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【成年後見活動】圧倒的敗北感

ソーシャルワークを行う中で
「勝ち」「負け」もない。
でも、今回の件では
「本当にこうするしかなかったんだろうか」
と自問自答し続けている自分がいる。

①ジレンマだらけ

以前投稿した被保佐人Aさん。 

家賃滞納に伴い、早期退去を言い渡されている。
状況については理解はしているが、
統合失調症による妄想が強く、
関わりのない親族と一緒に暮らすと
現実的ではない話を繰り返し、
施設入所は希望されない。

身体状況もどんどん悪化。目も見えず、
居室もごみ屋敷状態。
これまで出来ていた買い物、洗濯、入浴も
ままならなくなってきており、
一人での生活は限界を迎えていた。

精神状態も悪化し、毎日のように外出し、
警察に保護されることを繰り返し、
「前のマンションに長男夫婦が住んでいるから」と話し、
周辺住宅を探し回られる。

このような状況から
地域包括支援センターの担当者と相談し、
精神医療に再度つなぐことを決め、
以前かかったことのある精神科医へ往診を依頼。
「入院するべき」との判断となる。

すぐに受け入れしてくれる病院が見つかり、
明日入院となったが、
その日の晩にも警察へ保護。
警察からは
「医療保護入院してもらわないと
こちらも毎度毎度困ります」
とのこと。
そんなことは重々わかっている。

入院当日、本人を警察署へ迎えに行く。
地域包括支援センター担当者と
「病院へ行きましょう」と伝える。
正直、どう伝えればいいか答えが見つからず、
そんな言い方しか出来なかった。

お昼ご飯を一緒に食べる。
「こんな温かいご飯、久しぶりに食べる」
とAさん。
その笑顔を見ていると、とてもつらかった。

病院へ行き、診察。
40分ほどかけてAさんの話を聞いてもらう。
結果、Aさんへ医療保護入院を告げられる。
激しく抵抗するAさん。
私たちに対し、
「騙したのね」と話されるAさん。
あの状況は、今後も忘れられないだろう。
Aさんの表情も声を。

医師は
「Aさんは今までどうやって一人で
生きてきたんだろうと感じます。」と一言。
この2~3年のAさんしかしらないが、
親族や地域から孤立し、そんな中で
一人で頑張って生活をしてこられた。
たくさんの強みも知ってる。
ただ、もう少し早く出会いたかった。
未来を変えられる保証は何もないけど、
医師の言葉を聞いてそう感じた。

②自問自答

病院を出て、
地域包括支援センター担当者と振り返る。
「もっと何か出来ることはなかったのか」
「もっと早く出会えたら」
「この方法しかなかったのか」

そんな感情ばかりが、
頭の中をグルグル回っている。

言い方を悪くすれば、
結局”閉じ込める”しかなかったのか。

精神科医療を否定しているわけではないが、
もっと何か出来なかったのか。
その問いがずっとある。

”圧倒的敗北感”

自分の力なんてホントちっぽけなもの。
その自覚はあるけど。
やはりモヤモヤした気持ちが残る。

でも、まだまだ保佐人として関わるので、
これからをどうすべきか。
それを考えられるよう切り替えていきたい。
そして、今回抱いたこの気持ちは忘れず、
次のステップへ進めるための力に
変えようと思う。



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衣笠 翔太@ソーシャルワーカー
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