【陸奥と下野の県境をめぐる旅2023⑤】かつての奥州街道沿いに鎮座する境の明神(福島県白河市)
【陸奥と下野の県境をめぐる旅2023】も今回が最終回(のハズ(;^_^)
最後をしめくくるのは奥州街道沿いに鎮座する境の明神です。
前回紹介した「追分の明神」も、今回紹介する「境の明神」も、陸奥と下野(しもつけ)の境に鎮座しますが、鎮座地と時代が違います。
●追分(おいわけ)の明神
奈良時代につくられた古代の官道、東山道(とうさんどう)沿い。現在の栃木県道・福島県道伊王野白河線)の県境に鎮座
●境(さかい)の明神
江戸時代初期に整備された奥州街道(正確には奥州道中なのかな?このへんは、まだ勉強中(;^_^)沿い。現在の国道294号沿いの県境に鎮座
前回の記事はコチラ↓
境の明神を紹介する白河市の公式サイトはコチラ↓
これより本文。
以前、「つぶやき」にも書きましたが、数年ぶりに訪れたら、なんとポケットパークが整備されていました! 以前は県境を越えて、那須町側の駐車場を利用していたんですが、白河側に駐車できるのはうれしい限り。
整備前はかなり鬱蒼とした感じで、それはそれで雰囲気があったのですが、正直ちょっと怖かった。うなじの毛が逆立つといいますか。訪れたのが雨の日で、暗かったせいもあるかもしれません。
境の明神が鎮座する白坂宿顕彰碑実行委員会による案内板もありました。これもうれしい! 地元の方の熱意を感じます。ありがとうございます!
昔は茶店が並んでいたんですね。こういう案内碑(?)もあると、昔をしのぶことができます。
さて、「境の明神」は、県境をはさみ、陸奥側と下野側に、それぞれ一社ずつ鎮座します。
その神名(じんみょう)とご祭神の説明が少々ややこしい(;^_^
陸奥側と下野側では、神名とご祭神が反対になるのでした。白河市の案内板によると、これは女神は内(国を守る)、男神は外(外敵を防ぐ)という信仰に基づくものらしい。
つまり…
●陸奥側からみた場合
陸奥側の神社→玉津姫神社。御祭神は衣通姫命(そとおりひめのみこと)
下野側の神社→住吉神社。御祭神は中筒男命(なかつつおのみこと)
●下野側からみた場合
陸奥側の神社→住吉神社。御祭神は中筒男命(なかつつおのみこと)
下野側の神社→玉津姫神社。御祭神は衣通姫命(そとおりひめのみこと)
になるのでした。
由来は不詳ですが、文禄4年(1595)に、当時白河を支配していた蒲生氏が社殿を造営した記録があるようです。現存する最も古い建物は弘化元年(1844)だそう。
ということで、以下写真を中心にご紹介。
こちらは陸奥側の玉津姫神社(下野側の住吉神社)にあたる神社です。白河→那須方面だと、右手に鎮座。本当に国道沿いなので、最初はビックリされるかもです。
鳥居のアップ
古い案内板。相撲部屋の「二所ノ関」の由来になったことも記されています。
上の続き
鳥居脇の狛犬さん
もう一つ、狛犬さん。
いい感じに古めかしい髄神門
和算額が奉納されていました。
明治以前の数学を「和算」といいます。こちらは復元して展示したものだそう。
境の明神の説明。
苔がすばらしい境内。石灯籠は江戸時代のものが並んでいました。
これは天保13年に奉納された石灯籠。
記憶にあるよりも、緑や苔が美しかった! 以前は雨の日だったからか、なんだかとっても寂しくて、怖いような雰囲気だった覚えがあります。
「此是北白川領」の石碑。東山道の追分の明神にもありました。
ここで、陸奥→下野の県境を越えて…(しまった、下野→陸奥の県境の写真しかない!)
こちらが下野側の境の明神。左手の自販機のあたりに、駐車場があります。
下野側の案内板。
狛犬さん。
狛犬さん
鳥居のアップ。参拝したのは15時くらい。かなり西日っぽい。
覆屋付きの社殿
下野側にも古い案内板がありました。
境内の石碑。「水天宮 大権現」と読めます。神仏習合?
この仏像↓は、平成4年に奉納された「境の明神 大日如来像」だそう。地元の方が奉納されたのでしょうか。美しいお姿です。神社に大日如来像。やっぱり神仏習合。
こちらが那須町側の駐車場です。
下野→陸奥の境の明神をのぞむ。
境内の樹木はケヤキ? ポケットパーク整備と同時に、境内林も多少伐採したのかも? 以前の背中がゾクゾクするような感じはかなり少なくなっていました。
整備されてきれいになり、中筒男命も衣通姫命も、さぞお歓びのことでしょう。
今回は白坂宿(境の明神に近い奥州街道沿いの宿場)に寄る余裕がなかったのですが、昨年の仙台育英高の「白河の関越え」で白河の関に脚光が集まる今(まだイケル!)、白河神社だけじゃなく、追分の明神、境の明神の御朱印とかあったら、注目されるかもしれないなあと考えたり。南湖神社と併せてめぐったり……そういえば、このあと、南湖神社にも立ち寄ったのでした。後日紹介します!
旅に関するマガジン作成しました(今のところ福島県内多め)