お姉ちゃんが帰ってきたのは突然だった。 お母さんの話だと付き合ってた(私はこう呼んでいたけど)お兄ちゃんと別れたみたい。 お姉ちゃんに最後に会ったのは去年。 その時より髪の毛は短くなってて(お姉ちゃんも人並みに失恋を散髪で表現するんだ)なんて思った。 家に帰るなりお母さんから何か言われてたけどはいはいと受け流して自分の部屋に入ってガサゴソと物音が聞こえてきた。 私は挨拶しようと部屋の扉を小さくたたいたら中から「は~い」と間延びした返事が返ってきて以外に平気なの
まず最初にオーダーギターに至った流れだが国内にあるギターは正直高いし売れることを考えて冒険したギターは少ない。 実際、楽器屋に行くと前まで30万で買えたギターが50万なんてのはざらにある。しかも木目やピックアップまでこだわり始めるとキリがない。 そういうわけでギターをオーダーしたのだが手元にギターが届くまで大変苦労したことをここに忘備録として記しておく。 1 奴らは納期を守らない 題名の通りである。我々、日本人は常に納期を守り勤勉し常に少ない時間で成果を上げる民族である。
頭の痛みがする。 目が取れるような感覚と前後不覚。 痛みが生きてると思える。これが酒のせいなのか他の要因なんてたくさんの医者にもわかりやしなかった。こんなもんだ。誰も答えなんか見つけられない。頭がいい人、そうでもない人。富がある人、明日を生きるのも必至の人。 俺には分からなかった。そこまでしていきたい理由が。理由がないとだめなのかい? 理由はいつだって必要だろう。見つけられない人だっている。 見つけてそれが原動力になっている人は幸せだと思う。 今は手の震えと鈍痛
作李が見せてきたのはルービックキューブだった。 「世界っていうのは思ったより単純にできているって思わないか? 複雑に絡み合って単純だったものがいつしか訳わからなくなっていくんだよ」 俺はなんのことか分からなかった。 ただ夕焼けの中に佇む俺たちに詩的な修飾がつかない風景だった。 「お前には世界がどう見える? ここからの風景は何色なんだ?」 普段言わないようなことを言われた俺は答えに窮して答えることができずにいた。 「俺には輝いて見えたんだ。 昔はこんな景色が
死んでしまったことは思い出せる。 どうやって死んだか、死んで方法は思い出せない。 ただ漠然と死んだことは覚えている。 動かすたびに走る脈動も自然と空気を欲する息遣いも、誰かを求めるさみしさも、確かに覚えていたが急に感覚として記憶できなくなった。 死んだというのは揶揄だ。 元々、生きているが分からなかった。 産声を上げた時、生命の始まりに歓喜したという説やこの物語の残酷さに絶望したからだという考えもあった。 どうでもいいとすら思える。熱は徐々に炭へとかわり
懺悔の刻印も 深い後悔も 青空の前には何も残らない 私たちは気にしすぎる 薄明も夜空も青い空も たちまち行き過ぎる あなたのことを忘れないように そのことだけを考えていたけれど あなたのことも あなたのことも あの日ついた嘘や理由さえ あなたの涙さえも 薄明の前に行き過ぎて だんだんと忘れてしまう 何もかもを忘れて たちまち行き過ぎる あなたのこともかなしみを知っていたことも 私は忘れてしまった そこにだけ 当たり前の青空だけがある
Lifeless eyes A coffin drenched in rain I couldn't save I Couldn't save Broken radio Bullet holes and blood They didn't try to help They didn't try to help blowing through wind my chest judge with his eyes and mouth closed rope and a co
no one understands me, I'd rather live alone. If the happiness of the whole is not realized, there can be no individual happiness
愛するものが死んだ時には、 自殺しなきゃあなりません。 愛するものが死んだ時には、 それより他に、方法がない。 幸せっていうのは何だっけとこさちに聞いたことがある。 幸せを呼ぶと書いて呼幸、綺麗な名前だと思う。 「私が思うにその質問をした以上幸せについては漠然とわかっているんですよ。 例えばやかんについて聞くとき『やかん』ってものは分かってて聞くんです。 『やかん』すらわからない人は質問にやかんなんてつけないし質問も成り立たなくなるんです。 だから幸せとは何かと
景色がぶれて見え始めたのはいつからだろうか。 右眼では現実が見えて左眼では森と枝に繋がれたロープが吊り主を探してるかのように揺れている。 どちらが現実かは分からなくなってきた。 夢と現実の違いなんて最初からなかったのかもしれない。 ふとした瞬間に頭の中にささやき声が響く。 「罪の重さを考えてみろ」 「ここいらで諦めたらどうなんだ」 歩いているときも寝ているときも声は響いてくる。 気が狂いそうだ。 毎晩見る夢がある。 箱の中に閉じ込められる夢だ。 箱は無数
1 寝る前に水が飲みたくなって下の階に下りた。 1階には妹が薬を飲むために下りていた。水と薬を無表情に見下ろして。 「まだ飲んでないの?」 俺がそう聞くと妹は首を横に小さく振った。 彼女は所謂引きこもりだった。行かなくなった理由は誰にもわからない。虐めもない今では珍しいくらい仲のいいクラスだったという。俺も後輩にそれとなりに聞いてみたが、そんな話は聞いたことがないと答えた。 担任も理由がわからないと言い、母親も父親も困りに困った。 どうして行かないのか、理由が
心理学は嫌い、と彼女は言った。 待ち合わせなんかしていない屋上を俺と彼女は放課後になると訪れ言葉遊びのような戯言を話し合った。 「どうして?」 「だってすべての行動に名前を付けるから」 彼女は飄々とした顔でそう答えた。 いつだって唐突に何の脈略もない言葉を放つ。 ここで話すことにルールなんてなかった。ただ、お互いの考えている言葉を相手にぶつける。それがキャッチボールになることもあれば壁打ちにしかならないこともある。だけど俺は彼女のそういうところが好きだった。彼女も俺
時間を巻き戻したいと思ったことはないか? 博打で負けた時、振られたとき、好きだった人が結婚した時、博打で負けた時 考えれば後悔と悔しさにまみれる生活だった。呪ってやる。 俺は不思議な体験をした。 あれは肝臓をわざわざアルコールに浸したような男だった。 男はもうすぐ死ぬようだった。 酒におぼれるより女におぼれた方が俺としてはかっこいいと思ったが男は金も家族も酒も手に入れていた。そして酒に殺されそうになっていた。 健康な人から見たらなんて不幸な人だと思うだろうが、精いっぱいの
思考は湯水のように流れるが言葉となると口に出すのは難しい 思考というよりもはや妄想、栓無きこと。 たらればを口にすると自分がみじめになるのは仕方ないがそうやって逃げるというのも案外悪くない。逃げ回った結果のことなど未来の自分に任せてしまえばいい。未来の自分は今とは違うのだから他人だ。 他人には優しくしなさいとはお母さんやおばあちゃんの言葉だが俺は中国歴史を学んでいたので「師いわく、ぶっ殺せ」と孔子が残した言葉を大事にし、墓場まで持って行くことだ。 2 就活する上に置
なんだかんだ27になる歳になった。 なんだかんだ生きてなんだかんだ遊びなんだかんだ病んでなんだかんだ今も生きている。 産まれは変な町だ。 パチンコ屋と釣り用具店と安っぽい電気屋に本屋。 どこにでもある変な町。 変な町には変な人もつきもので、多分に漏れず俺も変な人になった。 夜な夜な繁華街を走り立ちんぼの横を通り過ぎ変な空気を吸って吐いて家でマラを擦り付けて寝ていた。 俺も変ではありながら人並みの欲望はあった。 有名になりたいだの権力が欲しいだの自意識だ
吐き気が止まらない。 弁当に何か仕込まれたか。脱水か、ヤクのやりすぎか。 筋トレしてからどうにも気持ち悪さと嘔吐が止まらない。 もともと拒食症なのもあるから今まで食ってきた反動もあるような気もする。 すごい気持ち悪い。 毎日筋トレは体に悪いんだろう。 いきなり体を動かしたもんな。 ずっと家と事務所の行ったり来たりだったし体を強く動かすなんてことは半年以上なかったから反動が大きくの鹿かてきてるんだろう。 今日も特筆するようなことがない一日だった。 まじで何もない一日。 素晴ら