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AIで作る企画資料は、ビジョンを持っていなくてはならない……

今回の『うさぎ先生のひっそりAIロボ計画』はAIを使って資料を作成してみる回です!資料が出来るまでの過程の中でユキちゃんと一緒に、AIの『活用』を体験してみて下さい!

●今回のテーマ
Chat GPTを使用した資料の作成と校正

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「AIツールとマーケティングの新しい日常」

 窓の外は、淡い春の光が差し込んでいる。私は社会人2年目のユキ。小さな中小企業の営業促進チームに配属されているけれど、最近、販促業務を任されてからというもの、うまくいかない日々が続いている。資料を作れば上司に「なんか響かないんだよね」と言われ、企画を立てれば「顧客目線が足りない」と突き返される。頑張ってはいるけれど、成果が出ない。まだまだ経験不足なのかもしれないけれど、それにしても自信が持てなくなってきた。

 そんな私が、最近不思議な存在と暮らしている。うさぎ先生――真っ白な毛並みをしたウサギの姿をした謎の生き物。一人暮らしのマンション前で、なぜか途方に暮れていたウサギを拾ったのがきっかけだった。ところが、このウサギ、しゃべるのである。しかもマーケティングと心理学、AI研究の権威である元大学教授らしい。世の闇の組織によりウサギに変えられた伝説のマーケッター、という信じられない過去を持つ。最初は信じられなかったけれど、彼が発する言葉は的を射ていて、私の仕事の相談に的確なアドバイスをくれるから困る。

 朝、出社前。薄いパンをかじり、コーヒーをすすりながら私はテーブル越しにうさぎ先生を見る。先生はクッションの上でお行儀よく座り、長い耳をピンと立てている。その様子はどこか昔、私が学生時代に飼っていたぬいぐるみを思い出させ、少しノスタルジックな気分にさせる。

 「ユキちゃん、最近元気がないね。販促業務で苦戦しているのかな?」
 優しい声で問いかけてくる先生。
 「うん……。新しい販促資料を作っても、全然通らないんだ。上司にも『もっと顧客の心を掴む提案が欲しい』って言われ続けて、どうすればいいのか……。」
 先生は小さな前足でトントンとテーブルを叩く。「顧客視点が足りないと言われるのは、資料作成の段階で工夫が足りない可能性があるね。ユキちゃん、君はAIツールって使っているかい?」
 「AIツール?チャットボットとか使えるけど、仕事では使ったことないなぁ……。」
 「ふむ、それじゃあちょっと面白いものを見せよう。」
 そう言うと先生は、なぜか私のPC上で不思議なプログラムを起動し始める。気づくと部屋の片隅に、箱のような装置がある。先生が改造したと称する小さなロボット――ロボくんがそこにいた。四角いレトロなフォルムに小さなディスプレイがあり、カタカナ混じりでしゃべるという、なんともユーモラスなロボットだ。

 「コイツハ、ロボクン。AIトチャットGPTノ機能ヲ統合シタ、ユキサンノオ手伝イロボダヨ。」
 ロボくんはカタカナ交じりの声で、少しぎこちなくしゃべる。このロボくんは、前回のメール作成機能だけでなくチャットGPT機能で文章を整えたり、プレゼン資料のアウトラインを考えたりもできるらしい。

 「ほんとにそんなことできるの?」私は半信半疑だが、うさぎ先生は得意げに微笑む。「AIツールは正しく使えば、販促資料を読みやすくしたり、論理を整えたりできる。君が抱えている問題は、頭の中のアイデアがうまく整理できていないからかもしれない。ロボくんを使って、まずは資料の校正や読みやすさ向上を試してみたらどうだろう?」

 その日の夜、私は家に戻ると、試しにロボくんに昨日上司から返された販促資料を読み込ませてみた。「ロボくん、この資料をもう少しわかりやすくするにはどうすればいい?」
 「了解デス、ユキサン。文章ノ構成ガ複雑デ、一部説明ガ冗長デス。サマリーヲ強調シ、箇条書キデポイントヲ示スノガ良イデショウ。」
 彼は即座に簡潔なフィードバックをくれる。それを参考に私は文面を整理し、無駄な言い回しを削って要点をわかりやすくまとめ直す。すると不思議なことに、資料がすっきりして、自分でも読みやすくなった気がした。

 翌日、会社でその資料を見せると、先輩が「前よりわかりやすくなったね、ユキちゃん」と言ってくれた。嬉しかった。AIの助けを借りるなんて発想、今までなかったけれど、意外と効果的だ。

 しかし、そんなに簡単にはいかない。職場には私がAIツールを使っていることを面白く思わない人もいる。ミーティング中、ある同僚が皮肉げに言う。「ユキちゃん、最近AI頼みらしいね。自分で考えないでAIにやらせたら、発想力衰えるんじゃない?」
 ぐさりと胸に刺さる。その通りかもしれない。ツールに頼りきりになったら、自分は成長しないのかもしれない。でも、うさぎ先生は「道具は道具。使い方次第で君の力になる」って言ってたっけ。

 夜、落ち込んでいる私に、うさぎ先生は柔らかく声をかけてくる。「ユキちゃん、AIを使ったからといって、君の価値が下がるわけじゃない。むしろ、ツールを使って生産性を上げるのも現代的なスキルだよ。ただし、ツール任せでは意味がない。君が何をしたいのか、どんな顧客に何を伝えたいのか、それを明確にするのが先決だ。」

 なるほど。私は自分が何を表現したいか、何が顧客に刺さるか、そこを曖昧にしたままAIで修正しても、本質的な良い企画にはならないのかもしれない。ロボくんを使いこなすには、自分の思考を整理することが必要だ。

 それでも、この新しいツールが私にとっての一筋の光であることは確かだ。昔、学生時代に初めてパソコンを使ってレポートをまとめたときの感動を思い出す。なんでもできるような気がした。AIだって同じかもしれない。ただ使い方がわからず、今は手探りしている最中なのだろう。

 うさぎ先生はクッションからぴょこんとジャンプして、羊羹を一口かじりながら微笑む。「最初はみんな試行錯誤だ。ロボくんもまだ慣れていないみたいだしね。『ユキサン、スゴイコウセイ!』とか言ってくるかもしれないけれど、そのやり取り自体が君の気づきになるはず。」

 私は小さく笑って、「先生、変なこと言わないでよ」と返す。そう、ロボくんはちょっと間が抜けてて、意図しない回答も多い。それが面白くもあり、難しくもある。

 こうして私は、うさぎ先生とロボくんという不思議な仲間を得て、新しい挑戦を始めたばかりだ。まだまだ職場ではAI活用に対する理解は薄く、「AI頼みだ」と揶揄されたりするかもしれない。でも私は、この道具を使いこなし、販促資料を進化させ、自分の企画に魂を込める方法を見つけようと心に決めた。

 今のところは、まだ何も結果は出ていないけれど、確かな一歩を踏み出したところだ。ノスタルジックな夕暮れの光が部屋に差し込み、私が子供の頃に憧れた「未来の仕事風景」をふと思い出す。あの頃、ノートに描いた理想の自分に少しでも近づけるのだろうか。空には淡いオレンジが滲んで、うさぎ先生の影が長く伸びている。


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