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モンスター映画と苦手な食べ物
チープなモンスター映画を見た。
暗い学校の中に閉じ込められて、謎の虫型モンスターに追いかけられまくる。というやつ。
こういう映画には“汚さ(不潔)”と“粘液”と“闇”が欠かせない。
モンスターは“暗くて何も見えない”地下とか“汚い”下水道なんかに潜んで巣を作っていて、だいたいそこに巨体のドジな酔っ払いおじさんが偶然迷い込んで餌になる。
巣の中はモンスターの出した“粘液”でネチョネチョのネバネバ。
1匹倒して終わりかと思いきや、複数存在する証拠的な何かを見つけて、「コイツ(ら)は一体なんなんだ⁉︎チクショウ!マザファッカー!」と戦いまくる。
「うわぁ、汚くて暗い、それに臭そう〜。ネチョネチョしてるしネバネバもしてる!」
なぜ、こういうのが“恐怖”を駆り立てるんだろうか?
確かに汚くて入りたくない空間に閉じ込められたり、何が潜んでいるのかわからない暗闇は怖い。
見るのも嫌だし、触りたくない、そこにいたくもない不気味な場所で戦うってのが、怖さを助長しているのか?
ふと気付いたのが。
こういうのって、「嫌われやすい食べ物」に似ているなぁと思った。
たとえば、生卵だったり、納豆やピータン、にんじんやピーマンもそうだ。もしかするとお刺身なんかもそうかもしれない。
基本的に、生で食べる物は嫌われる傾向があるし、生卵やお刺身は日本以外ではあまり食べられない食材だ。
今じゃお刺身やお寿司は日本の代表食として君臨しているが、生の魚を食べる文化の無い国にとっては、ちょっと気持ち悪い食べ物に違いない。おそらく、お刺身やお寿司が外国の方々に好まれるのは、“清潔感”がその隣にあるからではないだろうか。
我々日本人でも、食中毒になりそうな場所とか、汚いまな板の上で作られたお刺身やお寿司はゴメンである。
生卵や納豆、ピータンなどのネバネバやドロッとした感じ、奇妙なにおいややけにピカピカしていたり暗い色とかつぶつぶした感じが実にグロテスクだ。
嫌いなものを強いて食べろと言うと、たいていのひとは、眉毛をぎゅっとくねらせて、くちびるをひん曲げる。
そう、モンスターから逃げる登場人物と同じような顔をしている。
嫌いな食べ物に挑戦するひとの姿は、まさに謎のモンスターと戦う姿だと言える。
ところで。
こういう映画で、生き残りそうな優しくて勇敢なひとが最後の方で死んじゃうと、すごく残念なんだよなぁ。
「え!あなた死ぬのかよ!」
が、すごく残念。
優しくて役に立つあいつには最後の最後まで生き残っていて欲しい。
優しくて役に立とう、これからの僕は。
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