太郎、釘打ちデビューを果たす
我が家では、太郎が本物に触れる良きタイミングを見極めることを大事にしている。
木材とプラスチックのパーツを組み合わせてロボットや乗り物をつくる知育玩具BRIOが彼の最近のお気に入り。
といっても、ネジや歯車を組み合わせて動く仕組みを考えるのは難しく、握力も足らなかったから、遊び方といえば父ちゃんに作ってもらった作品を走らせたり、付属の工具でパーツをいじいじするだけだった。
それが先日、何本もの釘をトンカチでカンカン叩いて2枚の木材をうまいこと留め合わせているではないか。
どこかで誰かが釘打ちする様子を見たのか知らないが、片膝を立てて床に座り込み、左手で釘を押さえて斜めの角度から覗き込みながらトンカチを操る姿は立派な大工さん。
今だ。
彼に本物を。
翌日、父ちゃんが木材や工具を自由に使わせてくれる公園に太郎を連れて行ってくれた。
とても楽しく打ってきたらしい。
(しかしこれでは釘の用途の理解につながらないではないか父ちゃんよ)
日常で親が釘打ちや大工仕事をしている姿を見せてやれたら良いのだろうが、マンションだとなかなか難しい。
こんな用意がある公園って貴重で素晴らしいし、有り難い限りである。
玩具より本物の方が用途が広い。
道具一つで創造の世界がぐっと広がる。
一方で、正しく使わないと危険だったりメンテナンスが必要だったりする。
それらを学ぶことで注意力を養ったり、安全に使えるような工夫を考えたり、物を大事にする心や管理能力が育まれたりするのではないか。
母ちゃんはそんなことを考えながら、
太郎の世界が広がっていく光景を眺めている。