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指先で白い胡蝶蘭の花びらのふちをなぞる。 柔らかに見えるその花びらも、中には葉脈がし…
僕らはいつから隔たりを作ってしまったのだろうか。 薄いビニールが1枚、僕らの姿を滲ませ…
俺はふと、小腹がすいた。 いや、お腹の虫の鳴き声を聞く限り、それは小腹どころの騒ぎで…
十七歳の夏、僕は初めて人を殺した。 夏は人を惑わせるというが、それはあながち間違…
私は夜を貸した。 紛れもない、もう一人の私に。 最初はそんなつもりなんてなかった…
ふわふわり。 私は竹の香りに誘われて、気づけば神奈川県の鎌倉駅を降りていた。 タク…
私は昨日、髪を切った。 耳が出るほど短くて、後ろ髪は刈り上げて。 なんだか後ろめたかったものが、全て無くなったようにも思えた。 ラズベリーの香りのワックスで、くしゃくしゃと髪を散らかして、少しだけ前髪を整えてみたりして。 無造作ヘアなんて洒落た髪型の憧れが叶い、私は思わず歓喜した。 白シャツに黒のスリムジーンズで、紺色のコンバースの靴紐を結ぶ。 誰もいない部屋に、「いってきます」と呟き、私は慌てて外へと飛び出した。 今日はなんだか風が気持ちよく感じる