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東北少年院を見学してきました①-少年院と刑務所の決定的な違い-
こんばんは!
先日、宮城県仙台市にある「東北少年院・青葉女子学園見学ツアー」に参加してきたので、今日はそのことについて書きます!
かなりのボリュームになりそうなので、連載で少しずつ書きます。
まずはツアーの前提になる、基礎的な説明から!
(※主催者の情報はこの記事の一番下にあります!)
はじめに
少年院と刑務所、どちらも「悪い人を罰する施設」だと思っていませんか?
実は、この二つはまったく違う施設なんです。
私が東北少年院の中に入ってまず驚いたのが、院内の温かな雰囲気です。
法務教官と少年が談笑する場面もあって、まるで学校のようだったんですね。
イメージ:教官と談笑する在院生
ちなみに、半年前に見学した「少年刑務所」では、このような雰囲気はまったくありませんでした。
刑務官の方は鬼のように厳しい顔をされていますし、受刑者の方も黙々と作業をこなします。
歯を見せて笑うような雰囲気は、微塵もありません。
どうしてこんなに雰囲気が違うのか…?
その決定的な理由は、少年院と刑務所の「目的の違い」にあります。
この記事では少年院がどんな場所なのか、法務省の資料と、ツアーで見聞きした生の情報を交えながら説明していきます。
この連載を読み終わった時、あなたの中の「少年院」や「少年司法制度」の解像度が、グッと上がると思います!
1. 少年院とは?~刑務所との違い~
この章の要約
・少年院は更生のための「教育」をするところ
・刑務所は「罰を与える」ところ
本編
まず、少年院はどんな施設か?について説明します!
少年院:教育と更生※ が目的の施設。対象は主に12歳~20歳。
刑務所:刑罰を科すことが目的の施設。重い罪を犯した少年の一部や、成人が収容される。
※更生…再び罪を犯さないように立ち直ること。
罪と向き合う気持ちや意欲※1 を養ったり、適切な人間関係を作る技術※2 や、自立するための知識※3 を学んだりする。
▼具体例:
※1…教官との面接や、被害者の視点を取り入れた指導など
※2…在院生同士のグループワークや、体育での集団行動、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)など
※3…教科・職業指導やキャリアカウンセリングなど
教育か刑罰か…これが、少年院と刑務所の決定的な違いです。
これは、両者の「一日の流れ」を比べると分かりやすいです。
①少年院の一日の流れ
少年院の日課は、ほとんどが「教育活動」になっています↓
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https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse16-04.html
座学や実習をしたり、年齢によっては高卒認定試験の勉強もします。
歌を歌ったり、イラストや作文などの作品を作ったり、文化祭のような行事を行うこともあります。
↓出典:少年院のしおり『明日につなぐ』(法務省)
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教科指導…義務教育や高卒認定試験など
体育指導…サッカー、バレー、水泳など
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②刑務所の一日の流れ
これに対して、刑務所の日課のほとんどは「刑務作業」になっています。
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たとえばミシンを使って洋裁をしたり、金属加工や木工をしたりです。
2つの動画からも、少年院と刑務所の雰囲気の違いが伝わるでしょうか。
・法務教官(=少年院の先生)と在院生との関係
・刑務官(=刑務所の執行官)と受刑者との関係
口調など、雰囲気がかなり違いますよね。
今日のまとめ
・少年院と刑務所は、雰囲気が違う
・その理由は、それぞれの施設の目的がまったく異なるから(少年院…教育と更生 / 刑務所…罰を与える)
・少年院に入った人は「教育指導」を受けて過ごす
・刑務所に入った人は「刑務作業」をして過ごす
次回予告
この記事では、少年院と刑務所の目的の違いについて説明しました。
次回は、「そもそもどんな人が少年院に入るの?」ということについて解説しようと思います。
少年院に入るのは、家裁送致されたうち3.6%しかいない
実は、令和5年には約3万7千人もの少年が警察などに補導されて、家庭裁判所に送られています。ものすごい数です。
でも…実際に少年院に入るのは、その中のたった3.6%、1,300人しかいないんです。めちゃくちゃ少ないですよね。
どうしてこんなふうになっているのか…?
それは、少年司法制度の仕組みを知れば分かります。
少年司法制度がカギ
・家庭裁判所
・少年鑑別所
・保護観察
…
「聞いたことはあっても、意味はよく知らない」という言葉がたくさんあるのではないでしょうか?
次の記事では、日本の少年司法の仕組みを、中学生でも分かるくらいに嚙み砕いて説明します!
ここを知っていると、少年院の中の様子や、見学ツアーで聞いた法務教官の先生たちの言葉が深く理解できるようになるので、次回もぜひ読んでいただけると嬉しいです!
ツアーに参加したい方へ
今回のツアーは「認定NPO法人育て上げネット」という団体が主催したものです。
月額制のクラウドファンディングに参加すると不定期で見学ツアーのお知らせが届くので、ご興味ある方はぜひ一緒に応援しましょう!!