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原点回帰してシリーズ人気復活!? - 映画『ソウX』感想とサスペンスおすすめ本

サムネ画像引用元:ソウX公式サイト

今回は、映画シリーズ最新作『ソウX』を観てきましたので、その感想を綴らせていただきます。

映画『ソウ』の歴史

2004年に公開された『ソウ』は、“ソリッド・シチュエーション・スリラー”という言葉を世に知らしめた衝撃作でした。「鎖で繋がれた二人の男」と「閉じ込められた密室」というシンプルな構図の中に、息詰まるような緊張感と、「犯人当て」の謎解き要素が巧みに織り交ぜられた、まさに傑作と呼ぶにふさわい作品でした。

そして、最新作『ソウX』は、記念すべきシリーズ10作目にして、原点回帰ともいえる物語となっています。舞台は、第1作『ソウ』と第2作『ソウ2』の間。つまり、ジョン・クレイマーが“ジグソウ”として暗躍していた時代を描いた作品となっているのです。

『ソウX』は面白いのか?

近年は、ジグソウの後継者たちがゲームの主催者となっていましたが、『ソウX』では、完全なるジグソウの復活を遂げています。彼自身の視点から物語が展開していくため、その狂気と信念の根源に触れることができる貴重な作品と言えるでしょう。

しかし、シリーズを通しての魅力の一つであった「真犯人は誰なのか?」という謎解き要素は、本作では薄まっていると言わざるを得ません。首謀者がジグソウであることは明白であるため、サスペンス要素よりも、彼の内面やゲームに隠された真の意図に焦点が当てられているように感じました。

特に印象的だったのは、薬物依存の女性ガブリエラに対するジグソウと、彼の助手であるアマンダ・ヤングの言動です。薬物中毒だった過去を持つアマンダの、ガブリエラへの同情的な眼差しは、シリーズで描かれてきた彼女の苦悩が感じられます。

そして、『ソウ』シリーズといえば、最後の最後まで予想を裏切るどんでん返しと、あの特徴的なテーマソングと共に訪れる衝撃のラストシーンが醍醐味の一つです。しかし、本作のラストは、これまでのシリーズと比較すると、オチが読めてしまい、やや弱いと感じてしまったことも正直なところです。

『ソウ』シリーズが好きなら観る価値はある!

とは言え、『ソウ』シリーズの原点に立ち返り、ジグソウという存在をより深く掘り下げた作品であることは間違いありません。シリーズを通して楽しまれてきた方はもちろんのこと、人間の心理を描いた作品が好きな方にも、ぜひ一度ご覧いただきたい作品です。

サスペンスおすすめの本

サスペンス、心理学、哲学など、映画が扱うテーマと関連した本をご紹介します。

『告白』 湊かなえ

愛する娘を殺された教師が、犯人である生徒への復讐を企てる衝撃作。人間の心の闇、復讐の連鎖、そして許しというテーマは、『ソウ』シリーズの持つ人間の心の奥底を覗き込むような感覚と重なります。

『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティー

孤島に集められた10人の男女が、一人ずつ殺されていくミステリーの金字塔。閉鎖空間、謎解き、そして人間の心の奥底に潜む悪意という要素は、『ソウ』シリーズの醍醐味と共通しています。

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