒業生と
会って時間を過ごします。
この人も、とても気持ちのよいお人柄。
で、会ってお話しすると、
とても楽しく、
すがすがしい気分になれます。
20年前に講師になったとき、
こんなに楽しくて豊かな時間が
待っているとは
まったく想像ができませんでした。
「種をまく」というと
一方的な感じがしないでもないですが、
何かが育つのを手助けする、
というお役目は、
本当に希望を感じるし、楽しいこと。
今日の卒業生に、
「教育、種まきは大変では?」
と気遣ってもらったので、こう答えました。
「教育、種まきっていうのは、
とても希望を感じる仕事なのよ」
今はしんどいこともあるでしょうが、
未来のために、
せっせと種をまきつづけ、
できる手助けはしていきたいです。
木も人も。