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主婦短歌 33 トイレ清掃員の歌

トイレ清掃員は今日も、今日も私の知らない朝を纏って


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トイレ清掃員さんが「朝」に見える。

最近トイレ清掃員さんを無意識に見て、観察してしまう。
清掃員さんはさりげなく、また程よいタイミングで個室トイレの清掃に入る。
トイレ清掃員という仕事は、誰もがやりたがらない。
私も正直に言うと、仕事をするとなってもトイレの掃除はどうしても選べない。白状する。
だからか、そんな、人が嫌がることをしている人たちがどうしてか、私には「朝」のように見えてしまう。朝って漠然としてるけど…。

清掃員さんは、例えていうと噺家(はなしか)さんだ。とにかく「間」を大切にしている気がする。
トイレを利用する人たちへの配慮もさることながら、清掃に入るあいだとあいだの「間」。
控えめで、かつスピーディーに緩急をつけて行われるそれは、清掃員さんそのものが、もう神だ。そして、何だかんだ言っても、自分は温室育ちなんだなと思って恥ずかしくなる。
そんなことから、この前自然と清掃員さんに「ご苦労様です」と、話しかけていた。
自己満足かもしれないけど。
トイレ清掃員さんは、毎日毎日、私の知らない朝の光り方をたくさん知っている。そんな気がする。


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