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【一緒に勉強】文章力を高めよう・第二講②

こんばんは、如月伊澄です。

前回の予告通り、今回は「序論・本論・結論」についてみていきましょう。

参考文献はこちら


【映像表現で考える】

これまで「文章と映像は使える技術が異なる、だから文章を書くことは難しい」と書いてきたが、ここにきて「映像表現」という言葉が出てきた。
もしかすると、違和感を覚えた方もいらっしゃるのでは?

この疑問については、簡単に答えることができる。
「表現方法は違えど、その本質は”伝えること”である。とすればその目的のために、互いに学ぶべきこともある」ということである。

前置きはこれくらいにして、本題に入っていこう。

映像において、芸術性よりも「わかりやすさ」「伝わりやすさ」が求められるものがある。
そう、テレビの再現フィルムである。

参考文献の例を借りて見ていこう。

今回再現するフィルムの内容は、
「ある男の子が大学校内で出会った女の子に恋をして、湘南の浜辺で告白し、ハッピーエンドを迎える」というものである。

カメラの位置と距離、役割に注目して追いかけてみて欲しい。

【①導入ーー客観(俯瞰)のカメラ】

まずドラマが始まる前に必要なのは「今からなにが始まるか?」の説明だ。
何の事前情報もない視聴者には、まず「ここは大学ですよ」「季節は春ですよ」というような状況説明が必要だろう。

ということで、最初のカットは大学のキャンパスを遠くから眺める映像になる。併せて桜の木や青空などを映すことで、季節感を示すこともできる。

大まかな設定や前提条件を予め共有しておくことで、視聴者がドラマの世界に入り込みやすくするということだ。

【②本編ーー主観のカメラ】

さて、いつまでも場面設定や風景を映していても仕方がない。
ドラマでは主人公とヒロインの出会いや、デート、時には喧嘩し、仲直りする様子を映していくことになる。

ここでは極めて近い位置から撮影が続き、主観的ショットが中心となるはずだ。

特段の理由がない限り、隠し撮りのように、彼らのデートを遠くから撮影することはないだろう。

【③結末・エンディングーー客観(俯瞰)のカメラ】

エンディングではカメラは二人から離れ、再び遠くから映すことになる。

例えば夕日を背にしたキスシーンや結婚指輪が机の上に置かれていて”Fin”の文字が映るなど、主人公から距離を取ることで、テロップやナレーションなど「客観的な解説」を入れやすくする効果もある。

カメラを遠ざけていくことで、視聴者に「この物語は終わり」ということを伝え、スムーズに世界の切り替えを行うことができるようにしているわけである。

これをまとめると、このような形になる。

つまりカメラは
①導入・・・・・・客観のカメラ(遠景)
②本編・・・・・・主観のカメラ(近景)
③結末・・・・・・客観のカメラ(遠景)
と視点を切り替えることで観客・視聴者の理解を促しているのである。

古賀史健(著)20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社 e-SHINSHO)2012 p.86

これを参考に文章を書くとどうなるだろうか?

①序論・・・・・・客観のカメラ(遠景)
②本論・・・・・・主観のカメラ(近景)
③結論・・・・・・客観のカメラ(遠景)

古賀史健(著)20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社 e-SHINSHO)2012 p.86

ということになる。

まず①序論で語るのは、客観的な状況説明。

②本論で展開する持論を、読者が理解しやすくするために「これから本論で何を語るのか」「なぜそれを語る必要があるか」「世の中の動きは?」などを客観的な視点で明らかにする。
ここでは俯瞰で対象を捉えることを意識しよう。

続いて②本論では、それに対する自分の意見や仮説を語ることになる。
カメラは対象にぐっと近づき、主観に近いポジションから対象を描いていく。客観的な意見を、自説を補強・検証するために差し込むこともあるかもしれないが、基本的には主観視点で論を進めていくこととなる。

最後に③結論では、再び客観的な視点に立って論をまとめていく。展開された自身の意見を「動かしがたい事実」として描ききるわけである。

文章を書くときは、常にカメラワークを意識するとよい。
自分が今、主観的な視点で書いているのか、客観的な視点で文章を書いているのか、カメラの位置を意識できるようになると、文章の説得力やメリハリ、リズムも良くなっていくだろう。


【考えたこと】


俯瞰、主観、俯瞰の視点で思い出したのが映画「LEON」。
まず遠くから街を描き、主人公とヒロインの説明と出会いを描く。
ドラマがあって、主観で二人を追いかけ、エンディングでは再び俯瞰で遠くから街を、始まりとは違った視点で描いていく。
とある舞台装置の意味も、違った見え方ができるが、それを映画の中で説明することはない。

スタートで街の全景や景色を映すことで、「この街が物語の舞台ですよ」客観的な視点で登場人物を映すことで「この男が主人公で、こだわりのある男ですよ」「この子がヒロインで、この人が悪い人ですよ」を、わかりやすく視聴者に伝えている。

だからこそ、視聴者は迷わずにストーリーに入り込めるし、彼らの心情に共感し、映画を楽しむことができるのかもしれない。
(映画を見たのがかなり前なので、間違ったことを言ってるかもしれません。ただ、エンディングのロングショットと歌はめちゃくちゃ覚えてる)

最近の映画でも、舞台が変われば遠景で街の様子を映してから主人公達の主観視点に入っていくのを考えると、確かに「これからここで物語が始まりますよ」「彼ら(彼女ら)が主人公ですよ」を最初に明記したほうが、読者が入り込みやすいのかな、と。

振り返ってみると、自作小説は「いきなり主観」でカメラが始まるから入りづらい。二次創作は「いきなり主観」でも、元となるものが「客観的視点」を作ってくれているから、すんなり入れる=読みやすいから伸びる、のかなと反省。

次は「ロングショットから始める」を意識して書いてみようと思います。

次回は「導入」のお話です。使える技術、いっぱいだね・・・・・・。
割と文章を書ける方だと思っていましたが、全然技術がなってなかったことを突きつけられて、あわあわしてます!




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