【小1・小3・小5の壁】学習でつまずかないための予防策
前回、なぜ「小1・小3・小5」のあたりで学習につまづくのか、その理由について解説しました。
今回はそうならないための予防策、事前対策についてお伝えします。
【いつどんなことをすればいいの?】
下のグラフは、青が小学校の実際の学習進度、オレンジが理想の学習進度を表しています。
①②③は小学校の学習進度と理想の進度に隔たりがある部分で、そこが対応策のポイントになります。
①「小1の壁」の回避方法
小1の壁を回避する方法は、【小1学習の先取り】に他なりません。
小学校入学前までの目標は(あくまでも目標です)、「ひらがなが読める、自分の名前がひらがなで書ける(できれば全て書けるのが望ましい)」「一桁の足し算引き算ができる」ことです。
幼児の時に、読み聞かせなどで「文字」と「音」を一致させておくことが、小1の壁を作らない最初のステップになります。
また、絵カードなどで文字と音を一致させることも有効です。
たとえば、こんなものです↓
最初はこれくらいシンプルなデザインのものがいいです。書き順がわかるものなども売られていますが、あまりごちゃごちゃしていると混乱する子どももいます。大きい書店で販売されていますので、ぜひご確認してみてください。
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算数の先取りは、実際のものを見て「1つ、2つ、3つ・・・」とモノを数える活動によって、数を具体物として認識できるようにします。
ここで勘違いしてはいけないのは、この時期のお勉強はガリガリと机の上だけで行う勉強ではありません。
集中力もそんなに持たないですし、何より「勉強つまんない」になりがちです。
私が勤める福祉施設の保育部門でも、遊びの一環として、保育士さんたちが楽しみながら学習させる工夫をしています。
お家での学習方法は、こちらも絵カードか百玉そろばんがおすすめです。
↓こういったシンプルなデザインが最初はおすすめです
百玉そろばんは、個数と数字を頭の中で一致させることが目的なので、針金だけで出来ているものではなく、このような後ろに数字が書いてあるものがおすすめです↓
ひらがな学習は日記を書くとか、お手紙を書くなど、楽しみながら文字に触れさせる機会を作るとよいですね。
なお、「ひらがな」の学習を事前に済ませておくことで、入学後「カタカナ」の学習がスムーズになります。
実は、「カタカナ」は今後の漢字学習にとって必要不可欠ものです。
「女」という漢字を「“く”“ノ”“一”」と覚えた方はいらっしゃいませんか?
特に聴覚優位で継次処理能力が高い子どもにとっては、「ノに1で“にんべん”」というように、文字を分解して言葉にして理解した方が覚えやすいため、カタカナが身につかないままだと、漢字学習がかなり不利になります。
【過去記事】
「視覚優位?聴覚優位?それぞれの効果的な学習方法」
「同時処理能力・継次処理能力とは何だろう?どう学習に活かす?」
一桁の足し算引き算は、駐車場に停まっている自動車の数や、お店で好きなキャラクターの商品がいくつあるのか数えて足し算引き算してみるなど、実物で計算させる方法がおすすめです。
小学校入学後は、恐らく学校生活に慣れることが重要になってくるかと思いますが、事前学習を済ませておけば慣れることに集中できるので安心です。
そして慣れたころ、夏休み前までに二桁の足し算、引き算(繰り上がり、繰り下がりなし)、漢字学習に着手します。
そうすれば、冬あたりにくる繰り上がり、繰り下がりの計算問題にもスムーズに取り組むことができます。
また、見落としてはいけないのが「音読」です。
実は「音読」がきちんと出来ないと文字と音の一致が難しくなったり、理解が遅れるなどで、あとあと文章読解力が伸びなくなってしまいます。
共働きで忙しい中、子どもの音読に付き合うのはめちゃくちゃ大変です。が、これをしなかったことによって、数年後、学習について悩まれる保護者の方は本当に多いんです。
この時期にしっかりと毎日「音読」をさせましょう。
・カタカナ大事。カタカナを覚えないと漢字学習に支障が出る
・音読大事。音読が出来ないと、文字と音の一致が難しくなるため、長文読解が難しくなる
・数を数えて数の認識をしていないと、数の概念が理解できず繰り上がり繰り下がりのところでつまづく
②「小3の壁」の回避方法
小2の夏から、先取り学習を行うことが対応策です。
小2の後半には「九九」だけではなく、「長さや重さの単位」が入ってきます。国語では漢字が160字なので、これらを夏休みや冬休みを利用して、先取りして学習してしまいます。
そして、小2の三学期(二学期性の場合は二学期の後半)には、小3の学習内容を先取り学習することで、実際に小3になった時、遅れないよう準備しておくのです。
小2の時に小3の学習を先取りしておけば、小3で出てくる英語や割り算など初出の単元に関して時間をかけて勉強することができ、遅れる可能性が低くなります。
この時期の学習の遅れは、のちのち致命傷になりかねません。しっかり学習に取り組みましょう。
・音読はスラスラと読めるようになるまで続ける
・その子の得意能力(視覚か聴覚か?同時処理か継次処理か?)がわかるようになっておく
・最低でも週3日以上、きちんと学習する生活習慣を身につける
③「小5の壁」回避方法
小1~2までしっかりと音読し、小2、3の九九、割り算を突破、小4の大きな数や分数を打破したとしても、小5の壁は高く険しいです。
そのため、一時的に学校での学習進度と自分の学習進度が逆転してしまうことも多いのですが、そこであせりは禁物です。
小4までに行える対策としては、もちろん先取り学習なのですが、それと並行して「読書」や「実体験」が重要になってきます。
文章の読み書きは出来るんですが、意味がわからない、文章の意図が理解できない、といった現象が出てくるのが小5です。
習う漢字が抽象的・概念的なものが増えてくるため、読書量が少ないと語彙力が弱かったり、読解力が身についていないと長文読解ができず、国語がついていけなくなってしまいます。
また、割合や立体図形などが出てくるのがこの時期。実際にバーゲンで買い物をするとしたらいくらになるのかなど、実体験を重ねることで割合はリアルなものとして捉えることができます。
また、様々な形のモノや建造物を実際に見たり、モノづくりを通して想像力や立体把握力を高めておくことがポイントになります。
・想像力や論理的思考力が必要になってくる時期
・得意不得意がある程度明確になってくるので、つい苦手な科目の勉強は後回しにしがち
・中学受験をしない子は、勉強しなくても公立中に入れるため、真剣に勉強をする動機があまりない。勉強の必要性を実感させるような体験を重ねることが重要
【まとめ】
今回は「小1・小3・小5の壁」をいかに回避するか、つまづく前にできる方法についてお伝えしました。
しかし、これはあくまでもつまづかないための事前対策です。
壁が出来てしまってからでは、これらの方法では太刀打ちできない場合が多いです。
また、これらの対応策が出来ない子は必ずいます。
その場合、発達障害や学習障害、軽度知的障害が考えられる場合もあります。
その見極め方法や、壁が出来てしまってからの事後対策についても書いていきたいと思っておりますので、またお時間のある時にお立ち寄りいただければ嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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