見出し画像

今からはじめる「自分ごとの、家しごと」①  パン・オ・スリールさんに聞いた「サステイナブルなパンの楽しみ方」

〈主婦〉の学校』を上映するシアター・イメージフォーラムから、青山通りを渡って少し行った路地裏に、パン・オ・スリールさんはある。渋谷の喧騒から一歩入り、ゆったりとした時間が流れる都会のオアシス的存在だ。

この場所にオープンして今年で8年目。カフェスペースやギャラリーもある店内は、近隣で働く常連さんや遠くから目指してやってくるお客さんでいつも賑わっている。生地の種類が7-8種あり、そこから生まれるパンは平均50-60種類というバリエーションの豊富さが魅力。いつ行っても新たなパンとの出会いがある。カフェメニューも充実しており、多様な作家さんの展示が楽しいギャラリーやイベントも気になるところだが、今回は『〈主婦〉の学校』で教えているサステイナブルな暮らしの知恵にちなんだ「サステイナブルなパンの楽しみ方」というテーマで、店主のおひとり、須藤美智子さん(以下、美智子さん)にお話をうかがった。

画像1

「先ずはおいしくて体にもよいパンを選んでほしいですね。それを出来るだけ手に取りやすい価格で提供したいと思っています」
おいしいパンを突き詰めた結果、“森の酵母”といわれる白神こだま酵母、ライ麦やブドウから作った自家製の酵母、十勝の前田農産さんなどの信頼できる生産者から仕入れた北海道産小麦をなどの素材にこだわっている。このライ麦酵母のカンパーニュはお店の原点ともなったパンだ。

画像3

しかし、カンパーニュ丸々1個を一人で食べるにはちょっと量が多い。もちろん1/2・1/4にカットして貰うことも出来るが、家でも長くおいしく食べられる方法があったら、パンを買い忘れて切らす心配もなくなるはず。

画像3

そこで、美智子さんに教えて頂いた保存方法は以下の通り。まずはパンをこのように切っておく。そして1枚ずつラップに包む。

画像4

ラップに包んだパンをジップロックに入れて冷凍。これで1ヶ月は保存できるという。冷凍すると水分が抜けてくるので、食べるときには霧吹きで水をかけてからトースターで焼くと、また美味しく食べられる。

画像5

2枚ずつ解凍すればサンドイッチも作れる。カフェで提供しているユニークな組み合わせのサンドイッチは、家でも食べられるように作り方を教えているそうだ。そして、店主がお客さんに話す作り方や保存方法を聞いて実践していることから、学生バイトさんでもおいしい食べ方を提案できるようになるとか。このようなコミュニケーションが、このお店自体のサステナビリティに繋がっているのだろう。

画像6

『〈主婦〉の学校』の中で、学校ではフードロスを出さないように、金曜日には全ての食材を使い切るという話が出てくる。日本でもフードロスは大きな社会課題のひとつだ。
「うちは殆ど廃棄するパンはなく、使い切ってるんです。それから、昨年から「夜のパン屋さん」に提供するようになってから、ますます廃棄の心配がなくなりました」

ビッグイシューが運営する「最後まで美味しく食べきってほしいと願うパン屋と、食を大切にする人が交差する、素敵な夜のパン屋さん」は、各パン屋さんから提供されるパンをビッグイシューの販売員さんたちが引き取りに行き、週3回ほど神楽坂かもめブックス軒下など都内の場所で夜19時から営業している。緊急事態宣言中に活動を休止した時もあったが、最近は再開。昨年のオープン時から人気があり、すぐに売り切れになることも多いという。

画像7

昨年の初期の段階から、パン・オ・スリールさんでは、週1回ペースで詰め合わせセットを一袋700円で提供している。中身をみるとかなりおトクだ。
「アレルギー表示も必要ですし、また、どんなパンなのかわからないとお客さんも選びにくいでしょうから、一つずつ内容物のラベルもつけています。手間はかかりますが、とても良い取り組みに参加できていることが誇りです。」
フードロスをなくすというだけでなく、パン屋さん・販売員さん・お客さんのつながりがパンをめぐるサステナビリティを生み出す活動になっている。

パンオスリール_サステナブルパン

実は2週間ほど前に、もう1人の店主でパン作りをされている須藤宏幸さんが入院・手術という緊急事態が発生。現在、退院はされたものの、完全復帰されるまでスタッフみんなで試行錯誤しながら営業されているとのこと。そこで、火曜日は前日に仕込みの要らないパンとカフェ、ギャラリーに特化することにしたとか。そこでは写真のようなパンも出しているそう。なんて美味しそうな♡ 火曜日のみに出会えるパンとして新たな人気が出そうな気配。これもまたフードロスをなくすことにつながるだけでなく、働く人たちを守り、お店を長く続けていくために必要なサステイナブルな取り組みだ。

「サステイナブル=長く続けるためには、手を抜かないこと、ウソをつかないことを大事にしています」
そんな気概に対し、私たちは最後までおいしく食べ続けたい!という気持ちに正直に、日々のパンやパン屋さんと向き合っていくことが「サステイナブルなパンの楽しみ方」なのかもしれない。

画像9

『〈主婦〉の学校』公開期間中のキャンペーンとして、パン・オ・スリールさんのポイントカード(上の画像)をシアター・イメージフォーラムの窓口で提示すると当日一般料金から200円引に、映画半券をパン・オ・スリールさんで提示するとお買い物分のポイントにプラスして1,000円分のポイントをプレゼント!
映画を観る前でも観た後でも、ぜひおいしいパンと出会ってください。






いいなと思ったら応援しよう!