文学フリマ福岡で買った本③

文学フリマ福岡でお迎えした本の感想を書いています。
おもしろい本ばかりで刺激になる。私もこういうふうになりたいという思いが膨らんでいきます!(鼻息荒め)


水流と稲妻の余韻/葉山かのこさん

以前、カクヨムで連載されていたお話で、連載当時からすごく好きだったので今回改稿のうえ、本にしていただけたこと、すごく嬉しかったです!絶対にお迎えするぞという強い意志で葉山さんのもとへ向かいました笑

人の「縁」が見える青年・三好と美しい容姿を持つ尊のお話。BLというくくりにはなっていますが、内容は純文学寄りな気がしています。
複雑な家庭に育ち、傷が治りきらない尊。そんな彼の救済のお話なのかな、と思いながら読んでいたのですが、ラスト数ページでこれは三好のためのお話だったのかもしれない、と思えてきました。

ネタバレになっちゃうので詳しくはいえないけれど、恋愛ストーリーとしてはたしかにハッピーエンドではないのかも。ただ、個人を見るとある種ハッピーエンドなんじゃないかと思います。
傷や痛み(と呼ばれるであろうもの)を娯楽化させずに、しっかりと向き合って書かれたお話だとお見受けしました。
安易な大団円にされていないところも、私はすごく好感が持てました。やろうと思えばそういうエンドに持っていくことはできたような気がします。だけど、そうだったら、それまでの過程はなんとなくなかったことになりそうで。葉山さんの作品をこれからも追い続けたいと改めて思いました。

できれば文学フリマ東京39までに感想を書きたかったのですが間に合わず。今頃になってしまいました。

1+1+1=1/ナナヤコヤ。さん

JR九州の路線の擬人化、ということでおおっ!?となり思わずお迎えしました。鉄道はほとんど知識がないのですが、意外と聞いたことがあるものも。鹿児島本線は聞いたことがある。たぶん、長崎ー博多間の電車の中で聞いたアナウンスかな。

九州だけでもいろんな路線があるんですね!しかもそれぞれ特徴があったりして。漫画なので私のように知識がなくても楽しめます。
思いの外古い路線を接続して、我々を運んでくださっているんですね。JRさんありがとう。
あと香椎線のビジュアルがめちゃ好みです♡

無配でもらった北九州モノレールについては初めて知りました。モノレールあるんだ……!北九州は刀ミュで1回行ったくらいなので、いつかちゃんと観光しにいきたいですね。

夜食のときめき/うめおかかさん

前々回の感想記事で「おうちカフェタイム」の感想も書かせていただきましたが、こちらは夜食がテーマの短編集です。

おかずからスイーツまで、夜に食べるのはちょっと背徳感もありつつ、それに並ぶ幸福感を味わえる一冊だと思います。
おそらくどのメニューも比較的手に入りやすい、もしくは家にストックがあるものではないでしょうか。
……それにしてもですね……そのぉ……

ちょお待って。初っ端から唐揚げの話とかずるすぎん?

男性同士のお話なのですが、友人に呼び出された主人公が唐揚げを片手に訪問するところから始まります。
そこから……その……唐揚げのおともにレモンサワー(主人公は飲めない設定なのでジンジャーエールでした)の準備まであると。
そんなの反則じゃないですか。唐揚げの油と醤油とニンニクの匂いが香り立つようでした。読んでいるとお腹が空きます。

個人的にはポテチとバニラアイスを試してみたい。おいしいものが家にあるとき、仕事を頑張れるの、ものすごくわかる。
このお話の主人公はパートナーとわかちあう時間も含めて、仕事のモチベーションとしていて、素敵な関係だなあと思いました。

22枚の物語〜The tale of major arcana〜/守屋SHIGE美さん 他

こちらはタロットカードをテーマに、執筆者様がたそれぞれの解釈のうえで描いた短編集。アンソロだったんですね!
まずピンクに金インクと表紙がすごくかわいくて、ついつい手に取ってしまいました。

タロットカードについて、私はまったく無知でして。おもしろそうだけれど、お話についていけるかなと若干の不安もありましたが、楽しく読み進めることができました!
カードの名称・意味・解釈などからイメージを膨らませて、お話を紡いでいるようです。もっとファンタジー寄りになるのかと思いきや、現代もののお話が多めでした。

教授と生徒の話にきゅんときました。生徒側と教授側とそれぞれ違うカードをテーマに描かれています。テーマが違うのにきちんと繋がっていて。こういう書き方もおもしろいな、と勉強にもなりました。

余談ですが、以前タロット占いをしてもらったことがあり、なんだか縁起が悪そうなカード(死神かな?)を引いて、ちょうど心身ともに参っていたときだったので、私は死ぬんだ……と思った記憶があります。今思えば、あれはあのときの私に必要なカードだった、のかも。


今日はひとまずここまで。
感想を書いてると読んでいる時には気づかなかったことが出てきたり、思考の整理になるような気がします。
全部文章として出してしまうのも、それはそれでちょっと惜しい気もしているけれど。


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