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おまけに惹かれて60年

いつの世も、おまけ、というのは、魅力的である。

今、メディアミックスに関する本を読んでいます。
タイトルは、『なぜ日本は“メディアミックスする国”なのか』。
この本で扱っている事例の一つがアニメ『鉄腕アトム』で、お菓子のおまけとしてついてくるアトムシールについて触れられています。

ざっくり紹介すると、『鉄腕アトム』のスポンサーを製菓会社の明治がやっていて、そのつながりからマーブルチョコレートのおまけにアトムのシールが使われた。
その結果、アトムシールが欲しい子どもたちにお菓子が買われて売上が伸びる。
アトムは子どもたちの日常に根付き、存在感を持つ。
漫画のキャラクターだったアトムが、テレビ、お菓子の広告、シールなど、様々な媒体で存在するようになる、変化の歴史が書かれていました。

メディアミックスがあふれている現代にいる私からすると、メディアを超えてキャラクターが存在することに注目すること自体が新たな視点だったのだけれど、それと同じくらい面白かったのが、おまけ。
お菓子に限らず、コスメやちょっとしたものの貸し借りなんかでも、メインのものにくっついてきたり、こちらがくっつけたりするもの。
お得感とか、新商品のPRとか、お礼とか、示す内容は異なるけれど、そういうなにか意図を持っている。
でも、主張はしすぎず。でも、あるのとないのとではぜんぜんちがう。
送り手と受け手のどちらにも着かず離れずな、おまけ、という存在は、私の生活にすっかり溶け込んでしまっていて、それに気づけたのが今でした。

この本によると、日本で初めてのおまけがついたお菓子は、グリコのキャラメル。そのときは、さっき書いたアトムのように、おまけと何かのつながり(スポンサーとか)があるわけではなくて、子どもたちを惹きつけるためのおまけだったそうです。
その後、ほかの企業もおまけ付きのお菓子を販売。
おまけのバリエーションもシールやバッジ、本など、さまざま登場したようです。
そして、だんだんお立場が逆転し、現在の食玩(おもちゃとお菓子のセット)では、おもちゃがメインでお菓子がおまけのように。
おまけの方が存在感があるのは、キャラクターの魅力の強さなんでしょうね。

私は、あまりそういうお菓子は買ってもらったことないなぁと一瞬思ったけれど、チョコボールで金のエンゼルが出ることを願ったし、コアラのマーチのふたのカードを楽しみにしていました。
こういうのも、キョロちゃんやマーチくんといったキャラクターによるものですよね。
この本にちなんで、もう少しメディアミックス寄りのだと、パックンチョのディズニーパッケージとか、アンパンマンチョコレートとか。
当時、ものすごくそのキャラクターが好きだったかと言われれば、そういうわけではない気がするけれど、同じ味、同じ商品なら、キャラクターが描いてある方、より好きなキャラが描いてある個体、を選んでいた記憶があります。子ども心をくすぐられていたのだと思います(なんか、くやしい……)。

アトムがマーブルチョコレートのおまけになって60年がたっているようだけれど、人々がキャラクターに心をつかまれることや、おまけという存在に引き寄せられることは、変わらないのだなぁ、と思いましたとさ。
おしまい。

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