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謎の独立国家ソマリランド

こんにちは。
今回は「謎の独立国家ソマリランド」
(著者:高野秀行)という本について
書きたいと思います。

「謎の独立国家」まずこのタイトルに惹かれてしまいました。惹かれていたというより、厳密に言うと惹かれ続けていました。

何かの紹介でこの本を以前から知っていて、たまたま大学図書館で遭遇!

あっ!!読みたかったやつ!!

重要な試験が控えていましたが、勉強はそっちのけですぐ読み始めていました。
(勉強してくださーい、、、)

ちょっとだけと思っていたんですが、止まらないぐらい面白い本でした。

出だしのスピーディー感がすごすぎるんです。こりゃ止まらん。

高野さんはビザの取得方法もよくわからないようなソマリランドに行こうと思い立ち、大学時代の友人と行くことになります。

出発の当日に日本にいるソマリ人、しかもソマリランド独立の英雄に会えることになります。

しかし、所要時間は10分!

高野さんは「ソマリランドで誰か信頼できる人を紹介してください」と言うと、ソマリランド独立の英雄に大統領など政治の中心的人物の名前と肩書だけを教えてもらうことになりました。

???
ソマリアじゃなくてソマリランドっていう国があるんや!

何でソマリランドの独立の英雄が日本に?

現地で頼りにすべき人物は大統領?

そんな情報少ない中怖そうな
ソマリランド・ソマリアへ行くの!?

もうツッコミどころ満載で、図書館で笑いをこらえるのに必死でした。

でも何とかなっちゃうところがすごいところ。

到着すると、本当に大統領のスポークスマン(日本でいう内閣官房長管的な人)に会えちゃって、旅のコーディネートまでしてくれちゃって、車や通訳さんも用意してくれる。

そのうち、心強い仲間もたくさんできちゃっている。すべてが超速で完璧です。

私の第一印象はソマリア=海賊の国=怖い
という印象でした。
(何にも知らないのにソマリの人すみません)

この本を読んで、私のイメージとは真逆なことがたくさん書かれていて、とっても興味深い国!もっと知りたい国!となりました。

この本は一般的に知られているソマリアという国の北部に位置するソマリランドについて書かれています。

ソマリランドは国際社会から独立は認められておらず、ソマリア(ここからは南部ソマリアと呼びます)からも独立は認められていません。

しかしソマリランド人は独立国家と考えています。

取材時の2011年ごろのソマリランドは
・選挙もあり、政治が機能していて、憲法も作り進められている。

・国の独自の通貨がある。

・武装解除が行われており、街を歩く人も全然銃を持っていなくて平和

・自分の好き放題楽しくしゃべっている

???
えっ?ちゃんと国家として機能していそうやし、めちゃめちゃ平和そう。
まさに謎の独立国家です。

この謎の独立国家だけにフォーカスが当てられているわけではなく、ソマリアは3つに分かれており(正確に言うともっとあります)、
ソマリランド以外のプントランドと南部ソマリアの状況も取材され、その人たちから見たソマリランドへの考え方も書かれています。

この本を3単語で表してと言われたら、

「氏族」「お金」「カート」と私は挙げます。

氏族(ちょっと政治の話も)

この話は難しかったですが、ソマリランドを語る上で、外せないです。

部族じゃなくて氏族です。
誰がどこの氏族に属しているか。
日本でいう都道府県、市町村、町内会的な
感じで細かく枝分かれしています。

著者の高野さんもソマリランドの氏族がたくさんあることを日本の戦国武将を用いてわかりやすくしてくれようとしているんですが、

私は日本史の知識が皆無すぎるので、わかりやすいような気がするって感じでした。

でも、ぼんやりこんな感じでどこら辺の人やな~っていう目印になったので、良かったです。

氏族同士のもめ事が起きたときに氏族の長老が話し合って、解決へ導きます。

どうやって解決するかというと、

ヘールという掟に従って決めます。

人が例えば、人が一人殺されたら、ラクダを100頭で払うといった感じです。

現在は現金で払うらしいです。
このようにもめ事を清算していきます。

しかし、前例のない場合はこのような清算はしません。憲法を作ります。

政治的なことに関しては氏族は力を持たず、監査役に徹します。

政治は政治家に任せ、氏族はそれを監視し欠点を補う、氏族は武力を持たず、国家で唯一武力を持つ政府軍は政治に関与しない。
これぞ世界に誇るハイパー民主主義である。
また、ソマリランドは「下からの民主主義」とも言える。小さいグループから大きいグループへ和平と協力関係が構築され、最後に国が現れる。現代社会が無理だと思っていたことが、自分たちだけでできてしまう。
先進国はその逆で国ありきで、
そこから国民に説明する「上からの民主主義」が一般的である。

確かに、小さい国だからできる部分があるのかもしれないですが、本来あるべき国の姿、民主主義を究極に突き詰めると、ソマリランドの政治形態になるんじゃないかと思いました。

理想が自分たちだけでできている。

これってすごいことなんじゃないかと思って、ソマリランドについてもっと知りたくなり、
学ぶべき点も多いと感じました。

また、その当事者に聞くことは大事だなと思いました(私が聞いたわけではないですが)。

何も知らずイメージだけではわからない部分があって、そして、どちらも正しいと思っていることが真逆であった場合、いつまでたっても分かり合えないため、分かり合うためにはそこに飛び込んでみないと本当の意味で分かったことにならないと感じました。

お金

ソマリ人はとにかく自分に利益があるかどうかで動くようです。

関わったすべての人に日当を払わなければならず、取材中たくさんお金が飛んでいったようです。

日本人は情で動く部分が大きいような気がしますし、あんまりお金お金と言ってたら、けちな人っていうイメージがついてしまうので、そういう風に思われるのが嫌という考えな気がします。(たぶん)

でも、人間は自分に利益があるから動くっていう方が自然な気がします。

ストレートに生きる感じ。
ちょっとうらやましいかも。

カート

熱帯高地に自生するニシキギ科の常緑樹の一種であり、主にアフリカでとれ、興奮性の物質であるカチノンおよびカチンが含まれる(Wikipedia)。

ソマリランド人は朝にパパっと仕事を終わらせ、昼の13時か14時ごろから、カートを食べ始め、みんなでワイワイします。イスラム教はお酒が飲めないため、お酒代わりのカートといった感じらしいです。

このワイワイする会はカート宴会と呼んでいます。高野さんもカートを食べ、現地人と混じって、会話に入り込み、情報を聞き出します。
もうずっとカートを食べています。

ソマリランド人はカートの効果もちょっとはあるかもしれませんが、好き勝手自分のしゃべりたいことをしゃべって相手の話は聞かず、すぐどっかに行ってまた自分の話をしゃべり始めるらしいです。

これを見て、
うわ~日本人うけ悪そ~って思いました。
自由人すぎる。

南部ソマリアの都市モガディショはかなり戦闘が激しい地域のようですが、モガディショの人の方が礼儀正しく、落ち着いた雰囲気があるそうです。

私はこの話を見て、とっても意外でしたが、ワイワイ自分のことを好き勝手に言うことができて、それを全然気にせず、ワイワイみんなで楽しくできるってめっちゃ平和なことなんじゃないかなと思いました。

番外編 剛腕女子支局長ハムディ

南部ソマリアの都市モガディショのテレビ局の支局長ハムディさんについて書きます。

ハムディさんは取材を行ったり、アナウンサーとしてカメラに向かって話し、支局の金銭面での仕事も取り仕切っているらしいです。

もっと驚くべきことに年齢は20代そこそこ。
めちゃめちゃ完璧女子!!

いちばんしっかりしているので、支局長に選ばれたみたいです。

女性をいい役職につけておいたら、男女平等っぽく見えるから、置いておこうじゃなくて、

実力が認められ、性別とか、年齢とかにとらわれず、正当に評価してくれる会社も素敵だと思いました。

しかも気配りもすごい!

高野さんに提供する食事の味見をして、気に入らなかったら作り直してもらっていたとのこと

客を最高の形でもてなすために。
しかも自分からはそういうことを言わない。
かっこよすぎる!!

度胸もあって、仕事もできて、
気配りもできる!

すごすぎる!私もそんな女性を目指したいです。

長々と書いてしまいましたが、まだまだ書きたいぐらい面白い本でした。

満足感がすごいです。

ソマリランド、ソマリアに興味がある人はもちろん、冒険が好きな人、知らないことよくわからないことを知りたい人におすすめの本です。

話がとにかく面白いので一気に読めてしまうと思います。




ここまで読んでいただきありがとうございます。



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